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シベリア抑留者の愛唱歌

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① ああシベリアの戦友よ ② 異国の丘 ③ カラカンダ小唄
④ 岸壁の母 ⑤ 岸壁の妻⑥ 岸壁を越えて
⑦ 九段小唄 ⑧ さらばナホトカ ⑨ シベリアエレジー
⑩ シベリアの亡き友に ⑪ シベリヤ鴉 ⑫ シベリアの声
⑬ 遠いあの日のカラカンダ ⑭ 涙の再会 ⑮ ハバロフスク小唄
⑯ 望郷バラライカ ⑰ ラーゲル哀歌 ⑱ ロシアの片言葉
⑲ 靖国の戦友に ⑳ 呼子星  



① ああシベリアの戦友よ 唄・塩まさる 作詞・吉澤秀夫 作曲・春風亭柳昇
1 夏さえ寒き シベリアおろし
 大地に眠る 亡き戦友よ
 鈴かけの塔に 願いを込めて
 故郷まで響け 故郷まで響け 鈴の音よ
2 母恋星に 切なくすがる
 帰国(ダモイ)の夢も むなしくて
 身を裂く作業(ノルマ)に 北風が哭く
 日本の酒だ 日本の酒だ 飲んでくれ
3 雁さえ帰る ねぐらがあるに
 お前のねぐらは 何故にない
 やがて花咲く 春も来るぜ
 亡友(とも)よ我慢だ 亡友よ我慢だ 待ってくれ
4 シベリアの空 真っ赤に燃えろ
 夕焼け小焼けの 歌声に
 迎えの船で 語ろうじゃないか
 平和日本に 平和日本に 暮らそうよ
 

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② 異国の丘 (昭和23年) 唄・竹山逸郎 作詞・増田幸治 作曲・吉田正
1 今日も暮れゆく 異国の丘に
 友よ辛かろ 切なかろ
 我慢だ待ってろ 嵐が過ぎりゃ
 帰る日もくる 春がくる
2 今日も更けゆく 異国の丘に
 夢も寒かろ 冷たかろ
 泣いて笑って 歌って耐えりゃ
 望む日がくる 朝がくる
3 今日も昨日も 異国の丘に
 重い雪空 陽が薄い
 倒れちゃならない 祖国の土に
 辿りつくまで その日まで
 

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③ カラカンダ小唄 (昭和54年) 唄・塩まさる
1 空は晴れたよ 陽炎もえて
 三年巡った 荒野の春よ
 ノルマノルマの 炭鉱通い
 ここはシベリヤ カラカンダ カラカンダ
2 汽笛鳴る鳴る 製材所(ドック)のあたり
 貨車の木の香が 心に沁みる
 ままよ男だ 手に手を取って
 おろす材木 月の下 月の下
3 雪は解けたよ 建築現場(ジロストロイ)に
 運ぶ運搬具(ナシルキ) 積み込む煉瓦
 汽車は往く往く 朝靄ついて
 俺の乗る日は いつじゃやら いつじゃやら
 

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④岸壁の母 作詞・藤田まさと 作曲・平川浪竜
1 母は来ました 今日も来た
 この岸壁に 今日も来た
 とどかぬ願いと 知りながら
 もしやもしやに もしやもしやに
 ひかされて
2 呼んで下さい おがみます
 ああ おっ母さん よく来たと
 海山千里と 云うけれど
 なんで遠かろ なんで遠かろ
 母と子に
3 悲願十年 この祈り
 神様だけが 知っている
 流れる雲より 風よりも
 つらいさだめの つらいさだめの
 杖ひとつ

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⑦ 九段小唄 唄・塩まさる&江崎はる美 作詞・吉澤秀夫 作曲・古山英二
1 雪のシベリア 後にして
 やっと着いたぞ 九段坂
 おーい俺だよ あの俺だ
 よーく見てくれ この顔を
 貴様恋しく やって来た
2 貴様 大陸 戦車隊
 お前 南で 飛行兵
 俺は満州で 歩兵だよ
 よくぞ生きて 帰ったな
 九段ざくらが 笑ってる
3 貴様つるつる まぶしいな
 お前白髪の おじいちゃん
 俺が一番 若いかな
 ともに元気で いたんだね
 九段ざくらが 笑ってる
4 様社長の ガラじゃない
 お前ソバ屋か お似合いだ
 俺は田舎で 百姓さ
 よくぞやったな がんばった
5 名残り惜しいが お別れだ
 たどる人生 それぞれに
 日本を俺らが 担うのだ
 よくぞ言ったな 誓おうぜ
 

