このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

About
WorkingHoliday
旅日記
旅する日本
SKY
BBS
LINK
管理人
放浪LIFE


4クネ/富士登山、アゲイン。

夕空鳥居だ!本七合目だ!

夕空に夢中になって、歩を進めているうちに、鳥居が見えた!本七合目だ!ゴールはすぐそこ! 時計の針は、すでに19:00をさしている。

夕空の後、迫り来る闇。

飽きもせずに、夕空の写真をいつまでも撮り続ける私を追い越して、アキが先に鳥居をくぐり抜け、 本七合目に到着したようだ。鳥居まであと数歩という私の元に、アキから「満員だってー」という 地獄からのようなセリフが聞こえてきた・・・。

え・・・。もう日が暮れていってますが・・・。え・・・。もう、体力ありませんが・・・。 え・・・。え・・・。え・・・。 薄暗くなっていく辺りを見渡し、上に小さく見える八合目の山小屋を見る。近いようで、遠い。 本七合目の山小屋の人に聞くと、八合目までは30分で行けるようだ。私たちなら倍かかると予想し、1時間か・・・。

へこんでいても仕方ない、とりあえず八合目をめざすしかない。予約をしているのは本八合目で、さらに上ではあるが・・・。 八合目で泊まれることを願って、進む。懐中電灯を取り出して、進む。足場に気をつけて、進む。 途中から、ロープのない、広い道へ出た。急な傾斜。間違えて右へ寄りすぎれば、急な坂を転落していくに違いない、 危険な道。「ロープ貼れよ!!危ない道やなー!落ちるで、これ!!」と文句を垂れ流しながら、用心深く進む、進む。

どんな状況でも文句を垂れ流す私ではあるが、風もなく、雨も降らず、月や星が見える好天に恵まれているため、辛さは小規模だ。 去年、暗い道を、吹き飛ばされそうな強風と、小雨が降る、凍えそうに寒い中を歩いたことを思えば、 何てことない状況だ。死と隣り合わせかと思わせる天候の中、初めての富士登山を頑張る自分に涙が出そうなほど感動した、あの感動は、 もう味わえないのだと、少し落胆した。2度目とは、そういうものなのかもしれない。

それでもフラフラになりながら、八合目に到着したのは、20時。予約してある本八合目の山小屋と、ここの山小屋は 姉妹店のような形になっており、無理を言って、八合目で泊まらせてもらえることになった。有難や。

「狭いですよ」と念を押された寝床は、梯子で2階へ上がり、さらに屋根裏へと上がった場所であった。 屋根裏の木をまたぎ、寝床へ。夜中にトイレに行くときは、絶対に人を踏んでしまう状況。夕食のカレーライスを美味しく頂き、 トイレへ行き、22時頃に就寝。去年の山小屋に比べれば、トイレは断然綺麗、寝返りがうてるほどの余裕の寝床スペース。

しかし、1時間程寝たのだろうか、息苦しさと、布団の重さに目が覚めた。湿気を含んだ布団が重い、暑い。 寒いと思い、着込んだセーターのせいか、あっつい、あっつい。布団を跳ね除け、靴下を脱ぐ。あっつい。なんか足、かっゆい。 なんか空気うっすい。息苦しいよー。うぉー。酸素が足りねぇー。頭が痛ぇー。く・く・苦しいよー!バックパックから 携帯酸素を取り出そうか、でもガサゴソうるさい音立てたら迷惑やし、やめておこう。でも酸素が欲しい。苦しい。息ができない。 これが高山病というやつなのか?アキとマユミの苦しみが、今やっと分かったわ。よくこんな状況で登山してきたなー。偉い。 それにしても苦しい。酸素とは、これほど人間にとって必要なものだったのか。「見えないけれど、大事なもの、酸素。」とかよく言うけど、 実体験として知るなんて、知りたくもないけど、よく分かって、これはこれでよかったのかもしれない。 将来、地球上の酸素が少なくなってきたら、酸素戦争とか起ったりして。酸素を巡る争い。あり得る。ああ、苦しい。 違うことを考えて気を紛らわせよう。えーと、えーと、最近会社で「パート」呼ばわりされて腹立ったなー。 私は派遣や!派遣やけど、社員と同じように頑張っとるんじゃい!社員以上に頑張っとるんじゃい!ボーナスもないけど、 頑張っとんねん!パートも派遣も、条件悪い中、社員と同じように頑張ってる立場やのに、下に見るような発言をされるとご立腹やわ。 っていうか、「パート呼ばわり」とか言っている私こそ、パートを下に見てるんとちゃいますの?あかんやん! くそー、パートも派遣も、社員にしろよー不公平やんけーくそー悔しいー。くそー、早く会社辞めて社員になったる、そうや、 それや、それが必要。そうそう、そうそう、辞める、辞める。10末で辞める、辞める。自分の道を大事にするんや。 くそー、と、いつしか悔し涙を流す、アホぶり。酸素不足とは、恐ろしいものだ。

そんな中、頭方向に寝る、おっさんおばさん軍団が、もうとっくに消灯して、みんな寝静まっている中だというのに、 小声で話すという気を遣うこともなく、普通の声でしゃべり出した。普通に、携帯出てるし。ありえねぇー。 うっさいなーこいつら、ふざけんなよ、気遣えよ、あほちゃうけ、ほんま、うっさいのぉー!とイライライライラしていると、 「だまれや」と小声で、何者かが発した。おーこわい。誰やねんと思ったら、私であった。酸素の足りない状況は、 理性を失くす。いつもなら、用心深く考えて言葉を発する私に、もはや理性は無し。しかし、小声で発するという小心者ぶりは、 酸素不足でも拭えないようであった。小声ではあったが、静まり返った屋根裏、近距離であるがため、おっさんおばさん軍団に 届いたのか、一瞬静けさが辺りを包んだ・・・。しかし、しばらくすると凝りもせずに普通にしゃべり出しやがった。手に負えない。

back top next


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください