このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




いまだから言える失敗談



(写真は本文とは関係ありません。)

   ■ 助役さんが…

 いまだから笑って話せる失敗談もあります。

 23時を過ぎると、ホーム立硝は、助役さんと二人体制になります。酔ったお客様が多くなり、
事故も増えるからです。

 そんなある日の夜、一人の駅員がほーむに上がってきました。次の特急で忘れ物を探す、と
いうのです。車両は特定されていません。我々は手分けして探すことにしました。

 2分ほど遅れて特急が到着しました。私はワイヤレスマイクで、「特急列車、遺失物捜索をし
ます。」と放送しました。車掌から、「了解しました。」と放送があったので、私は車内に入りまし
た。

 2両ほど見回りましたが、それらしい荷物は見つかりません。もう一人の駅員も降りてきて、
「無いよ。」と言いました。列車は遅れている…。慌てていた私は、「捜索終了しました。特急○
○行きドアを閉めます。前方よし。」と放送しました。

 そのときもう一人の駅員が叫びました。「あっ、助役さんは!?」

 列車到着前の打ち合わせでは、遺失物捜索は私ともう一人の駅員でやることになっていまし
た。しかし、助役さんも気を利かせて車内に探しに入っていたのです。

 気が付くと、助役さんは電車のドアに斜めに挟まっていました。

 泣きそうになりながら、「再開閉願います。」と放送して助役さんを「救出」しました。助役さんと
二人でホームにいる以上、助役さんが合図を出さないのに出発合図を出すのは規定違反で
す。あとでこってり絞られたのは言うまでもありません。


   ■ 早発

 当時は土曜日は平日ダイヤでした。このため夕方の下り列車は空いていて、早着することが
よくありました。一つ手前の駅が発車時刻も確認せずに発車させてしまうのが原因でした。

 特に要注意だったのが、1本だけあった途中駅始発の特急列車でした。途中からなので、お
客様も少なく、早着する確率が非常に高かったのです。

 その日もその特急列車は3分以上も早着しました。ホームに立っていたのは、私と助役さん
の二人。助役さんは、「所定の出発時刻まで停車させておくように。」と私に指示しました。

 私は、「ただいま到着の特急列車、発車時刻まで時間がございます。発車までしばらくお待ち
下さい。」と放送しました。

 しかし、運転士や車掌にしてみれば、Y駅は特急停車駅とは言え、運転取り扱いをしない「停
留場」です。発車時刻を気にしなくて良い駅なのでした。

 しばらくして、車掌さんは、「発車まだですか〜。」と放送しました。まだ2分あります。私はもう
一度先程の放送を繰り返しました。

 すると車掌さんは、自分で、「特急○○行き発車します。ドアを閉めます。」と放送して、勝手
に発車していってしまいました。2分の早発です。

 助役さんはカンカンに怒りました。「助役がホームに立っているのを知っていながら無視して
発車してしまうとは何事だ!」すぐに車掌区に電話して抗議していました。


   ■ 最後に

 結局4か月現場で働きました。この経験はその後の会社での仕事に大きく役立ちました。「現
場を忘れてはならない。」といつも心に言い聞かせています。



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