このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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蛙さんの仲間に再び出会う
(西武鉄道E11型電気機関車)
■讀賣新聞平成24(2011)年 5月10日付記事より
E11機関車修復完成 ━━ 西武鉄道13日に披露
西武鉄道は13日に西武池袋線の旧保谷車両基地(西東京市下保谷5)でE11型電気機関車の修復完成記念披露会を開く。
E11型は貨物を先導する車両で、米国の1923年製。西武鉄道の前身の武蔵野鉄道時代から活躍し、1973年に引退。その後、車両基地に保管されていたが、今回の展示に向け、当時の赤褐色を再現して色を塗り、修復した。
今回のイベントは、武蔵野鉄道の会社設立から今月で 100年を迎えたことを記念して開催。(後略)
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■西武鉄道E11型電気機関車
平成24(2012)年 5月13日、西武鉄道旧保谷車両基地の公開イベントに参加してみた。筆者はもともと業務上の必要があるか、長男坊や娘が一緒に遊んでくれる時(笑)に限り、この種のイベントに参加していた。家族参加前提か、趣味色濃厚のイベントに単身で参加する動機は持ち合わせていないのだが、たまたま時間に空きがあり、今日のイベント状況を知るのも意義あるかと考え、敢えて参加してみた次第。
西武鉄道E11型電気機関車外観
■E11は小さかった!
正直に白状すると、筆者は機関車の形式をまったく誤解していた。形式名からは旧国鉄ED11が想像され、実際のところ旧国鉄ED11のうち 1両は西武鉄道に移籍している。だから、この旧国鉄ED11のことかと思いこんでいたのだが、まったく違った。旧国鉄ED11は移籍後に E61という形式を充てられ、現在は横瀬で保存されているのであった。
西武鉄道E11型電気機関車台車外観
実物の E11を見た印象は「小さい!」の一言に尽きる。この程度の大きさから得られる出力は知れているはずで、貨車数両を牽引するのが精一杯というところだろう。今日的な基準からすれば、入換機関車の任さえ務まるかどうか怪しいものだ。
そして、真っ先に
この車両を連想した
。まさに「おれの単簡な脳の組織は。言はば一つの天である」(草野心平「ごびらっふの独白」)といえまいか。表題の真意はここにある。蛙の如きシンプルな車両に再び会った、ということだ。
西武鉄道E11型電気機関車運転室
西武鉄道E11型電気機関車車内
昔の鉄道車両のつくりは単純であり、誰にでも理解できる明快な構造であった。現代の鉄道車両は複雑に過ぎ、それはそれで進化の結果と評価できる一方、高価で入手しにくいシロモノになった。もはや一人二人ていどの意志では揺るがせないほど、鉄道車両は高度に複雑化してしまったのだ。
だから、西武 E11型電気機関車のような車両を見ると、妙に安堵する。しかしながら、こんな車両は今となっては役に立たないわけで、時の移ろいの厳しさを感じざるをえない。
■イベント
最後にイベント全体の感想。趣味色一辺倒ではなく、家族連れ向けのアトラクションが随所に設定されており、こぢんまりしたイベントながら、幅広い層が楽しめる工夫がなされていた。これならば、単身参加も吝かでないな、と感じたほどである。
西武鉄道E11型電気機関車外観
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