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東京冬の陣・第2部 『冷い冬、熱い冬』

『コミックマーケット55戦線・陣中日記』
注意:一部に専門的知識を要求する文章がありますのでご了承下さい。

1998年12月28日
新宿から山手線で上野へ向かう。中央線でも良かったのだが、単に乗換えがかったるいだけである。
上野に荷物を置き、混雑している東京を避けゆりかもめの起点、新橋へ向かう。
まだ日の出前の薄暗さが残る新橋駅は既に有明へ向かう人々でにぎわっていた。
いかにもいう感じのカートを牽いた人やグループの女の子達。むさい野郎共(…自分もか)
ビラ撒きが何人もいる。 早朝から賑やかな駅である。

午前七時。東京湾の淀んだ東の空からゆっくりと朝日が昇ってきた。
ビルの谷間に朝日が反射して輝いている。
とりあえず駅そばで腹ごしらえをし、ゆりかもめでビッグサイトへ向かう。

ゆりかもめを降り、西の列に並ぶ。
まだ開場まで二時間半もあるというのにかなりの列が連なっている。
しかし、寒い。北海道の寒さとは異質の寒さである。気温は氷点下にもなってないはずなのだが
コンクリートの谷間では地面からの熱も感じることは出来ず、底冷えするコンクリ床に新聞紙を敷き
じっと開場の時を待つことにした。

1015ごろようやく私のいるところの列が動き始めた。
皆ぞろぞろとビッグサイトに吸い込まれていく。

西館(西ホールか)への行列。 文字入りは こちら  (66KB)

あの沖縄海洋博のアクアポリス(古いか…)にも似た逆四角錐の奇妙な建物の下で西四階(企業ブース方面)
と東方面へ流れる列が別れるのだが、西四階への列は既に階段のあたりで行列になっている。
ゆるゆると西四階屋上広場への階段を上るとコスプレ会場が区切られ、その外側を
行列が取り巻く格好になっていた。
私が本日目指す本丸は『リーフ・アクアプラス』のみ。
だが、私と同じく列に並ぶ兵共もその思いは同じらしく皆吸い寄せられるように最後尾の列へ付いてゆく。
既に列ははるか彼方まで先に延び、先頭は見えやしない。
一列四人で見ても数千人単位の人間が並んでるのは間違いないであろう。
それでも昨年の夏は危うく焼き殺されそうになったくらいの過酷な環境だったから
気温の低い今回はそれほどきつくないであろう…と考えた私はは甘かった。
何とも風通しの良い西四階。寒風吹きすさぶ過酷な環境は相変わらずで有る。

しかし一向に列が動く気配がない。5分に一度2、3歩動いたかと思うとすぐ止まる。
その間、更衣室から出てくる女コスプレイヤーの痛い視線を浴びながら延々と列に並ぶ
むさい男共の姿は何とも哀れである。
こうして並んでいる間にもこの大勢の行列を見逃すはずもなくいろんなビラ撒きが来る。
並んでる間は暇なのでついついじっくり見てしまう。
エロいのやらエロくないのやら野郎共の喜びそうなチラシばっかりだったが…
でも気持ちは葉っぱ袋へ先行してるので具体的に何があったのかすら覚えてない。(笑)

延々行列に並ぶこと1時間半。ようやく角を曲がる…しかしその先にはさらに延々と続く列。
ここで私の隣の兄ちゃんはこの情景を見、ついにギブアップして戦線離脱。

『根性足りないねぇ。(ニヤリ)』

と私は思ったのだが、後でどう考えてもこんな大行列に
並んでる方が異常ではなかったのか?と言う思いが頭を過ぎるのである。 ま、いっか。

さて、角を曲がりなおも続くLeafへの列。

30日の東鳩ライブチケット引き替えの人はどうやらいないようだ。
ちなみに私の抽選券は「C」。もちろんはずれ。(当選は「G」)
このライブチケットは発売時にかなりごたごたがあったようで、一時は闇相場でチケット引換券が
万単位の値を付けて売られてたようだが、結局30日の夕方にはかなり余りが出てLeafFCの二次販売
で全員が買えたという何とも皮肉な結果となったのである…
会場の方もCDの売れ行きにも関わらずかなり空席があったようで、何ともかんとも…(^^;

