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【円周率でPCテスト】
世の中にはすごい人がいるもんで、円周率計算の世界記録に挑戦している人達がいます。
円周率、憶えてますか? 円周を円の直径で割った数字で学校ではπ=3.14と習いました。でも3.14で終わってるわけじゃなく 3.141592・・・・・というように小数点以下が無限に続いてます。でももしかしたらどこかで割りきれるのかもしれません。それを極めようという試みなんでしょうね。
その円周率計算に多大な労力をかけ、ついに世界記録を樹立したのは東京大学の某研究室。桁数はなんと小数点以下 2061億5843万桁(1999年10月公開)。いやぁ・・・、驚きです。
ちなみに小数点以下2000億桁めの数字は「2」。小数点以下の数字の中では 0123456789 や 9876543210 という並びもいくつか出てくるそうです。う〜ん、円周率って奥が深いなぁ。
その強烈な円周率計算をWindowsに移殖したものが今回テストに使う 「スーパーπ」 というソフトです。もちろん円周率を計算するためのソフトなんですが、使用するパソコンの処理能力によって計算の終了時間が変わるのでパソコンの能力比較テスト(ベンチマークテスト)にも使われてます。もっとも、このソフトは1995年に開発されたわりと古いものなので今更って気がしないでもないのですが、他にいいテスト方法がないのでこのソフトを使い普段私が使っているマシンの処理能力を比較してみることにしました。
テストマシンは現在私が自宅で使っている AMD Athlon 900MHzとノートPC、それと会社で使っているマシン2台の合計4台です。このソフトのテスト結果は主にCPUの処理能力と搭載メモリー量に依存し、またHDDのアクセス速度でも若干の影響を受けるようです。処理能力の具体的な比較は計算時間の違いで表されます。まぁいってみれば総合的な計算速度の比較になるわけで、CPUのなどの個々の能力や動画の描写能力比較はできません。計算速度の単なる尺度と思ってください。
(スペック比較)
まずは計算速度に直接影響を与える項目を比較してみました。但しHDDはアクセス速度がわからなかったのでわかる範囲でデータとしています。最後の参考データは某研究室での実測データです(1995年当時)。
機種 | Athlon機 | 会社PC(1) | 会社PC(2) | ノートPC | 参考データ |
CPU | Athlon TB 900MHz | PentiumⅢ 667MHz | Pentium 233MHz | Pentium 133MHz | Pentium 66MHz |
マザーボード ベースクロック | 200MHz | 133MHz | 66MHz | 66MHz | 66MHz |
メモリー | 256MB (133MHz) | 128MB (100MHz) | 32MB (66MHz) | 64MB (66MHz) | 32MB ( ? MHz) |
HDD | 20GB 7200rpm | 15GB 7200rpm | 6GB 7200rpm | 1.6GB ? rpm | 0.64GB ? rpm |
各マシンのスペックがわかったところで早速テスト開始。計算する小数点以下の桁数は1万6000桁から最大3355万桁までで、この桁数はソフト中で設定されているため変更はできません。
最初のうちはどれもサクサク進むんですが、後半はもうたいへんです。連日徹夜で計算させ(といっても私は寝てるけど)、5日がかりでようやくデータをそろえました。
(計算結果)
さてその計算結果です。尚この中で会社PC(2)とノートPCでは3355万桁は計算してません。処理能力の低いCPUにこれほどの過酷な計算をやらせると壊れてしまいそうだったのでやめちゃいました。それにそんな時間もないし。そんなわけで3355万桁のデータには推定時間を載せてます。
表中の数字は計算にかかった時間を示しており、 00:00:01 は 00時間00分01秒を表しています。
計算桁数 | Athlon機 900MHz | 会社PC(1) P-667MHz | 会社PC(2) P-233MHz | ノートPC P-133MHz | 参考データ P-66MHz |
1.6万桁 | 1秒未満 | 00:00:01 | 00:00:04 | 00:00:07 | 00:00:36 |
3.2万桁 | 00:00:01 | 00:00:02 | 00:00:10 | 00:00:16 | 00:01:03 |
6.5万桁 | 00:00:03 | 00:00:05 | 00:00:22 | 00:00:35 | 00:01:57 |
