このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




新春特別企画
鉄道で働くということ




(写真は本文とは関係ありません。)

   ■ 何故鉄道で働くのか?

 いのこうは、某鉄道会社に勤務しています。(写真を見ればどこの会社かバレバレですが…)
「何故鉄道会社に入ったのですか?」という質問をよく受けます。何故でしょう…?自分でもよく
分かりません。

 昔から電車が好きでした。小学校の卒業文集にも、「鉄道会社に入りたい。」と書いたことを
覚えています。しかし、就職が近づくにつれて、一つの迷いが芽生えてきました。「趣味を仕事
にしていいのだろうか…?」

 悩んでいたとき、当時のバイト先の人(私のバイト先は鉄道会社の関連会社で、その人はそ
の鉄道会社から出向してきていました。)と酒を飲みながら今後の就職活動について相談を聞
いてもらう機会がありました。その人も鉄道が好きで、鉄道会社に入った人でした。その人は
私の悩みを聞いたあと、一言言いました。「好きなことを職業にするということは、いいことだと
思うよ。」

 私の気持ちはその一言で決まりました。「よし、鉄道会社を受けてみよう!」

 しかし、もう一つ問題がありました。当時鉄道会社の門は非常に狭かったのです。私の父は
鉄道会社の知り合いに聞きに行ってくれました。「コネがなければ入れない。」というのが答でし
た。「無駄だ。やめておけ。」と父は言いました。

 また、「鉄道会社は鉄道マニアを嫌っていて、『電車が好き』と言うと面接を通らない。」という
のが伝説のように先輩から伝わっていました。

 いろいろと考えた挙げ句、私は次のような方針で就職活動を行うことにしました。

   ・就職試験を受けるだけならタダだから、とりあえず受けてみよう。

   ・『電車が好き』ということは隠さない。

   ・ただ、たぶん合格しないから、他の業種の就職活動もする。

 この方針で就職活動を行い、4か月後、何が良かったのか、運か?、間違いか?、私はいま
の会社に合格してしまいました。


   ■ 働く前に…

 1988年3月、入社を控えて事前説明会が行われました。場所は検車区の隣の建物で、私
は説明の最中に窓の外の電車を見ていてひどく怒られました。

 4月に入社式が終わると、研修が始まりました。まずは全社員を対象とした全体研修で、軍
隊式の研修でした。朝は検車区でラジオ体操をしたあと、接客用語の唱和、そして「駅名呼称」
と呼ばれる駅名の暗記テストが毎日行われました。我々は研修が終わると、毎日夜遅くまで必
死に駅名を覚えました。私は説明会の一件で目を付けられていて、テストの時に教官に、「S駅
から上り急行停車駅」とか難しい問題ばかり出されました。

 一週間の全体研修が終わると、続いて鉄道営業部による駅で働くための研修が行われまし
た。ダイヤの読み方、切符の切り方、営業規則の勉強…、分厚い資料を山のように与えられ
て、毎日詰め込み式の教育が行われました。

 そして、入社式から二週間、私はY駅に駅務掛として配属されることになったのです。




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駅員の一日
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