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里見電鉄四季物語 〜睦月〜 「安西駅」

1 里見電鉄安西駅

 年が変わった元旦の朝、川越文香は里見の町を歩いていた。友人である青梅かすみ達と初詣に出かけるためである。少しばかり彼女は気が急いていた。電車の時間に少し遅れそうだからである。次の電車に乗り遅れれば次は40分後。間違いなく約束の時間に遅れてしまう。文香はそれだけは避けたかった。もし遅れたとしても「珍しいこともあるのね」とみんなが言って終わりだろうが、だからこそ、文香は遅れたくなかった。文香は『本当は走っていきたいのだけど』と思いつつ、自分の格好をちらっと見る。着なれない着物で走って、大丈夫な状態で済むとは思えない。それが彼女が急いでいるのに走っていない理由だった。駅に着くと次の列車まで後1分。文香はぎりぎり間に合い犬懸までの切符を買うと2両編成の電車に乗った

2 里見電鉄里見信乃駅

 電車が里見信乃駅に着くとホームにはかすみの姿があった。駅にある喫茶店「微風の通り道」は窓にカーテンがしてあり中を覗くことは出来ない。店は3日まではお休みだと文香はかすみから数日前に聞いていた。かすみに声をかけようかと思ったが、車内で大声を出すのは恥ずかしい上に他の人にも迷惑だ。それで声をかけないで居るとかすみは文香に気づかなっかたのか後ろの車両に乗ってしまった。仕方がないので文香は隣の車両に移ると、かすみは直ぐに気がつき、
「あっ文香。明けましておめでとう」
と、いってきた。文香は、
「明けましておめでとうございます。かすみさん」
と返事すると、かすみと楽しくおしゃべりを始めた。

2 里見電鉄犬懸駅

 文香とかすみが、犬懸駅に降りて駅舎の外に出ると、
「おーい、かすみぃー。文香ぁー」
と、呼ぶ声がした。2人が振り向くとそこにいたのはめぐみで、
「あっ、めぐみ。明けましておめでとう」
「おめでとっ、かすみ。それに文香」
「おめでとうございます、めぐみさん。あの、由加里さんはまだ来てないのですか」
文香はめぐみのそばに由加里の姿がないのに気づき、めぐみに聞いてみた。
「由加里?予想通り少し遅れているみたい。正月から遅れてどうする気なんだろ」
めぐみが呆れていると、白い乗用車が彼女たちの前に止まり、その車から転がり出るように由加里が出てきた。
「みんなぁ。遅れてゴメン。着物着るのに時間がかかってぇ」
「もう。しょうがないなぁ」
「由加里、今年はなるべく遅れないようにね」
「由加里さん。明けましておめでとう御座います」
と、由加里に対して三者三様の反応を見せると、
「あっみんな。お父さんが車で神社の近くまで送ってくれるって」
「えっ、本当。でも、迷惑じゃ・・・」
「大丈夫。あたしをここまで連れてきたついでだって」
「それじゃ、失礼します」
彼女たちは由加里の家の車に乗ると、静谷神社へと向かった。

3 静谷神社

 田舎の小さな神社とは言え、元旦なのだから静谷神社も結構多くの人出で賑わう。4人はお参りを済ますと、ゆっくりと歩いていた。
「あっ、かすみちゃん。リンゴ飴食べない」
「そうね。そうしようかな」
「あっ、かすみに文香。それに由加里。ちょっと待って。カメラ持ってきたんだけど、先に記念写真撮らない?」
めぐみが突然そう言い出した。
「そうですね。撮りましょうか」
と、文香がいい、他の2人も賛成した。
「さて、誰が撮ろうか」
めぐみがそう言うと、
「他の人に頼んで撮って貰おうよ。3人しか写ってないのは寂しいから」
と、言ってかすみはめぐみからカメラを取って誰に頼もうか考えていたら、
「あら、かすみさん」
と、声がかかってきた。かすみが振り向くと、
「あっ、摩耶さん」
そこにいたのは摩耶だった。摩耶は男の人と女の人2人と一緒だった。
「明けましておめでとう、かすみさん」
「おめでとう御座います。摩耶さん」
「彼女は誰だい?」
男の人が摩耶に聞いた。
「榛名さんのお店のアルバイトで青梅かすみさん。かすみさん、この人が私の勤め先の店長、海猫さんよ」
「始めまして、青梅かすみです」
「始めまして。かすみちゃん。ところで榛名さんは?」
「店長は・・・。年越し前に聞いた通りなら元旦はゆく年来る年を最後まで見てから、9時過ぎまで寝ていると言っていましたからそろそろ起きているのでは」
「ふーん、そうか。今度会ったらよろしく言っておいて」
「あ、はい」
「あら、かすみさん。写真を撮るの?」
摩耶の台詞にかすみが頷くと、赤い着物を着た女の人が、
「じゃあ、私が撮ってあげるわ」
「あなたは?」
「摩耶ちゃんの同僚で、聖って言うの。写真撮ったらこっちも4人の写真撮ってくれない?」
「あっ、良いですよ」
つい、反射的に答えるかすみ。
「ボクわたあめが食べたいの〜!」
「青葉ちゃん、後で買って上げるから今はね?」
「う〜・・・」
「ほぉら青葉、わたあめだぞぉ」
「店長!」
「あっちはおいといて、もう写真撮るわよ〜」
「聖!俺達のこと無視こくなぁ!」
なんだか大騒ぎになってきました。『どんな写真になるのかしら』文香はちょっと心配しながら思うのでした。



後書き
 やっと睦月までやってきました。里見電鉄四季物語もお正月。今回は文香をメインの視点にしてみました。気が付けば今回が一番長くなったような・・・。それにしても聖さんの行動を考えるのに苦労したこと。雷翁さんが、前に出してと言っていたから考えてみたけど・・・。2度と出さないだろうな・・・登場シーンだけで転けるんだもん。その上キャラクターが変わるし、おまけに聖さん一人のために海猫屋本舗全員登場になるし・・・。疲れたぁー。

解説?
 えらい〜・・・ぶちえらい〜・・・寝る!
 とまぁ眠いんですが、今回も又ここに引っぱり出されてる海猫です・・・全く、俺を呼ぶなと言ったのに(ぶつぶつ)
 で、解説をせよとのお達しなのですが・・・何を書こうか?頭が寝てて書くことを思いつかん。
 とりあえず今回の修正は4人とも出てきてまして、かなり疲れたです。
 本来1行だったのが、聖のセリフに納得いかないで悩む悩む。結局最後のあたりを私が書き直してたりします(苦笑)
 自分の所の小説をほっぽって、私は何してるんでしょうねぇ?

 ・・・それにしても眠いよ〜・・・昨日の徹夜が堪えてるよ〜(T-T)・・・(-_-)。oO(ぐ〜・・・)

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