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 さらばナホトカ唄・塩まさる 作詞・吉澤秀夫 作曲・古山英二
1 夕日が落ちた シベリア大地
 見上げる星に 今宵また
 祖国の空に 思いを馳せて
 囲む焚き火が 母を呼ぶ
2 つつじ群れ咲く ハプチの丘で
  戦友よ負けずに 頑張ろう
  あの海越えりゃ 日本じゃないか
  故郷の緑が 待っている
3 春・夏過ぎりゃ 凍てつく道を
 捕虜の仲間が 登り行く
 握る拳が 強制労働(ノルマ)に耐えて
 生きよ帰国(ダモイ)の その日まで
4 英霊(とも)よ さよなら ナホトカ港
 残る波路が 消えて行く
 迎えの船で 語ろうじゃないか
 はるか涙の 七ッ星

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 シベリアエレジー (昭和23年)唄・伊藤久男 作詞・野村俊夫 作曲・古賀政男
1 赤い夕陽が 野末に燃える
 ここはシベリア 北の国
 雁が飛ぶ飛ぶ 日本の空へ
 俺もなりたや ああ あの鳥に
2 月も寒そな 白樺かげで
 誰が歌うか故国の歌
 男泣きする 抑留暮らし
 いつのいつまで ああ続くやら
3 春の花さえ 凋まぬうちに
 風が変われば 冬がくる
 ペチカ恋しい 吹雪の夜は
 寝ても結べぬ ああ母の夢
4 鳴いてくれるな シベリヤ鴉
 雲を見てさえ 泣けるのに
 せめて一言 故郷の妻へ
 音便(たより)たのむぞ ああ渡り鳥
  

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⑩ シベリアの亡き友に  
1 いつもいつも 思い出す
 シベリアの地の 亡き友よ
 広く冷たい 異国の地に
 骨を埋めた 君たちと
 共に暮らした 朝・昼・夕べ
 共に手にした 黒パンを
 忘れはしない 忘れはしない いつまでも
2 今の日本は 戦さを捨てた
 平和の国に なりました
 こんな明るい 世の中は
 尊い命の 贈り物
 共に歌った あの歌を
 共に夢見た ふるさとを
 忘れはしない 忘れはしない いつまでも
  おやすみなさい おやすみなさい
    やすらかに やすらかに

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 シベリヤ鴉 
1 紅葉の燃ゆる ふるさとは
 今も変わりは ないだろうか
 故国をはるか シベリアぐらし
 やつれしこの身 いとおしく
 南へ渡る 雁悲し
2 シベリアおろし 狂うとも
 燃える血も ある意気もある
 零下五十度 月さえ凍る
 斃れし戦友の 亡骸を
 シベリア鴉 舞い狂う
3 故国を発つ日 見送りし
 母の面影 胸に抱き
 凍る異国の 夜空に誓う
 倒れはすまい ふるさとの
 恋しい母に 会う日まで
 

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 シベリアの声作詞・木谷一星 作曲・原田充雄
1 シベリアの凍土に眠る同胞が
 日本恋しと呼んでいる
 戦い終わり三十年
 花を供える人はなし
 ああシベリアは遠い寒い国
 アムール河も渡れない
2 シベリアの曠野に散りし同胞が
 父母恋しと叫んでる
 敗れし日本 山河美しい
 豊かなる国ことづてん
 ああシベリアは遠い寒い国
 ウラル嵐が吹きすさぶ
3 シベリアに恨みを残せし同胞が
 祖国日本と呼んでいる
 還らざる戦友五万五千
 墓に詣でる人もなし
 ああシベリアは遠い寒い国
 ボルガの春はまだ遠い
 

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 遠いあの日のカラカンダ (昭和54年)唄・塩まさる 作詞・東義壮 作曲・大久保格也
1 春もうららの 祖国は遠い
 ここはシベリヤ 吹雪に暮れて
 収容所(ラーゲル)ぐらしも ひとふた三年
 ああ帰国(ダモイ)の その日まで
 俺もお前も 耐え抜いた
 遠いあの日の カラカンダ
2 何を啼くのか シベリヤ鴉
 母や妹 瞼に描き
 建築現場(ジロストロイ)へと積み込む煉瓦
 ああ帰国のその日まで
 俺もお前も 耐えぬいた
 遠いあの日の カラカンダ
3 俺は鉄工所(エルベーベー)
  お前は製材所(ドック)
 今日もあいつは 農場(コルホーズ)
 骨身も凍る シベリヤおろし
 ああ帰国の その日まで
 俺もお前も 耐えぬいた
 遠いあの日の カラカンダ
 

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 涙の再会 唄・塩まさる&三門順子作詞・高橋掬太郎 作曲・細川潤一
1 お帰りなさい お父様
 お帰りなさい お兄様
 鉄の帳の シベリヤで
 骨を凍らし 身を腫らし
 ご苦労なされた 幾年を
 思えば思えば ただ泣ける
2 達者でいたか 妻も子も
 達者でいたか 妹も
 便りできない あの空で
 愛しお前を 夢に見て
 泣き泣き眺めた 北斗星
 唇噛んだも 幾度か
3 手をとり合うて 親と子が
 手をとり合うて 兄妹が
 生きて相見た 感激に
 仰ぐ行く手の 青い空
 かがやく涙の うれし泣き
 

