このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
中国の料理屋で外食した場合、料理の名前を覚えようとしたが、なかなか頭に入らなかった。私の頭の悪さによるかもしれないが、そればかりが原因でもなさそうである。 こちらでは、料理の名前に、縁起の好い名前などを勝手に付けて、それを売り物にするようなところがある。だから料理の名前が普遍的ではなく、同じ名前の料理でも、別の店に行くと内容が違っていたりした。その様にして付けられた料理の名前は、"飛龍○○"だとか、"○○水晶"だとかであって、確かに格好の良い名前であったが、名前から内容が想像出来ないものであった。私が食べた"飛龍"というものは、何かの小鳥を殆ど形のまま、料理したものであって、周りの人に聞いてみても、小鳥の名前は知らないとのことであった。龍はその小鳥を形容して言っていることは分かった。しかしこの"飛龍"は別の地方の"飛龍"とは違うと思う。 料理の内容が分からないのは私が外国人であるからだという理由ではない。料理の名前から内容が想像できないのは、現地の中国人でさえも同じなのである。一緒に食事に行った中国人も、どんな料理であるのかを、小姐に長い時間掛けて確認していた。だから10種類もの料理を注文すると相当時間がかかるのである。 そして中国では、普及した料理名、例えば日本の親子丼、うなぎの蒲焼き、天ぷら、牛丼などの料理が少ないのではないかと疑問が出てきた。日本ではライスカレーを注文すると、名前と内容が具体的に結び付いていて、何処でも同じ料理を食べられる。しかし中国ではそうではない。例えば日本で食べた中華料理の鯉のから揚げが旨かったのを思い出して、鯉のから揚げをなんとかして食べたいと思っていたが、骨までカラッと揚げてある鯉のから揚げを食べることが出来たのは、吉林ではたった一度しかなかった。大部分はグチャとした鯉が出てきた。名前は確かに前に行った料理屋と同じ名前の、"から揚げ"となっていたが、作り方は同じでなかった。吉林には松花湖が有り、そこで取れる鯉は名物の一つであったが、料理法については魚の料理はあまり旨いとは言えなかった。魚は丸のママ蒸したような料理が多かった。 中国では料理屋で食べる料理が、一皿が給料の1/100位もしてかなり高い。中国では一人で料理屋に行く習慣は無く、沢山の皿数を注文してグループで大量に食べる。つまり宴会料理である。しかも必ず誰かの奢りであるから、個人の負担は相当なものになる。個人負担と言っても実際は会社の金であることが多いのであるが。 餃子や小籠包などは中国では誰でも知っている料理の名前である。しかしこれは本来小吃と言われる料理であって、朝道端で食べるか、自宅で作るものである。これは宴会用の料理ではない。そんな訳で家庭で作る一般的な料理ではない、料理屋で作る宴会用の特別な料理に付いては、目出度い名前や縁起の良い名前を付けたくなるのかもしれない。 中国は広いから各地にそれぞれの料理があり、それゆえに調理方法と名前に共通性が無いということもある。吉林あたりの田舎では、広東料理や香港料理が高級と言うことになっていて、その中でも海鮮料理は特に高級ということになっているが、本場の広東の料理とはかなり違ったものになっているのだと思う。海から遠く離れた吉林で食べるエビやカニ等に、特別な名前を付けたくなるのは、分らないではない。それを食べると、金が貯まりそうな料理や、長生きが出来そうな料理名もあった。 中国旅行のガイドブックには、中国料理は、材料と、調理方法(油で揚げるとか、炒めるとか)と、材料の切り方の組合わせで名前が付けられると書かれてあったので、それを信じて何とか料理名を憶えようとしたが、無駄であった。中国では、料理名の名前を覚えても、旨い料理にありつけないのではないかと思う。勿論北京ダックなどは日本人の間で知られていて、そのような料理の名前が無いわけではないが。 |
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