このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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9. 走り去る車
Childers AUGUST

ピッキングの証、赤土色の靴
12日、日曜日。

明日旅立つ私は、朝から洗濯をする。 ここでは、全て手洗いで済ませるという節約生活を送ってきたが、最後ばかりは洗濯機を使うことにした。 寝袋も、赤土色の仕事用の服も、帽子も、何もかもを洗う。白かったはずが、すっかり赤土色が定着した靴も、洗う前の姿を写真に収め、洗うが、 完全に汚れは落ちず、薄いオレンジ色の靴と化す。



芝生で、くつろぐ

洗濯を終え、芝生でくつろぐ皆の所へいく。今日はタカシが旅立つ日だ。 コウイチとアヤカちゃんは仕事へ出払っており、 アキとユキコさんは、ズッキーニの仕事が休みなので、3人で見送る事になった。 再び、車での一人旅を始めるタカシの今日の目的地は、ロックハンプトン。 「じゃあ、いくわ」とタカシが言い、ついに出発の時がきた。


タカシの車
アキとユキコさんと3人で「さみしいなー」と言いながら、車に乗って来るタカシを待つ。 タカシの車が登場し、記者会見のように皆でカメラを向け、握手し、「また!」と別れ、 タカシの車は坂を上り、キャラバンパークを出て行った。3人で「行っちゃったねー」と言い、 「タカシの車見えるかなー?」と芝生の所へ行き、パシフィックハイウェイを見ると、 ロックハンプトンへと走るタカシの車が一瞬見えた。

3人で、「Childers会、絶対やろう」「この中で、最後に日本に帰るコウイチが帰国する4月頃にやろう!毎年やろう!」 と話して、寂しさを紛らわせた。アキが、「おじいちゃんやおばあちゃんになるまで、1年に1回やったとしても、生きているうちに何回会えるんだろうね」 と言った。チルダーズでの生活が、日常であった日々は、もう来ない。Childers会の6人が、日常の中で揃う時は、もう来ない。 当たり前のように一緒にいた仲間たちとの別れは、思ったよりも、ずっと寂しい。

しんみりとしてばかりは居られない。おじいちゃんが、ここを出て行った時と全然違うなーと笑いながら、 私は明日の旅立ちのため、荷物の整理に取り掛かり、アキは、ユキコさんの部屋が一人分空いたので、移動をはじめた。 昼ごはんは、みんなで「かぼちゃシチュー」を作る。作っている途中にコウイチが仕事から帰って来た。 アキとユキコさんの力によって、小麦粉とかバターとか牛乳を使って作る、見事なシチューが出来上がり、 みんなで「おいしー!」と感激の声を上げながら食べる。余ったので、夜にも食べることにした。

みんなで出会帳を書き合っていると、アヤカちゃんが最後の仕事を終えて帰って来た。 シドニーにいた頃、色々なことで落ち込み、日本に帰りたがっていたのに、今では、もうすぐオーストラリア1周を終えようと しているアヤカちゃん。 「ほんの体験のつもり」でここへ来たけど、最終的には7週間もの間、スノーピーズを収穫し続け、そして今日、 仕事を終えたアヤカちゃんのすがすがしい顔は、旅と仕事で強く成長した事を物語っているように見えた。

最後の晩餐は、みんなでシチューディナーを食べた。語り、写真を撮っているうちに、 朝の早い労働者たちの消灯時間になった。2ヶ月半同じ仕事、そして同じ部屋で、私の歯軋りの拷問に耐えたマリアンに 、感謝と謝罪の表現と共に、最後の別れの言葉を交わした。

そして、明日は朝早くから仕事に出払うアキとコウイチとも、別れの時が来た。 コウイチとは、これから旅していく方向が同じで、お金がギリギリな事も同じなので、「また、どこかのファームで会おう!」 と、貧乏旅人らしい別れの言葉を交わし、「お互い頑張ろう」と激励し合った。 アキは、1ヶ月もたたないうちに帰国の日が迫っているので、オーストラリアで会うのは、これが最後。 ズッキーニという過酷な仕事を、頑張り続け、仕事中には外人とも楽しくしゃべり、 いつも明るく、料理も上手く、言うべき事、言いたい事をハッキリと言う、私にはできない数々の面を持つアキとは、 シドニーにいた頃よりも、ここで当たり前のように仲良くなれたことが嬉しかった。 それでも別れはやって来る。 硬い握手と共に「また、絶対日本で会おう」と別れの言葉を交わした。

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