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宮古島・島豆腐作り体験の旅 (特別編)
「島豆腐の出来るまで」

最終更新日 2003.7.11

手間と時間を惜しまず、愛情いっぱい込められた島豆腐の出来るまでをレポート風にまとめてみました。
なお、今回の旅日記作成にあたり「石嶺とうふ店」様には大変お世話になりました。
この場を借りて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。

さとうきび畑に囲まれた「石嶺とうふ店」

平良市郊外のさとうきび畑に囲まれたのどかな場所に「石嶺とうふ店」はありました。

この地で38年以上も、昔ながらの製法で島豆腐を作り続けています。

先代のシゲおばあちゃんが豆腐屋を始められ、33年間一人で島豆腐を作り続け、現在は娘さんご夫婦が後を継いでいます。

工程表

さっそくご主人の日出男さんから、表を使って島豆腐の製造工程をわかりやすく説明していただきました。

内地の製造工程と大きく違う点は、呉汁を煮てから絞って豆乳にする(内地の場合)のではなく、呉汁を生のまま絞って生豆乳にしてから煮る(沖縄の場合)ところです。
この製法を「生絞り製法」と言います。

作業はまだ薄暗い早朝3:00頃から始めるそうです。

お店の休みは日曜日のみ。
でも、日曜日も薪割りや海水を汲みに行くので、ほとんど休みはないですね。

大豆をグラインダーで挽く

まず最初に、ひと晩水に浸した大豆(夏は3〜4時間、冬は6〜8時間ほど水に浸します)を洗い、水を加えながらグラインダーを使って挽きます。

以前は石臼で挽いていたそうです。

挽いた状態のものを「呉汁(ごじる)」といいます。

呉汁に泡消しの役目をするラードを少量加え、手でよくかき混ぜます。

呉汁を絞って生豆乳とおからに分ける脱水機によく似た「絞り機」を使って、呉汁を「生豆乳」と「おから」に分けます。

絞り機に目の細かい布袋をセットし、高速回転させます。

高速回転させた絞り機の中に、少しずつ呉汁を入れます。

遠心力で呉汁は外側に飛ばされ、液体は布目を抜け生豆乳になり、布袋の中にはおからが残ります。
絞り機から生豆乳が出てきた

絞り機の下から生豆乳が出てきます。

バケツに溜めて、釜の中に移します。

一度絞った時に出来たおからに水を少し加え、もう一度絞り機にかけます。

2度目に絞った時に出来たおからは、家畜の餌となり、無駄にはしません。

薪を燃やして生豆乳を焚く

次に、生豆乳を釜で1.5時間から2時間ほど焚きます。
火力は中火です。

昔ながらに薪を使って焚いています。

釜の底の豆乳が焦げ付かないように、薪の位置、火加減を調整していきます。

火力が落ちないように、時々、薪を追加していきます。

薪の太さや材質も、状況によって選んでいきます。

釜の中の豆乳が泡だってきた

だんだんと豆乳の表面にこんもりと泡が立ってきました。

この泡の状態を観察することによって、今どんな状態で豆乳が煮えているのか、わかるそうです。

豆乳が焚き上がった

生豆乳を釜で焚き始めてから約2時間。

きれいに盛り上がった泡の表面に、かすかにひび割れが出てきました。

これが、炊き上がりのサインです。

(素人目には、なかなかわかりにくいですが)

表面の泡をすくい取る

焚き上がった豆乳の表面の泡をきれいにすくい取ります。

この時の釜の火力はやや弱火です。

温豆乳を袋に詰める

熱々の豆乳を注文に応じて袋に詰めます。

濾した海水を豆乳に混ぜる

これからは豆乳を固める工程に入ります。

凝固剤には、濾しておいた「宮古島の海水」を使用しています。

海水を少しずつ豆乳に入れていきます。

あまりかき混ぜないことがポイントだそうです。

ゆし豆腐を袋に詰める

しばらくすると、豆乳がところどころ固まってきました。

「ゆし豆腐」の出来上がりです。

注文に応じて、汁と一緒にゆし豆腐を袋に詰めていきます。

あちこーこーのゆし豆腐をいただきま〜す!

あちこーこー(「熱々の」と言う意味の沖縄の方言)、出来立てのゆし豆腐をいただきました。

海水の塩味が効いているので調味料等は加えず、そのままいただきます。

大豆の香りと海の香りが口の中でふわ〜っと広がります。

型箱にゆし豆腐を敷き詰めていく

さて、いよいよ島豆腐を作る工程に入ります。

木製の型箱(手作り)に木綿の布を被せ、その中へゆし豆腐を詰めていきます。

釜からゆし豆腐をおたまですくって、2cmくらいの厚さに、型箱に敷き詰めます。

豆腐の角に隙間が出来ないように、両端には多めに敷き詰めます。

蓋をして押し付ける

敷き詰めたゆし豆腐を上からも布で覆い、型箱の蓋でグイグイ〜っと上から押し付けます。

左右均等に力を入れないと、いびつな形になってしまうので力加減に気を付けます。

余分な水分が抜け、浮き上がってくるので、取り除きます。

布を広げ、再びゆし豆腐を2cmくらいの厚さに敷き詰め、型箱の蓋で押し付けます。

この作業を、ひとつの型箱で10回以上繰り返します。

かなり力がいる作業です。

押す力が強すぎると硬〜い豆腐になり、押す力が足りないと隙間の多い柔らかい豆腐になってしまいます。

てんこ盛りになるまで盛り付ける

釜の中の汁を取り除きながら、ゆし豆腐を型箱に敷き詰めていきます。

型箱いっぱいに敷き詰めたゆし豆腐を、さらに山盛りに盛り付けます。

重石を載せる

最後に布を被せ、蓋をして、以前使っていた石臼を重石として載せます。

2〜3時間そっとしておきます。

豆腐の水分がさらにじんわりと抜けていきます。

沖縄の豆腐(島豆腐)が、内地の豆腐の何倍も硬くしっかりしているのは、このためだったんですね。

型箱から豆腐を抜く

型箱から慎重に豆腐を抜き取ります。

ようやく島豆腐の完成です!

もち肌のどっしりと風格のあるお豆腐ですね〜。

これで6kg〜8kgくらいあるでしょうか。

一丁ずつ切り分ける

一丁ずつ、丁寧に切り分けていきます。

水には、さらしません。

内地の豆腐は1丁300g〜500gに対して、こちらのお豆腐は1丁800g〜1kgもあるんですよ〜!

一丁ずつ袋に入れられた島豆腐

1丁ずつ切り分けられ、袋に入った島豆腐です。

早朝から地元のお客さんが、出来たての島豆腐やゆし豆腐を買いに来ていました。

数に限りがあるので、午前中に買いに行くと良いかもしれません。

それでも売り切れていたら、ゴメンなさい。

出来立ての島豆腐をいただきま〜す!

では、出来立ての島豆腐をいただきま〜す。

まずは、何も付けずにそのままで。
大豆の甘みと、かすかな塩味が口の中で広がります。

削り節を載せて、ちょこっと醤油をたらして食べると、これがまた絶品です!

ご馳走様でした〜。

(終わり)

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