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「×」
これがすべての始まりであった。
夏コミを2ヶ月前に控えたあの日、航空会社の予約サイトの該当運賃は「×」。
昨今の不況、年々値上がりする航空運賃に抗おうと少しでも安い運賃に集中するのは当然のこと。
千歳−羽田の片道運賃は多客期30000円。社会人にとっても決して安くない金額だ。
ましてやアルバイト並みの安月給では往復6万、はかなり厳しい。そんな折、ふと浮かんだのは、
「…また鈍行で行こうかな」
〜×から始まる鈍行の旅
東京夏の陣2003〜
■2003/8/13 20:30 札幌駅西コンコース
久しく忘れていた感覚だ。
鈍行乗り継ぎなんて社会人になってからとんとご無沙汰だ。
学生時代はヒマは余るほどあったが、いまや僅かな休みを汲々とわびしく過ごす悲しきリーマン生活。
今回の東京行きのスタートは「急行はまなす」
鈍行列車の旅なのになぜ、と思われるかもしれないが、今回の旅のきっぷは恒例の18きっぷではなく
「北海道&東日本パス」。 JR北海道とJR東日本の普通列車が5日間乗り放題で1万円のきっぷである。
それじゃあ18きっぷと大して変わらないじゃないか、と思うだろうが、このきっぷには「急行はまなす」乗車可能
という大きなワイルドカードを持っているのである。
北海道の鈍行列車旅には欠かせない存在であった「快速ミッドナイト」が亡き今、本州へ向かう唯一の座席夜行
である「はまなす」に乗車できるのは非常に大きな魅力だ。
しかも1万円という値段。札幌−東京間の片道に使うだけでも十分元が取れる。航空機の3分の1の運賃だ。
早速パスを緑の窓口でカード購入。
急行はまなすの出発は22時だが、パスで乗車できるのは3両しかない自由席のみ。早く並んでおくに越したことはない。
早くも5番線は行列ができている。さすがはお盆のハイシーズン。早めに来ていて正解だったようだ。
22時前、青い14系客車が札幌駅5番ホームにに滑り込んできた。
早めに並んでいたおかげで無事席を確保。
22時、客車独特の「ハイケンスのセレナーデ」のオルゴール音楽とともに札幌駅をゆっくりと発車した。
この「ハイケンスのセレナーデ」は戦時中のNHKラジオ「前線へ送る夕べ」のテーマ音楽として流されていたものであり、
"前線"へ向かう今の心境にぴたりとくるような音楽なのであるが…
札幌発車時点で乗車率は100%。立ち席こそでないものの座席に空きはない。
新札幌でさらに乗客が乗り込むとそのまま立ち席に。
その後、千歳、苫小牧、登別と乗り降りがあったもののそんなに混雑することもなく、深夜の鉄路をひた走る。
■2003/8/14 2:42 函館駅
急行は静かに函館駅のホームに滑り込む。
深夜にもかかわらずホームには長蛇の行列が。
こんな時間にどこから集まってきたのだろうかと思うぐらいの列の長さだ。
小さな子を連れた家族連れもいる。
函館の人にとってはこの急行は東北方面への重要な連絡列車なのである。(※私は元・函館人)
ここから列車は進行方向が逆方向になるのだが、さすがに休んでいる人を気遣ってか、座席を回転する人は
ほとんどおらず、みんな逆向きのまま列車は青森へ向かい始めた。
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