|
なぜか芝生に出されたテーブルで |
13日、月曜。旅立ちの日。8時に起き、荷物をまとめてユキコさんの部屋に置かせてもらい、 レセプションへチェックアウトをしに行き、監禁されていたパスポートを返してもらう。
ユキコさんの作ったチョコミルクを飲み、なぜか朝起きたら、芝生に出されていた テーブルで、アヤカちゃんとユキコさんと3人で、ランチを食べる。
ユキコさんは、ズッキーニを首になったけど、ここでもう少し働いてから、ケアンズ、マウントアイザ、テナントクリーク、アリス、ザ・ガンに乗りアデレード、そしてエスペランス、パース、パースからはツアーで西の海を満喫して北上し、 ダーウィンがオーストラリアの最終目的地という旅をする予定だ。 タカシとはパースあたりで会えるかもしれないし、私も、パースで一緒に会えるか、パースを出て北上する 頃に、どこかで会えるかもしれないという話をしているうちに、 そろそろキャラバンパークを出る時間になった。 バスは、午後1時20分に、シェルにやって来る。2ヵ月半前に、私がここへ到着したのと 同じバスが。
|
レセプションへ向かう道 |
バス停であるシェルまでの、少し遠い道のり、ユキコさんとアヤカちゃんが荷物運びを手伝ってくれる事になった。 ゆずの「サヨナラバス」を歌いながら、「予定時刻は1時20分〜♪」と替え歌にしながら、笑い話をしながら、写真を撮りながら、歩いた。 いつも、買い物へ行くために歩いた道を、バックパックを背負いながら、歩いた。 もう2度と、キャラバンパークへ向かう道を歩くことはないのだと、かみ締めながら。
シェルに辿り着き、「さみしーさみしー」と3人で言いながら、バスを待つ。
不安だらけの中、1人でここへ降り立った日から、2ヵ月半。 みんなとの出会いと、スノーピーズとの出会いと、 キャラバンパークでの様々な人との出会い。 シドニーでの人々との出会いで、最高だと思っていたけど、まさか、こんな何もない、名前も知らなかった、チルダーズという田舎町で、 こんなにも楽しい日々との出会いがあるなんて、想像もしなかった。ここでの日々を思い返し、別れを思うと、3人とも無口になる。
|
シェルから旅立つ |
そしてついに、20分遅れで、「Cairns」と書かれたバスが来た。 帰国が数週間後に迫るアヤカちゃんとは「また日本で会おう!」と、 ユキコさんとは「また日本かオーストラリアで会おう!」と言葉を交わし、握手とハグという、欧米的な別れの挨拶をし、 泣きそうになるのを押さえ、バスに乗り込み、窓の外にいる2人に手を振りながらバスは出発した。
いつも歩いたキャラバンパークへの道、そして「Sugar Bowl Caravan Park」を通りすぎ、 ケアンズへ向けて走り続けるバスの中で、私はチルダーズでの事ばかり考えていた。 みんなの事ばかり考えていた。
これから旅がはじまり、違う街へ行き、新しいものを見て、新しい人と出会っていくに連れて、 チルダーズの日々を忘れていくのではないか。みんなも旅をしていくうちに、そして日本へ帰ると 忘れていくのではないか。そう思うと、何とも言えない気分になった。それでも、時間は流れ、 日々は積み重なり、旅は続いていく。