このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

製作車輌カタログtop
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 ・・・?  こんな東海型ありました?
 パラレルワールド
◇ 東海型荷物電車
● 東海道本線東京口の客車列車の電車化に伴い、それまで併結していた郵便・荷物車も電車化するべく、80系の投入においてはクモユニ81が新造されたが、後に昭和37年に入り、153系や111系などのいわゆる新性能電車の投入にあわせ、旧型国電より改造されたクモユニ74をはじめとする郵便・荷物電車は、生産コストを考慮し種車のイメージを残したデザインで登場。その後活躍線区を拡大し、クモユニ82やクモニ83などのバリエーションも増え、各地の郵便・荷物輸送を展開していった。
● その後トラック輸送の増大、高速道路の延伸に伴い、国鉄の郵便・荷物輸送事業に陰りが見え始めたが、昭和48年のオイルショックを契機に、省エネルギーの観点から中・長距離の郵便・荷物輸送において鉄道が見直されるに至り、改めて同事業のさらなる充実化が図られた。当時の国鉄は、経営再建、合理化が言われ出したたころであったが、首都圏やその他の主要都市圏を中心に、幹線鉄道輸送と戸口のトラック輸送との連携による、効率的な郵便・荷物輸送を目指したネットワークの構築が推進されていった。
● これにより、郵便・荷物電車はさらなる増備が必要となったが、併結する列車も、幹線系はすでに153系や113系以降の新性能電車にほぼ統一されていたことから、デザイン面でもそれらに合わせたものとするべく車体設計も修正が加えられた。
◇ クモニ83 500代
● 折りしも、昭和49年に身延線に投入した62系が、73系の台枠に115系並みの車体を乗せる設計であったため、郵便・荷物電車においてもこれを踏襲することになった。
● ただし、運転台は工期短縮とコスト抑制のため切妻とし、災害やトンネル内での事故等の際の、乗客の脱出路確保のため貫通扉の設置を条件に加えた。
● また列車の高速化に対応するべく、改造の種車も比較的状態の良い、73系新造車輌から70系や80系に移行し、機器類の一部の新性能電車との共通化も62系の事例と同様に行われた。
● こうして郵便・荷物電車は、昭和49年より、それまでのデザインとは一線を画し、また性能的にも若干の向上が図られた。
● その後も郵便・荷物輸送事業は堅調に推移し、昭和50年代に入ると、郵便・荷物電車への改造に適した旧型国電が減少、また初期に製造された車輌も、列車の高速化に対して性能が劣ってきたことから、これらについても新性能電車の開発が検討された。
● しかし単行用新性能電車の開発においてはクモユ141の先例があったものの、性能の向上や床下機器の小型化・標準化において課題が残っていた。
● そこで増加する郵便・荷物電車の需要に対応するべく、113系や115系の増備に伴い余剰化する111系MM’ユニット電動車を改造することが計画された。
◇ クモニ111+クモユ110
● 新性能電車の標準機器を活用し、かつ開発期間を短縮して需要の増加に即応するべく、111系MM’ユニットを改造し、郵便車および荷物車の2輌を組み合わせた固定編成として開発・製造された。 
● 台車、電動機、制御器等床下機器のほか、細部の機器を種車から極力再利用し、車体は運転台を含め新造した。車内設計はこれまでの郵便・荷物電車を踏襲しつつも、側窓のユニット化や前照灯のシールドビーム化等は、当時製造が進められていた113系冷房車に準拠したものとなった。
● 動力性能的には111系のままであったが、113系や
153系のみならず115系、165系などとの併結も可能とした。
◇ クモニ113+クモユ112
● クモニ111+クモユ110は、予定された性能を発揮し、特に幹線系での使用においては、現場における使い勝手もよい、とのことから、増備が計画された。
● 増備車は、郵便扱い車についてはクモユ141に続いて郵政省の所有とし、従業員の作業環境を考慮した冷房車とした。
● 一方、荷物者は国鉄所有となったが、連結するクモユにあわせ、冷房装置を搭載し、乗務員の作業環境向上に貢献した。
● 本系列は、種車は111系モハユニットをベースとするものの、主電動機、制御機等は、当時の113系、あるいは165系の性能とあわせるべく換装しており、ゆえに形式も113系としている。
● 以上のお話しの基に作成した今回のモデルは、「クモニ83モデルチェンジバージョン」、それに「111系113系、改造郵便・荷物電車バージョン」の2つの笑品です。
● 構想の段階で、一度はクモユニに111系の前面をつけて、まさに「鉄道ジャーナル」に掲載していた形式図のモデルや、「鉄道模型趣味」にて紹介されたモデルの作成を考えましたが、私には、東海型マスクのついた”単行電車”で、さらに、言わゆる”前パン”の顔のイメージが好きになれず、その結果として旧型単行荷物電車の車体拡幅版と、こちらはまさに東海型マスクをつけたMM’改造郵便・荷物電車も生まれた次第です。
● クモニ83500では、車体製作において久しぶりに「いさみやロコワークス」のペーパーキットを使用しました。製作を思い立ったのが2000年の5月。それから「いさみや」に問い合わせたところ、幸運にも在庫ありとのことから早速クモユニ74とクモニ83のキットを購入、クモニを用いて製作に入りました。価格も発売当時のままでうれしくも懐かしい思いを得ました。
● キットの側板をそのまま利用し、側板の腰を折り曲げ車体幅を広げています。設定考証にある、”62系と同様の車体”の場合、側面の下裾部分は垂直方向に折れ曲がっていることになるのですが、キットの側板がプレスボード製でやや分厚いため、加工後の仕上がりに不安を感じ、今回は省いています。
● 前面のデザインは当初、現存したクモニと同様の非貫通タイプにしようかと思いましたが、車体幅が増した分やや間の抜けた印象になることを恐れ、貫通扉を設け顔の引き締めを図るべくクモハユ74を参考にしましたがいかがでしょう?
● クモニ111+クモユ110についても、クモニ83のキットを使用しました。
● クモユ110の窓割りについては、クモニ83の一部の窓を埋める代わりにキットの側板をペーパーで差し替え、クモユニ82000風に仕立て変化をつけました。クモニ111はキットの側板をほぼそのまま利用しています。また、どちらの側板も運転台の長さ分だけ短縮しており、前面は前述の設定考証に基づき、ジャンク箱に残っていたエンドウのクハ111用パーツ(シールドビーム仕様)を用いています。
● 屋根もキットの木製屋根板を活用していますが、表面を平滑に磨くことに疲れ、木目を隠すためティッシュペーパーを張りキャンバス地風にみせてごまかしています。
● 一方クモニ113+クモユ112は、小高模型のキットを利用しました。
● 構成は111系と同様ですが、前面はペーパーから作成しています。
● また今回は、台車も小高模型製を利用しましたが、ディテール表現が決して甘いことがない一方で、価格は昔のままであり、とてもコストパフォーマンスの高いパーツであることを再認識しました。もちろん、今も入手可能です。
● 当工場ですっかり定着してしまっている”東海型マスクのフリーランス”ですが、今回の題材は、元々が単車である郵便・荷物電車のため設定に苦慮しました。結果として2輌固定編成の郵便・荷物電車や”東海型ではない”マスクの、フィクション然としたクモニのモデルができましたが、設定考証を楽しめた企画だったと自己満足しております。

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