東松山よりの踏切から撮影。

　この駅では通過列車の待避はないが、それでも待避線のように見える側線がある。いうまでもなく、「あの貨物線」の名残である。

　上記の踏切から反対側を撮影。

　画面真ん中の電柱の奥、草蒸す一隅が分岐点の跡である。

　レール・枕木は既に撤去され、砕石もほとんど見当たらない。鉄パイプを組み合わせた柵で塞いでいるとはいえ、容易に入りこめるつくりである。立入禁止にしようとの意図がどれほど真剣なのか、若干疑わしい。

　丘を下り、都幾川の谷筋に出る。今では草に包まれてわかりにくくなっているが、この曲線のなめらかさとやわらかさ、なんとも素晴らしい佳景である。「あの貨物線」がまだ動いていた時代から、私はこの場所が好きだった。

　線路跡は再び丘を上る。一気に高度を稼ぎ、関越道架道橋へと向かう。

　前方の木の生い茂り方は凄まじいが、ここは夏草が少なく、最も線路跡らしい場所ではあった。