このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
第一印象から決めてました。
ちょっとなつかしい「ねるとん紅鯨団」の告白の時の決まり文句。
第一印象から決めていたのなら、フリータイムなんていらないじゃない、とか無粋なことは想わなかった。
なんてドラマティックなんだろうとは想ったけれど。
「人を見かけで判断するなよ」という台詞を、これも一時期よくきいた。服装だけで不良と決めつけるなよ、そういう意味だ。
それに対して、「不良だと思われたくなかったらきちんとした格好をすればいい。まさしく人は見かけで判断されるのだ」と、答えた評論家がいた。
ぱっと見た感じ、その時感じた印象、これはとても大切なことだなあ、と思う。
高校生の頃、あることに僕は気がついた。
それは、こういうことだ。
「こいつ嫌い」と思った時、同時に相手も僕のことを嫌っているし、「こいつ好き」と思えば、相手もそう思っている。
もちろん恋愛に関してこの通りだったら苦労はしないけれど、これは恋愛に関することでなく、人間として、ということなのだ。
人間としていいなと思い、相手もそう思っていると確信して、恋心を告白しては失敗をする。告白と同時に、相手は困惑し、「わたしの好意はそういう意味じゃないのよ」と、どのようにしたら伝わるか考え込む。だが、考える必要はない。その時点で僕にはわかってしまうからだ。
それはともかく。
第一印象が大切。それが今後のお付き合いを左右してしまう。
けれど、どうもそれが最近真実ではないということにも気がつきはじめた。
いや、第一印象で抱いた、いわば直感というのも、かなりの確率でその通りだし、それは否定しないけれども、そう、嫌なヤツでも付き合っていかなくちゃいけないこともたくさんある。
そういうときに、嫌だ嫌だと思って付き合ってたんではいつまで経ってもそのままだし、好きになろうとする必要などはないだろうけれど、事務的でも業務上のつきあいだけでもいいから、とにかく先入観を捨ててみる。
そうするとその人もまたまんざらではないように思えてくるから不思議だ。
嫌いだ、という先入観を捨てることは、相手も僕のことを、嫌いだとは思っていないことになるからかも知れない。
でも、これは「仕事の上でやむを得ず」という時ぐらいだろう。僕はそんなに出来た人間じゃなく、相変わらず第一印象に左右されるつまらない人間なのだ。
ネット上で知り合った人とのオフ会なら、先に会話が成立していて、いわば第一印象以前にその人の中に一歩踏み込んでいるわけだから、外見の第一印象に左右されないで済むかも知れないな、などと思う。でも逆に、イメージが違うといやだな、という思いもあるけれど。
だけどこんな風にも思う。
どんなファッションをして、どんな髪型をして、どんな化粧をして、どんなアクセサリーを付けるか、その選択の権利は全て本人が握っている。だから、「こんな風に見られたい」という意識が働いて、その意識通りに他人に第一印象を抱かせるのだ。
年をとるごとに、どんな人とでも付き合えるような、鷹揚な精神をもてたらいいなと思いながら、実際はどんどん逆に向かっている。
一人の人となじむのに、たくさんの時間が必要になってきた自分に気づく。
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |