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【三番館】

ヘビーメタルの悲運
乗馬の世界に憧れて
中国シンセン・乗馬の旅 その1
中国シンセン・乗馬の旅 その2
遠慮したいぞ、このTシャツ

[ヘビーメタルの悲運]

ヘビーメタル、それは60年代のハードロックを軸に築きあげられたスピードと爆音の世界。かつて私もその強烈なサウンドに酔いしれた時期があった。レインボー、アイアンメイデン、ジューダスプリースト、そのどれもが圧倒的な厚みとスピードをもって私を爆音の世界へといざなうのだった。
あれから十数年、今でもレインボーを聞くと暴れ出したい衝動にかられる。

三ヶ月ほど前のことだ。私はテレビを見るともなしに見ていた。その英語放送をぼんやり眺めているといつのまにやら話題がヘビーメタルになっている。ほう懐かしいな、そう思っているところでいきなりとんでもない字幕に出くわした。

   「重金属音楽」

じゅっ、じゅうきんぞくおんがくぅ? なんとヘビーメタルの中国語訳があろうことか重金属音楽になっているのだ。私は一瞬言葉を失った。そりゃ確かに直訳すれば重金属だよ、間違っちゃいない。でもそれってあんまりではないのか。レインボーが、アイアンメイデンが、ジューダスプリーストが築いてきたものを重金属なんておまぬけなネーミングでかたづけるなんて、それじゃあまりに酷すぎる。

   「あたしポップスとかジャズが好きなの、あなたは?」
   「重金属です。」

こいつは恥ずかしくて人に言えん。せめて爆走音楽ぐらいにしてやってくれ。

この地でヘビーメタル人気が出ないのはそのあたりにあるのだろうか?中国語に出会ったこと、それこそがヘビーメタルの悲運なのかもしれない。

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[乗馬の世界に憧れて]

最近乗馬を始めた。以前からやってみたかったのだ。馬を操り大地を駆けてみたい、ハードルを飛んでみたい、そして何より知りあいに自慢したい。そんな理由で乗馬会に申し込んだのが6月下旬のことである。

私は子供の頃から犬や猫と相性がよかった。まあ馬を犬猫と同レベルに考えるのには多少無理があるが、そこはそれ同じ哺乳類、気持ちよく付きあえば気持ちよく答えてくれるとそう思っていた。果たせるかな、これがなかなかうまくいかないのである。
馬というのは意外に人を見る動物で、背中の人間が素人とみるやバカにしてイジワルする。いきなり止まったりあらぬ方向に行ったりと、素人にはなかなかにつらいことを平気でするのだな。まあ馬にしてみれば

   「なんでこんな素人の相手なんかしなきゃなんないんだよ」

といった思いがあるのやもしれん。もし馬が人の言葉を話せたら私はきっとさんざんにこきおろされていたことだろう。

ところで間じかに見る馬というのは大きいものだ。体重がどのくらいあるのか知らないが、200キロを下ることはないだろう。背中の高さは私の肩より上になる。胴回りなど5倍以上はありそうだ。
しかしまあこれだけ大きいとへたに好かれるのも考えものだな。犬や猫は全身で喜びを表現するが、こいつにそれをやられては危なくてしょうがない。
乗馬会のおねえさん

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[中国シンセン 乗馬の旅 その1]

先日香港の隣街 シンセンへ泊まりがけで乗馬にでかけた。参加者は男性5名、女性5名の総勢10名、女性のうち1人は中学生だった。知ってる人は知ってると思うがシンセン市は隣街とはいえ中国、外国人が入国するにはビザやら入国審査やらなにかと面倒なことが多い。こんな時でもなければ行かないし、行きたいとも思わないそんな街である。

さてここで馬の走り方を簡単に説明しておこう。概ねこの4通りがある。ウェスタン映画を思い起こしてもらえればわかりやすい。

   なみ足ノロノロ歩く
   はや足トコトコ走る
   けいはや足パコパコ走る
   駆け足ドカドカ走る

4段変速だと思えばいい。この上にもムチをビシバシ入れる全力疾走があるが、これは競馬のジョッキーがやることで普通趣味のレベルではそこまでやらない。私ができるのはこの時はまだパコパコ走るけいはや足までだった。

本題に戻ろう。多少のトラブルもありホテルに着いたのは夕方の5時だった。すぐに着替えて馬場へ。とりあえず今日は馬を選んで慣らしておかなければならない。
私の馬は一頭だけではろくに走らないが、前に他の馬がいると走りだしてその馬の尻に鼻先をぶつけたがる。女性の後ろからでも平気でこれをやるのにはさすがに困ってしまった。そんなことを何度か繰り返しながら馬場を半周歩いた後、軽く走らせてみることにした。すると例によって前を走る馬についていき、グングンスピードが上がっていく。そしてついに駆け足を始めたのだった。

   ”ドッ、ドッ、ドッ、ドッ”

私はそれまで駆け足をしたことがなかった。いきなりのことに驚いた私は思わず態勢を崩していたようだ。

   ”マズイ、落馬する!”