ところが角を曲がると列は日陰に。
今まではまだ日なたで寒さを耐えることが出来たが、日陰に入ってからが厳しくなった。
コンクリ床の底冷えする中なおも行列は続く。
既に先は見えてるのになかなか行列は進まない。
ようやく列の先頭へ着いたのは午後1時半。既に並び始めて3時間である。
良くまぁ暴動が起きなかったもんだ。(笑)
私の後ろには延々と続く列。彼らのこれからの運命は私が辿った道と同じなのである。
覚悟しとき。

でLeafブースで買ったのは
紙袋3袋
(微笑)
計300円也。
♪あかーいあかーい あかいりーふのかみぶくろー♪
♪こみぱにとうはとたのしいな らんらんらららん らん らん らん♪(?)

証拠物件写真

この時点で燃料消費率70%。予想以上の体力消耗である。
しかしこのまま有明の地で倒れるわけにはいかないのである。
Leafブースを早々に引き揚げ、めざすは国際同人誌紹介コーナー
知り合いのコリアン留学生(笑)趙氏のサークルが今回出品するとのことでご挨拶に伺う事へ。

…いました。
スタッフの方と日本語で談笑してるガンダム帽をかぶった方が。
そういう私がかぶってるのは韓国SAMSUNGの作業帽。怪しさ満点である。
とりあえず挨拶もそこそこに趙氏との歓談のために下へ降りる。
ネット上でも全く達者な日本語であるが話していても全然違和感がない。
しかもこの有明の今日の雰囲気にしっくりとはまってるから尚一層である。

結局この後、この日は他のサークル(東)を回る気力もなくさっさと有明を後にしたのであった…


1998年12月30日

2日目。いつもの定宿のカプセルホテルを出る。
この日は若干遅めの出撃。(単に起きるのが遅かっただけ)
東京駅から都営バスに乗り一路戦場有明へ。
この時間は野郎共は既に行ってしまってたのか意外なほど女性が多い。

進軍ラッパこそ鳴らないものの、冬の輝く朝日に否が応でも戦意高揚させられる。

この日も特に途中トラブルなく9時頃無事会場へ。
西の列に並び、ラジオを聴きながら会場への突入準備を図ることとなる。
ところが、昨日とは異なりこの間ずっと立ちっぱなしでの待機である。
朝飯をろくに取ってない私にはかなりきついものであった。

10時45分過ぎ会場へ突入する。
昨日とは違いやはり東への流入がかなり多い。

東館がメインの私は、事前調査に基づき襲撃目標を策定してたので
迷うことなく野郎共の激流の中、目標へ突入を図る。
壁サークルでもさして並ぶことなく買うことが出来、他のサークルでも予定どおりに
新刊購入を果たし当面の目標をクリアした。

今回は特にLeaf関係のサークルが急増し、東館「C」区画はサークルカットがPCゲーム”ToHeart”の
人気キャラ「HMX-12マルチ」で制圧され、まさに「マルチ街道」の様相である。
非常に混雑している東館だが、特にこれらの一角は人の流れの密度が異常に高くサークルの本を
見ることすらままならない状況。
その激流の中へ今回、後学のためあえて身を投じることとした。

