梅雨が明けようかという、7月15日の金曜日の夜、私たちは御殿場に集合した。何が目的って、お年頃(?)の私たち、御殿場アウトレットでショッピングでもしたい所だが、 御殿場駅を降りて、酔っ払いが行き交う、怪しげな店が立ち並ぶ駅前を通りすぎて集合する場所は、 とあるビジネスホテル。
ミッションを実行する3人が揃ったのは、日付が16日に変わろうかという夜更けであった。 使い古したバックパックを背負って、各地から集った我々の共通点は、「ワーホリ」「オーストラリア」 であり、使い古され、しかし近頃では押入れで眠るだけであったバックパックは、かつてラウンドをした、 野性的で強靭だった、あの頃の証である。
今となっては、すっかりOLとして振舞う私たちの可憐さからは、もはや、その影は見えない。 しかし、このミッションを実行するためには、その可憐さもかなぐり捨てて、野性的な感覚、そして強靭な魂と心を取り戻さねばならない。 なぜならば、相手は日本一の山、マウントフジであるのだから。
ミッションを実行する3人の真剣な、登山計画。それは血液型対策からであった。 私以外の2人は、B型であると知り、「えぇー2人ともB型かー」などと、うっかりいつもの調子で言ってしまい、 「A型とB型って合わないんだよねー」と、いつも地元のB型の友達に言われると同じように言われ、 「でも私は地元でもB型の友達が多いから、大丈夫」などと、またうっかり失言し、「それはB型の扱いには慣れてるってことなのー?」 という展開になるのであった。A型対B型の抗争は、どこへ行っても絶えないようだ。
A型特有、というか、私特有の、我慢してあげてる感、円満に収めようと、不満を溜め、それが爆発して、全てが終了してしまう公式に 注意して、登山しようということで、話はまとまった。B型対策の方が必要だという気がするが、そこは口を慎んでおくことにする・・・ というような我慢してあげてる感が、私特有の悪い癖である。
こうして、エキストラベットを広げたがために、ベットだらけになった部屋で、登山前夜は更けていった。