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餘部残照





■山陰本線餘部鉄橋

 山陰本線餘部鉄橋といえば、知らぬ者のないほど著名な橋梁である。現在では既に架け替えるコンクリート橋の工事が始まっており、鉄橋単独のすがたを見ることはできない。

餘部鉄橋
山陰本線餘部鉄橋(平成19(2007)年撮影)


 確かに美しい橋梁ではある。しかしながら、高度な橋梁かと問われれば、必ずしもそうとはいいきれなかったりもする。

餘部鉄橋
山陰本線餘部鉄橋(平成19(2007)年撮影)


 橋梁の構造をよく見渡してみるがいい。実にシンプルなガーダー橋にすぎないではないか。長いスパンを飛ばすためにはトラス構造やアーチ構造などが採られるものだが、餘部では鋼鉄製(トラス構造)の橋脚を築き、橋桁そのものは最も単純な形におさめたのだ。トレッスル構造と呼ぶと格好良くなるとはいえ、合理的構造かと問われればいささか疑問が残る。

餘部鉄橋
山陰本線餘部鉄橋(平成19(2007)年撮影)


 いずれにしても、この風景は昔話として語り継がれていく。造形の美しさのみを讃え、技術的力学的な本質を晦ますことがないよう願うばかりだ。勿論、「みやび」事故の履歴も含めてのことである。





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