『”マルチ街道”を行く』(司馬 遼パロ)
「マルチ街道」その名は私が付けたものだが、言い得て妙である。
Leaf(アクアプラス)の作品は主要4作(雫・痕・ToHeart・WhiteAlbum)が人気を博してるが
その中でもマルチ(作品名:ToHeart・以下「東鳩」)の人気が群を抜いている。
確かに東鳩はキャラ的に萌え要素が多く、その中でも注目株のマルチが全面に出るのは
当然のことかも知れない。今回のコミケのコスプレでも東鳩キャラの比率が昨夏に比べ上昇し
企業ブースは昨日同様盛況。まさにコミケはLeafの「葉っぱ」色に塗りつぶされたかのような
印象さえ受ける。
しかし、これらの印象はあくまでも初日の事前情報に基づくものでしかない。
実際の所はどうなのか?私の期待は膨らんでくる。

天井の吊りボードとサークル位置表示ボードで確認しながら人の波をかき分けながらC地区へ向かう。
東館の一番西側寄りに位置するこの一帯は「ギャルゲー」過密地域であり、周辺では人の流れはより一層
密度を増し、完全に臭い立つような野郎”だけ”の激流となっていた。
通路の存在さえ見えなくなるようなその中を身体をねじ込むようにしながら進んでいく。
立ち止まろうものならたちまち後ろからの人の波と前からの人の流れで翻弄されてしまうであろう。
ざっと見たところ新入サークルが多いせいか質・量ともに満足できるようなレベルにあるところが少ない。
新刊1種だけ並べてる所や、ラミバ専門工房のようなサークル、落書きコピー本だけの所。
まさに玉石混淆である。しかもこの人の多さである。じっくりと検討できる時間はない。
周辺が「ギャルゲー」エリアと言うこともあり消費需要は輻輳しているようだ。Leaf他作品や
今回突如出現した新興勢力Tactics(タクティクス・以下「タクテ」)や古豪F&Cなどの勢力も繁盛してるようである。

辺りを見回すと今回はLeaf紙袋を持って歩いてが心なしか少ないように思える。
前回はまさに会場を歩けばLeaf・Leafとあちこちでその袋が見られたものだが
今回はその姿が些か少ない。総本山とも言えるこのギャルゲーエリアでもLeafの紙袋の
威力は薄らいでるように感じられる。

ムーブメントの動きは非常に移ろいやすいものであるが、コミケでは特に顕著である。
セラムン・エヴァと流れてきた大きなムーブメントがいまLeafなどのゲーム系に移りつつあるようだ。
夏の混沌とした状況から抜け出たような、そんな気がする。

しかし、それと共にムーブメントの終焉に対する危惧がある。
この冬コミではかつて一大勢力を誇ったエヴァサークルが分散配置となり一つの時代の
終焉を感じた。私の行きつけのサークルも店じまいするところが出てきている。
確かに大手サークルも手を付けだしたLeaf関連もこのまま盛り上がっていくとは考えにくい。
ある一定の盛り上がりがあった後は終焉を迎える。そしてまた新しいムーブメントを求める。

その繰り返しである。
今、Leafは大きなムーブメントの流れに乗っている。
だが、それと同時に終焉への急激な流れにも乗っていることを感じさせられる。

…その根拠は?と尋ねられれば「なんとなく」としか今は答えられないが。

「マルチ街道」を何度となく人々の流れにもみくちゃにされながら歩き、ぼろぼろになって東館を後にする。
西館はメカミリタリ・JUNE・創作などのいわば「同人誌」の始祖のような高尚な雰囲気漂う地区である。
東館とは違い、野郎共の欲望がぶつかるような血気だった騒々しい雰囲気でなく、落ち着いた時間が流れる
緩やかなところである。
客層も心なしか女性が多く、何といっても匂いが違う。「むさ苦しい」と言う雰囲気は全くない
ゆえに落ち着いて同人誌を探すことが出来る。

私はここで閉会まで過ごすこととなった。

午後四時。閉会アナウンスと共に一斉に拍手が沸き起こる。
万歳三唱も起きている。
戦闘時間6時間。有明の闘いは終わった。

しかし闘いはなおも続くのである。
今度は己の体力の限界との闘いが…

続く

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