このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


「セントラルライナー」の改善点

「セントラルライナー」(以後「CL」と略します)登場によって、改善された ところをピックアップしてみます。


1.専用車両の製造
「CL」運行に際して、JR東海は「CL」専用の313系8000番台車両を新造した。この車両のベースとなる313 系車両に比べ車内設備のグレードを高くして、他の同系車両と一線を画している。これは「CL」が単なる 実験企画ではなく、JR東海が相当な意気込みを持って新境地開拓を目指した姿勢を示しているのではない か。

JR東海は、東海道新幹線が全収入の約85%を占め、在来線は新幹線の黒字に支えられているかたちであり、 民営化後の在来線改善といえば特急列車中心であったため、在来線利用者からは「JR東海は新幹線重視・ 在来線軽視」とみられる傾向にあった。

そこで、在来線車両でハイグレードサービスを提供することや、加減速に長けた車両で時間短縮を実現し 他の列車と差別化したことは、JR東海としては発足直後の快速「みえ」以来であり、在来線での収入増加 を図るための施策として評価できる。


2.名古屋市内〜岐阜県東濃地方の所要時間短縮
「CL」は、これまで「中津川快速」で最短69分かかった、名古屋〜中津川間の所要時間を最短62分に短縮 した。また、名古屋〜多治見間でも従来最短33分かかったところ、最短26分に短縮した。

特に名古屋〜多治見間を最大7分短縮したことは、特急「しなの」がこの区間を最短24分で結ぶことや 「CL」がこの区間の途中、金山・千種・高蔵寺に停車することを考慮すると、スピード面では特急列車 並であり、「CL」によるこの改善は賞賛に値する。


3.普通・快速列車利用者の遠近分離を実現
従来から運転されていた名古屋〜中津川間の快速列車(以後「中津川快速」と略します)は、通過駅数よ り停車駅数のほうが多い快速らしくない快速列車であり、しかもロングシート車両であったため、遠距離 利用者には不評であった。1999年からクロスシートの313系電車が導入され苦痛は幾分改善したが、以前か ら中央西線名古屋口では「中津川快速」含む快速列車全般に乗客が集中する傾向があり、短距離利用(主 に名古屋市内の相互駅間利用)、近距離利用(名古屋市内各駅〜春日井市内各駅)、遠距離利用(名古屋 市内各駅〜岐阜県東濃地方)が混乗していたので、中央西線名古屋口の最混雑区間である大曽根〜新守山 間では年々混雑がひどくなっていた。さらに1997年秋のダイヤ改正で鶴舞駅に終日快速列車を停車させた ことで、快速列車混雑に拍車をかけることになった。快速区間の名古屋〜多治見間では全13駅のうち、快 速列車が通過するのは4駅しかなく、スピードアップは絶望的な状況になっていた。そこで、快速列車の 改善策として遠近分離による混雑改善(混雑の区間・時間の短縮)が必要となっていた。

「CL」はデータイム限定及び310円の支出を必要とする条件があるが、既存の快速停車駅であった大曽根・ 勝川・春日井を通過させることによって、懸案であった乗客の遠近分離を実現したのである。


4.特急「しなの」利用者の遠近分離
名古屋市内〜恵那・中津川間利用者は、従来、「中津川快速」か特急「しなの」(以後「しなの」と略し ます)という2つの選択肢があったが、前者は多治見〜中津川間は各駅停車、名古屋〜多治見の快速区間 でも通過駅が少ないので時間がかかるので不便である。後者は所要時間が大幅に短縮されるが、乗車券の 他に特急料金が必要(名古屋・千種〜恵那・中津川間で自由席利用の場合1150円)でしかも自由席が少な い(6両編成の場合、自由席は2両)うえに座席保証もない。挙げ句の果てに名古屋行は定刻運行できな い(長野県内の単線区間での遅れが原因であるが、「しなの」の運行ダイヤにゆとりがまったく無いので 遅れを取り戻すことができない)ことが多いなど、とにかく「無い無いづくし」であった。

「CL」では、停車駅を減らし座席を確実に確保する点において、利用者からの要望に応えた。また、乗車 券に310円の追加で座席が確保され利用できる点は、乗車券+座席保証のない「しなの自由席特急券1150円 (名古屋市内〜恵那・中津川間)に比べて、大幅に割安であることはいうまでもない。「CL」のスピード は「しなの」に若干劣るものの、「CL」は「しなの」の遠近分離も実現したといえるのではないか。

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