焦る私を気にもせず馬は前のお尻目指して突き進む。しかし基本練習ができていたのかすぐに態勢を立て直し、そのまま100メートルの直線を怒涛の勢いで走りぬけたのである。
私はこの時初めてジョッキー達の気持ちがわかったような気がした。そう、それは馬と共に風になれる気分とでも言おうか。そこには車やバイクでは決して味わえない生き物との一体感があるのだ。

私は初めての体験にすっかり舞い上がっていた。馬場を数周した頃にはすでにカウボーイ状態、「ハァッ!、ハァッ!」などと馬を煽りながらジョン ウェインの世界に浸りきっていたのである。

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[中国シンセン 乗馬の旅 その2]

2日め朝6時15分起床、ねむい。夕べは1時過ぎまでトランプ大会やってて寝たのは2時前、中学生のお嬢ちゃんが元気すぎてなかなか寝させてもらえなかったのだ。ヘロヘロと起き上がりシャワーを浴びて集合場所へ。
「おはようございまーす」一通りの挨拶を済ませ、馬に乗るとなんと尻が強烈に痛い。そういや昨日はジョン ウェインやってたからなぁ。その日はみんなで3時間の遠乗りに行くことになっていた。これで3時間はかなりつらい、痛みが頭にまで響いてくる。

これが私馬場を1周した後みんな集まり一列縦隊で出発。アスファルトのない農道をしばらくテコテコ歩くと500メートルぐらいの直線に出た。

 ”一斉に駆け出す騎馬の一団!”

と思いきやはるか後方に止まってるやつがいる。それは夫婦で入会している新婚さんの奥さんの方だった。この若奥さん、美人でおしとやかで10人中7人ぐらいはそれを認めるほどの女性なのだが、どうにも馬とは相性が悪いらしい。いつぞやは馬にイジメられて泣かされてたぞ。

   ”だいじょうぶか、あの奥さん?”

そういや昨日もいきなり落馬してたようだが。この奥さんを待つこと度々となったが痛みをこらえていた私にはちょうどよかった。しかしまあ人間というのは不思議なもので、物事に熱中すると体の痛みなど忘れてしまうものらしい。直線を走りだすとカウボーイになりきれるところがたいしたものだ。急な坂を駆け登り、今日もすっかりジョン ウェイン。

とまあ前半まではよかったのだが、折り返した頃には尻の痛みはいよいよ極限状態。もはや鞍に尻を乗せることもできない。そうなると今度は膝と背筋に負担がかかってくる。中腰で背すじを伸ばし1時間耐えてみればわかるだろう、それがどれほどの苦行かということが。やっとの思いで馬場にたどり着き、馬を降りると膝はヘラヘラと笑い腰はユルユルと溶けていく。

   「もっと走りた〜い!」

相変わらず元気なお嬢ちゃんだ。大人達は口をきくことも満足にできない状態だというのに。それを考えれば昔の早馬乗りというのはスゴイ人達だったのだろうな。よくもまあこんなのに半日以上も乗っていられたものだ。
乗馬はちょっと気取った趣味などと思っていたがとんでもない、立派なスポーツなのだ。この後みんなで食事をし帰路についたが、乗馬の素晴らしさと過酷さを初めて認識した小旅行だった。
中国の馬はちっこいっス

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[遠慮したいぞ、このTシャツ]

香港で日本の様々なものが受け入れられているのは先にも書いた。そんな中で以前特に目についていたのが日本語プリントTシャツ。どうやらみんな意味もわからず着ていたようだが、日本ではどうにも遠慮したいシロモノなのだなこれが。街で見かけたものをいくつか挙げてみよう。

   「あんこ巻き 」
   「週末お楽しみサービス券」
   「光子力研究所」
   「五体合体驚異のメカニック」
   「いちご新聞 」
   「大阪天神祭り」

あんこ巻きってなんだ?光子力研究所ってもしかしてマジンガーZのあれか?
こんなのが日本語そのままでプリントされてるから困ったものだ。まさかこんなものが日本で流行っていたのではあるまいな。英語のプリントなら見慣れているからどうということもないが、日本語そのままでは違和感あることおびただしい。なんといっても意味もわからず着ているところが度し難い。
ヒワイな放送禁止用語が入れてあってもきっと彼らはわからんだろう。もしでっかい字で○○○○とかX X X Xとかプリントされてて、実はそれがとんでもない言葉だとわかった時君らは一体どうするのだ?

だがそれさえ彼らにとっては”流行の日本語”に過ぎないのかもしれない。

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