このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

賄賂防止対策

  中国にはかなり滞在していたけれども、中国人と全く同じ生活をしていた訳ではないから、賄賂や汚職の現場に立ち会ったり、見聞きしたことはなかった。しかし新聞やテレビのニュ‐スによると賄賂は非常に多いと推測出来る。私自身も賄賂が多い事を推測させるような事件を体験したことがある。

  私が滞在していた大学の構内でのことで、昼休みになったので昼食を食べに招待所に帰ったところ、警官が招待所の周りをぐるりと取り囲み、招待所に入れなくなってしまっていたのである。門から入ろうとしても警官に阻止され、中国語もよくはしゃべれないのでせいぜい"何故だ?"と言えるくらいで埼が明かない。そのうち顔見知りの招待所の服務員が、"彼は外国人だ"と言ってくれてようやく通過出来た。その後窓から様子を窺っていると、隣の部屋のアメリカ人も入れない様子で、何やら怒っている様子であった。彼の場合外国人であることは一目瞭然であるのに阻止されていた。後で聞いた話ではここを通れないなら、アメリカに帰ると言って怒ったと言っていた。その後も何故そうなったかの事態がサッパリ分からず、何らかの大事件でも起きたのかと想像したりした。

  暫くしてようやく分かって来たことは、この大学で体育系の大学入試の全国統—の実技試験が行われるので、その不正防止の為の警備であることが分った。試験官が私が泊っている招待所に泊まっていて、試験期間の一週間は、受験生やその父兄が、試験官に接触しようとするのを防ぐ為の警備とのことであった。警官も同じ招待所に泊まっていた。この不正防止の為に、正門には警官を見張りに立て、怪しい人物が入れない様にしているらしかった。勿論別の入り口は封鎖してあった。

  それならそれで、通常の宿泊客には事前に説明するとか、警官には通してもよい人物の識別方法を教えるとか、通行証を携帯させるとかすれぱよいものを、その様な手だては一切講じない。閤雲に禁止なのである。この様な場合何の連絡もせずに、トラブルを防ぐ手だては一切考えないで、強圧的なのが中国式の公安のやり方らしかった。警官は女性も入れて2O人以上いたと思うが、張り番の警官が−通り私の顔を億えるまで、いちいち招待所に入るのを阻止され、非常に腹立たしかった。警官は食事の時間と夜聞は招待所の包囲作戦で入り口を固め、実技試験が行われる際には、校庭ヘ隊列を組んで出かけていき、試験に立ち会って父兄との接触を阻止していた。

  この事から中国では、こうまでしないと父兄の試験官に対する陳情攻勢か賄賂攻勢かを防げないのかとビツクリした。これからすると当然汚職も相当多いのではないかと想像できる。この様な防止対策は、包囲作戦が行われている聞はよいとしても、その外の時間はやり放題と言うことを暗示している様でもあるし、不正が非常に多い事を内外に示しているようでもある。根本的な不正防止に役立つのかと疑問に思えた。私はこのことで二年続けて迷惑を受けた。

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