このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

里見電鉄四季物語 〜文月〜 「西森駅」

1 里見電鉄 里見信乃駅

 カレンダーが文月に変わる頃、里見信乃駅の駅長でもある榛名は、少し大きな笹を改札口のところに飾った。そして小学校辺りから貰ってきたような机に短冊と筆ペンやボールペンなどを載せて笹の横に置いた。
「おはよう御座います。あっ、今年も飾るのですね」
これから登校なのだろう、制服姿のかすみ声をかけてくる。
「あぁ、そうだよ。今年は里見信乃だけじゃなくて、秋篠や犬懸、それに里見駅にも飾ることになったよ。そうだ、かすみちゃんも後で何か書くと良いよ」
「あ、はい。そうですね。それじゃ、行って来ます」
そう答えると、かすみはちょうど来た電車に乗り込んだ。乗るとき、かすみは「願い事か。何を書いたらいいのかな」と考えた。

2 静谷学園高校 グランド

「おーい。五日市に青梅」
学校にやってきたかすみは、自分を呼ぶ声に気づきそっちを向いた。其処には野球部のユニホームを着た生徒と、体操服姿の多分マネージャーであろう女生徒がいた。
「おはよ。るりかに飯山」
めぐみが答える。かすみも挨拶をする。
「朝練はもう終わり?」
「まぁね。大会も近いし、余りやり込んでけがをしてもなんだし」
少し話をする。その時かすみは思いついて飯山に聞いた。
「何か願い事をするとしたら、何を願う?」
「突然だな。でも、願い事をするなら当然、甲子園出場だな。な、山本」
「そうよね。出れると良いね」
2人は互いに頷き合った。

3 静谷学園高校 屋上

 今日も屋上で話をしながら朝食を食べている4人。かすみは、七夕で何を願うのかみんなに聞いてみた。
「願い事?そういえば朝もそんなこと言ってたっけ。あたしなら『今度の大会で良い記録が出せるように』かな」
そうめぐみが答える。
「由加里はねぇ。おいしいおやつをいっぱい食べたいな」
無邪気と言おうか、本気なのかと言うべきなのか由加里はそんなことを言う。
「なんてね。で、かすみは何を願うの?」
どうやら冗談だったらしい。とはいえ彼女のこと本気かもしれないけど。
「それがまだ決まってないの・・・」

1 里見電鉄 里見信乃駅

 かすみは短冊を見ながらため息をついた。何にも思いつかない。しばらく考えていたかすみだが、ふとあることに気がつくと、おもむろに短冊に願い事を書いた。

『いつまでもみんなと変わらず過ごしていけますように
                             かすみ』



後書き

 とりあえず当日とは言え七夕に間に合いましたね。さぁ、次のお話書かないと。
P.S. なんだか海猫さんが変な?事を考えているみたい。ちょっとだけ期待して待ちましょう。
 
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