13万桁 | 00:00:10 | 00:00:16 | 00:00:50 | 00:01:20 | 00:05:49 |
26万桁 | 00:00:27 | 00:00:41 | 00:01:58 | 00:02:59 | 00:12:48 |
52万桁 | 00:01:07 | 00:01:36 | 00:04:36 | 00:06:40 | 00:30:09 |
104万桁 | 00:02:35 | 00:03:45 | 00:11:53 | 00:14:37 | 01:13:22 |
209万桁 | 00:06:05 | 00:08:54 | 00:26:28 | 00:31:45 | 03:20:56 |
419万桁 | 00:13:50 | 00:19:27 | 01:04:15 | 01:11:44 | 05:40:47 |
838万桁 | 00:30:43 | 00:42:24 | 03:10:17 | 03:04:53 | 15:44:23 |
1677万桁 | 01:13:06 | 02:39:51 | 11:10:03 | 08:16:05 | 40:25:38 |
3355万桁 | 03:01:26 | 06:39:13 | 推定30時間 | 推定20時間 | 105:35:17 |
計算結果を見てみると6万5000桁以後で明らかな能力差が出ています。この中で特筆すべきは Athlon機と会社PC(1)の比較です。CPUは Athlon 900MHzと Pentium 667MHzなんですが、どちらもExcelやWordといったオフィスソフトでは体感的な差はほとんどありません。しかしながら26万桁以後の計算速度の差は顕著です。
思うにExcel・Wordを単独で動かす程度では表中の6万5000桁以下の体感的な差が出ない範囲なのではないでしょうか。それに対し重いソフトを複数動かすと26万桁以後のように明らかな差が出てくるんだと思います。
それともう一つ。会社PC(2)とノートPCの比較でおもしろい現象が起こりました。CPUはPentium 233MHzと133MHzなんですが、桁数が小さいうちは233MHzが勝っているものの833万桁以後では逆転しています。これはどうやらメモリー容量の差のようです。桁数があまりにも多いと処理が遅れてしまうということなんでしょう。重いソフトを同時に複数使うとメモリー量がモノをいうってことなんだと思います。
さて、Pentium 233MHzや133MHzは別として、Pentium 667MHzと Athlon 900MHzとの比較では一般的な使い方をする上では体感的な差はほとんど出ないという結果となりました。・・・ということは、Excel・Wordを使ったりインターネットをするだけなら Pentium 500MHzで充分ということ?
たぶんその通りなんでしょうね。1GHzを超えるCPUでは一般の人が使うにはパワーがありすぎるんだと思います。まさに無用の長物。
結論としては 500MHzを超えると体感的にはあまり差が出ないように思われます。これから先 2GHzを超えるCPUが登場するでしょうが、市井の人々には高いだけで意味の無いCPUのような気がします。
さてこの「スーパーπ」、簡単明解でPCの処理能力を測るにはちょうどいいソフトです。Celeron・Duron・K6-2・Cylixなどの廉価版CPUをお使いの方、自分のPCがどの程度なのか知りたいならぜひテストしてみてください。なかなかマニアックでおもしろいですよ。
(スーパーπのダウンロードと注意事項)
今回使ったソフト 「スーパーπ」 は下記のサイトからダウンロードできます。 また御要望がありましたらメールでも送付いたします。
(自己解凍型ファイル、ダウンロードサイズ:107KB、日本語、英語バージョンあり)
http://www1.coralnet.or.jp/kusuto/PI/super_pi.html
尚テストの際には下記にご注意ください。
(1) スクリーンセイバーの解除
テストの途中でスクリーンセイバーがかかると計算に余計な時間がかかります。計算前にセイバーを解除しておいてください。
(2) 13万桁計算の後連続して26万桁の計算をするなど、連続計算を行うとメモリー消費量に変動が起こる可能性があります(前の計算で使ったメモリーを解放しないなど)。計算のたびにPCを再起動し、起動後他のソフトを使わずいきなりスーパーπで計算に入ることをお薦めします。たぶんこれで一番正確なデータを取れると思います。
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