闇に包まれゆく道を、バスは走り、エアーズロックリゾート内にあるキャンピングプレースに帰ってきた。 いくつかのテントがあるが、「適当に分かれて入ってくれ」とマークは言い、私とマサヨは、テントをキープ。 そこへ、イギリス人の50代と見られる白髪交じりの上品な感じのおばちゃんも加わり、 5人ぐらい寝れそうなテントを3人で占領。それぞれがテントをキープし、荷物を置き、夕食のバーベキューの準備に取り掛かる。 しかし昼食時と変わらず、協力的でもなく、和気あいあいともしないツアーメンバーたちは、みんな働きが悪く、 ほとんどマークが一人で準備を進める形となった。マークは「こいつら働けよ」という、めんどくさそうな顔をして 肉を焼いている。さっきの陽気さは、どこへやら。 肉・ソーセージ・ポテト・サラダなどが出来上がり、全員でテーブルを囲って食事がはじまる。 やはり会話も弾まない、やや重い空気の中、あれもこれもと、たらふく食べて満腹。
食事を終えると、午前中にみんなで拾い集めた木の枝でキャンプファイヤーをすることになった。 このために集めたのだと、やっと気付く。火も燃え上がってきて、火を囲って並べたイスに、みんなで座る。 このツアーメンバーの中で、私とマサヨと広島青年以外に、 唯一のアジア人の外見をした女の子が隣に座った。彼氏と参加している彼女は、欧米人の彼氏を持つ、韓国人の女の子だと思っていたが、 しゃべってみると彼女も彼氏もカナダ人だった。なるほど英語もペラペラである。その女の子は、キャイーンの天野君のようなメガネをかけていたため 、マサヨが「天野っち」と名づけ、二人で密かに、そう呼ぶことにした。天野っちが、「日本語を少し知っているわよ」と 言うので、聞いてみると、天野っちは小声で「あなたの、ち○ち○は小さいですね」「びりびりウ○チ」「プー」 と下ネタ3連発。(「びりびりウン○」は、「ぶりぶり」を間違えて覚えたのだろうと、今気付いた。) 誰が教えたんや!教えた日本人、アホすぎる!!と、大笑いした。
しばらく、キャンプファイヤーを楽しみ、今日は疲れたし、明日も早いし、シャワーを浴びて寝ることにした。 この辺りは、アドベンチャーツアー専用のキャンピングプレースらしく、他のキャンピングプレースからも楽しそうな笑い声が 聞こえていた。シャワーは、これらのキャンピングプレース共通らしいが、けっこうたくさんのシャワールームがあり、 少し順番を待つだけで入ることができた。
昼間でもジャンパーを着なければ寒さを感じるような、この地に訪れる夜の寒さは想像以上だ。 スワッグという分厚い寝袋を借りることにしておいて、よかった。 テントの中、私とマサヨとおばちゃんの3人は、川の字になる形で、スワッグを置く。 セーターとトレーナーとジャンパーを着込み、スワッグの中に、借りた寝袋と持参の寝袋2枚を入れて、その中に入った。 まだ乾かない髪の毛が冷たく、枕がないことも辛かったが、 久しぶりに体力を使い果たした疲れによって、瞬時に眠りに落ちた。キャンプファイヤーの周りでは、酔っ払った メンバーたちが深夜12時近くまで騒いでいたらしいが、深い眠りに着いた私は、全く気付かなかった。