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この時代に東海道本線で活躍した食堂車は、スシ37740・37800を元形式とする一連の戦前派車両と同じく戦前派のマシ38、マシ35・オシ17の戦後派車両とに大きく分けることができよう。ここでは、このうちのマシ37740・37800を元形式とする一連の戦前派車両について詳しく触れることにする。
スシ37740・37800
これらの車両は戦前に製造された車であり、前者がダブルルーフ、後者がシングルルーフとなっている。これらは、戦時格下、進駐軍接収などを経て、37740は一部、37800は全車が戦後再び食堂車として活躍した。これらの車両の車号の、製造時とこの時代の対応および特徴を表にすると次のようになる。
ダブルルーフ車
スシ | スシ37 | 最終形式 | 台車 | 屋根 | 備考 |
37747 | 46 | マシ29 1 | TR74 | ダブル | |
37748 | 47 | スシ48 1 | TR73 | シングル | |
37749 | 48 | スシ48 2 | |||
37750 | 49 | マシ29 2 | TR74 | ダブル | |
37751 | 50 | スシ48 3 | TR73 | シングル | 火事で焼失 |
37752 | 51 | マシ29 3 | TR74 | ダブル | |
37753 | 52 | スシ28 1 | TR73 | ||
37754 | 53 | スシ28 2 | |||
37755 | 54 | スシ28 3 | |||
37756 | 55 | スシ28 4 | |||
37757 | 56 | スシ28 5 | |||
37758 | 57 | マシ29 4 |
スシ | スシ37 | 最終形式 | リベット | 備考 |
37800 | 58 | マシ29 101 | あり | |
37801 | 59 | スシ28 103 | ||
37802 | 60 | スシ28 101 | ||
37803 | 61 | スシ48 11 | ||
37804 | 62 | スシ48 12 | ||
37805 | 63 | マシ49 1 | ||
37806 | 64 | スシ28 104 | ||
37807 | 65 | マシ49 2 | ||
37808 | 66 | スシ28 105 | ||
37809 | 67 | マシ49 3 | ||
37810 | 68 | マシ29 105 | なし | リベットありの可能性あり |
37811 | 69 | マシ29 106 | ||
37812 | 70 | マシ29 107 | ||
37813 | 71 | マシ29 201 | ||
37814 | 72 | マシ29 108 | ||
37815 | 73 | マシ29 109 | ||
37816 | 74 | スシ48 16 | ||
37817 | 75 | マシ29 110 | ||
37818 | 76 | スシ28 151 | ||
37819 | 77 | 戦災 | ||
37820 | 78 | スシ28 102 |
スシ28
戦後いち早くスシ37に復元した食堂車のうち冷房を装備していない食堂車がスシ28で、大きく分けて、ダブルルーフ車の0番台とシングルルーフ車の100番台に分けられる。また、103〜105は、元マシ29 102〜104であり、冷房装置を’54(S29)にマシ49に譲ったためにスシ28に編入されている。さらに、151は元をただせばスシ37728であり、この車が火災で焼失したために、同車の台枠、台車を再用して復旧させたものである。よって、大窓、リベットなしのスマートな車体を持ちながら魚腹台枠、TR71装備という、実にけったいな外観を持ち、他のスシ28とはまったく趣を異にしている。
Nの世界ではキングスホビーがスシ37を出しており、これをそのまま組むとスシ28 102になる(製品にはリベットがないため)が、これは旧シバサギ製のキットであり、既に絶版になったようだ。また、YELLOW TRAINから「マシ29」のキットが出てるが、車体のみのコンバージョンキットゆえ、床下と屋根さえ気をつければ、そのままスシ28として組むことも可能である。ただし、こちらもリベットはない。KSモデルからも同様のものがリリースされている(製品名は「スシ37A」)。さらに、驚くべきことに、というか、何を血迷ったかYELLOW TRAINがスシ28 151のキットを発売した。こんなマニアックな車両が売れるのか、極めて懐疑的ではあるが…(無論、私は買った。これは、誉め言葉である。いや、マジで)。と、喜んでみたものの、最近になって実はこのスシ28 151、窓割が間違えているっぽい、ということに気が付いた。少し思うところあって図面と見比べてみると、調理室脇の廊下部分の窓割が違うのである。まぁ、常識的に考えてこの図面(改訂新版 鋼製客車形式図集I 言うまでもなくバイブルである)が間違えているとは考えにくく、設計上のミスであろう。それにしても、組んでから気が付くとは情けない…というか、普通気がつかんべ?とか思いつつ、1800円とスハ32のキット1両分と雨樋パーツを無駄にしてしまった気分である。ちなみに、KSモデルからもスシ28 151(製品名は「スシ37B」)は製品化されているが、こちらの方は現物を見ていないのでなんとも言えない。かてて加えてキングスホビーからスシ37740も製品化されているので、0番台の製作も可能であろう。しかし、スシ37800の製品(キングスホビー)がリベットなしだったのにはがっかりした。これでは同社で発売しているスシ37と同じではないか…。まぁ、スシ37は元を正せはシバサギ製ではあり、先に述べたとおり絶版になった模様だが。
マシ29