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⑮ ハバロフスク小唄 (昭和24年) 唄・近江俊郎 作詞・野村俊夫 作曲・島田逸平
1 ハバロフスク ラララ
 ハバロフスク ラララ ハバロフスク
 河の流れは ウスリー江
 あの山もこの谷も 故郷を
 想い出させる その姿
2 母の顔 ラララ
 母の顔 ラララ 母の顔
 浮かぶ夜空に 星が出る
 ただひとつ呼んでいる あの星は
 遠い我が家の 窓あかり
3 元気でね ラララ
 元気でね ラララ 元気でね
 やがて帰れる その日まで
 今宵また逢いに行く 夢で行く
 可愛いあの娘の 枕元
 

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⑯ 望郷バラライカ (昭和26年) 唄・田端義夫 作詞・大高ひさを 作曲・倉若晴生
1 春も七度 オゴニカの
 花も馴染みの 丘の上
 夢も帰国に また泣き暮れて
 ひとり爪弾く バラライカ
2 瞼閉じれば 富士・桜
 忘れかけたる 故郷なまり
 ここは地の果て 抑留ぐらし
 歌も異国の 風に散る
3 なまじ笑顔で 振り返る
 青い瞳の 母と子よ
 せめて通えよ 三すじの糸に
 俺も故郷じゃ 人の親
4 今日も生きてた この胸を
 泣いてくれるか バラライカ
 男涙を 紅 染めて
 哀れノルマの 陽が落ち
 

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⑰ ラーゲル哀歌 唄・塩まさる
1 ふるさと遠く 幾千里
 南はるかに ヒマラヤの
 連峰仰ぐ 収容所
 身を切る寒さ 強き風
2 北斗のきらめき 変わらねど
 大義に生きし 我ら兵
 愁いは暮れの 鐘に似て
 仰ぐ夜空に 涙あり
3 働く国の 鎌と槌
 ノルマの重さ 掘る鍬は
 こだま悲しく 月悲し
 たらちねの母は 今いかに
4 スコーラダモイも 早や三歳
 働く我ら 誰が為ぞ
 剣(つるぎ)捨てしは 誰が為ぞ
 夢は日本の 桜花
  (註・スコーラダモイ=早い帰国)

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⑱ ロシアの片言葉 作詞・木谷一星 作曲・山川咲子
1 シベリアの小さな町
 初めて会った リーナ
 茶色の髪 ツブラナ瞳
 歳は十八 可愛い娘
 今も忘れない リーナ
 ズドラースチー(コンニチワ)
2 シベリアのカントーラ(事務所)
 買い物篭の リーナ
 口笛吹いて ハンカチを振り
 明日も会います 可愛い娘
 若い思い出の リーナ
 リュビーナ(愛する)
3 シベリアの小さな町
 プラウダ読んで リーナ
 ダモイの記事を教えてくれた
 嬉しかったよ 可愛い娘
 あの日懐かしい リーナ
 スパシーバ(ありがとう)
4 シベリアの別れの日に
 唇染めた リーナ
 カンナの花を 泣いて呉れたが
 再び会えぬ 可愛い娘
 遠い思い出の リーナ
 ダスビダーニャ(サヨウナラ)

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⑲ 靖国の戦友に 唄・塩まさる
1 戦友の礎 あったから
 御国は平和に なりました
 明るい笑顔が 街角に
 そこにもここにも 見られます
 いつも感謝を 忘れません
2 戦友の助けは 忘れない
 月日は流れて 飛び移り
 幾年過ぎた 今もなお
 あの時あの日 あの戦さ
 語り継ぎつつ 祈ります
3 戦友の誓いを 無駄にせず
 世界に平和が 続くように
 みんなで力を 寄せ合って
 平和の鐘を 打ち鳴らす
 永遠に御霊よ 安らかに
 

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⑳ 呼子星 昭和24年) 唄・田端義夫 作詞・萩原四朗 作曲・倉若晴生
1 巡る春秋 七つを数え
 遠く夢見た 故国の丘 故国(くに)
 幼馴染の椿は 咲けど
 帰る日暮れの 身は独り
2 雪のシベリヤ 収容所の窓に
 夜毎見上げた 呼子星 (キャンプ)
 千里はるばる 潮路を越えた
 生まれ故郷に 何故出ない
3 さぞや辛かろ 寄る年波の
 どこをさまよう お母さん
 やせた姿が ちらちら浮かぶ
 熱い瞼の 呼子星
 

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