戦後復旧したスシ37のうち冷房を装備していたものがマシ29であり、これも0番台と100番台に大きく分けられる。スシ28と外観上で大きく違うのはスシ28の屋根にはベンチレーターがあるが、マシ29にはそれがない、という点である。ちなみに、マシ29からスシ28に編入された車両にはちゃんとベンチレータはついている。また、たった1両200番台を名乗っている車両があるが、この車両は特急「へいわ」用スシ47に改造された4両のうちの1両だが、他の車両よりも調理室を拡張したためスシ47 11と区別され、それがのちにマシ29に改称されたときに他と区別するために201を名乗ったものである。ちなみに残りの3両はのちにマシ29 102〜104に改称され、それが冷房装置を取り外されてスシ28に編入されたわけである。
先に上げた表の中に、「リベットありの可能性あり」という実に無責任な備考があるが、これらの車両は'34(S9)年製造で、その前年に作られた車両(スシ37800〜37809)にはリベットがあり、'35(S10)に作られた車両(スシ37814〜37820)にはリベットがない、という具合にちょうど谷間にはまっているため、どうにも判断のしようがなくこのような記述になったのである。写真で見ると、マシ29 106は確実にリベットはなさそうなのだが(サイドビュー国鉄一般型客車)、マシ29 201は写真によってあるように見えたりないように見えたりという実に厄介な状態である(サイドビュー国鉄一般型客車・鉄道ファンNo.27 国鉄鋼製客車12)。そんな中、
国鉄型車両ファイル
の伊藤様から情報をいただいたのだが、同HPに掲載されているマシ29 105写真を見る限り、リベットはついていない。基本的に、同一年に製造された同一車種は同一形態、という原則があるので(例外は一部あるだろうが)、おそらくこの4両に関してもリベットはなかった、と断言してもいいのではないだろうか。
模型製品では、スシ28と同じ状態である。
スシ48・マシ49
戦前のスシ37のうち、戦中にスハシ48に改造されたものの、戦後すぐにスシ37に復元されなかった車両が、戦後の急行増発で食堂車が不足したため、これらも食堂車に復元、本形式が誕生した。0番代はもとダブルルーフ車であるが、食堂車に復旧した際、シングルルーフの半切妻屋根になり、台車もスハシ38のTR73と交換している。また、10番代は、種車が元々シングルルーフかつTR73だったので、特にその点の改造はない。(厳密に言うと、これらの車両の台車はTR73Aである)このスシ48のうち、13・14・15を、「かもめ」用として冷房化して登場したのがマシ49である。
外観はスシ28とほとんど同じであるが、喫煙室部分(調理室を右に置いたほうの側面の、調理室と反対側部分)の窓が、スシ28と違って700mm窓1つになっている。(スシ28は600mm窓2つ)また、マシ29と違ってマシ49にはベンチレーターがついている。(もちろん、スシ48にもついている)
さぁ、製品化の状況だが、さてもすばらしきYELLOW TRAINが、いきなり他の食堂車とともにこの2形式をリリースした。個人的には久々のヒット製品である。すべてYELLOW TRAINのキットである。はじめ、私はこのキットも「どうせリベットなしだべ?」とたかをくくっていた。然るに、然るにである。スシ48はダブルルーフ改造のシングルルーフ(半切妻)車で、縦にもきちんとリベットが走っていて、マシ49も、実車に忠実に車体外周とシル・ヘッダーにリベットがついていた。特に、スシ48に関しては、正直なところ、狂喜乱舞である。「霧島」編成を創るにあたって、どうしてもこの車両ははずしたくない車両のひとつであるからである。スシ48は大きく分けて3種類あり、一番自作しにくい半切タイプを製品化してくれたYELLOW TRAINには、本当に感謝したい…のだが、スシ28 151の件でマイナス50点、といった感じである。一応確認したが、マシ49・スシ48のキットは窓割に誤りはないものようだ。ちなみに、マシ49のキットも、非冷房の床下で組んでしまうと、そのままスシ48 11・12になる。しかし…まさかスシ28 151までNで発売される、という事態は私の想像の範疇を超えていた。この時代の食堂車としてはもっともマニアックなもののひとつではなかろうか…。恐るべし、YELLOW TRAIN…。
下に'58-10現在の各車の配置をあげる。
スシ28 1 | 熊クマ | マシ29 1 | 門サキ | スシ48 1 | 鹿カコ |
スシ28 2 | 熊クマ | マシ29 2 | 門サキ | スシ48 2 | 鹿カコ |
スシ28 3 | 熊クマ | マシ29 3 | 門サキ | スシ48 11 | 鹿カコ |
スシ28 4 | 盛アオ | マシ29 4 | 門サキ | スシ48 12 | 鹿カコ |
スシ28 5 | 盛アオ | マシ29 101 | 大ミハ | スシ48 16 | 盛アオ |
スシ28 101 | 鹿カコ | マシ29 105 | 門ハイ | マシ49 1 | 門タケ |
スシ28 102 | 東シナ | マシ29 106 | 門ハイ | マシ49 2 | 門タケ |
スシ28 103 | 東シナ | マシ29 107 | 大ミハ | マシ49 3 | 門タケ |
スシ28 104 | 東シナ | マシ29 108 | 門ハイ | ||
スシ28 105 | 東シナ | マシ29 109 | 門ハイ | ||
スシ28 151 | 東シナ | マシ29 110 | 門ハイ | ||
マシ29 201 | 門ハイ |
これらの車両のほかに、オシ17 1〜4が大ミハに、5〜10が東シナに、マシ35 1〜3が東オクに、11・12が大ミハに、マシ38 1・2が東オクに、3〜5が東シナに、それぞれ配属されている。(’58-10現在)
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