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漫歩通信
第14号 2003年7月1日発行

港町室津を訪ねて


兵庫県揖保郡御津町室津、天平時代、行基が開いた摂播五泊のひとつで、遣唐使も立ち寄ったという歴史ある港町。江戸時代になると、瀬戸内海を船で行く西国大名の参勤交代のルートとして、本陣などが軒を連ね、「室津千軒」と言われたほど大いに栄えたという。今回は、その室津を訪ねてみよう。



山陽電車を乗り継いで、山陽網干駅で下車する。駅前のバス乗り場で室津方面に行くバスの時刻を確認すると休日ダイヤのせいもあり、1時間半ほど間があった。それで、昼食を取るついでに、網干の町をひとめぐり。

駅から南に向かう商店街というほどに賑やかな通りではないのだが、いちおう、そういう通りがあって、そこを行くと、もと網干銀行本店だった建物が洋品店タケダとして残っていた。大正5年頃に建てられた建物だそうで、現在、姫路市の都市景観重要建築物に指定されている。


ダイセル工場前(すでに敷地内だがそこまでは自由にはいれる)にある異人館を見に行く。同型式の洋館が2棟残されていて、一方は資料館となっているようだが、休日は閉められているらしい。もういっぽうは、会社の厚生施設の一部のようである(写真)。これも、市指定の重要建築物である。




さて、山陽網干駅前からバスで室津に向かおう。国道250号線を行く。揖保川、その分流の中川を渡ると、御津町で綾部山梅林で名高い。岩見の集落を出ると海岸沿いに出る。海岸べりまで山が迫り、七曲りというくねくね道ながら高見を走るので、沖合に見える家島群島の眺めなど、なかなかいい。

山陽網干駅前から20分ほど、室津のバス停で降りて町並みを港の方へ下る。山が迫った狭い場所に建物がひしめいて建ってるところなど、なかなか情緒がある。しかし、残念ながら古い建物がほとんど残っておらず、すこし期待はずれ。

資料などとともに古い建物を公開している町屋が二軒ある。ともに脇本陣の格式をもつ豪商の遺構で、「室津海駅館」と「室津民俗館」となっている。

「室津海駅館」は、バス停から港への狭い道を下ったところにある。廻船問屋「嶋屋」だった建物で、廻船関係や参勤交代、朝鮮通信使といった瀬戸内海の港町・海の宿駅に関係付けた資料を展示している。

そこから南へ少し行ったところにある「室津民俗館」は、姫路藩御用達の海産物問屋「魚屋」の遺構。登城の駕篭とか魚屋関係の資料などが展示されている。

漁船が係留されている室津港などなかなか風情のある情景なのだが、これに古い建物がもっと残っておれば、立派な観光資源として脚光をあびたことだろう。いくぶん、修景した建物を並べてみても、本陣跡とかの石碑が残るだけでは寂しい。







城下町姫路を訪ねて

姫路を訪れたのは、桜が満開の時期だった。
姫路城周辺には、市立美術館や県立歴史博物館があって、姫路駅前からお城の周りをぐるっと回る「城周辺観光ループバス」というのが1乗車100円で週末・祝日に走っている。300円の1日乗車券もあって、観光施設の割引が受けられる特典もあって、神姫バスの窓口で購入しようとすると、きょうは姫路城周辺は大渋滞しているから歩いたほうが早いですよ、と教えられる。

姫路城の北側の姫山公園では多くの人たちが桜の木の下で花見の宴。三の丸広場に行くと、こちらも、どっと人がくり出し観桜のイベントが盛大に行われていた。
今日は「しろの日」とかで、姫路城をはじめ美術館などの施設は無料開放されている。姫路城内では、武蔵が幽閉されていたと伝えられる「開かずの間」が特別公開されており、無料ということもあって見学者の列が長々と延びているのだった。


姫路城から少し西側にある姫路文学館。この建物の設計は安藤忠雄。北側と南側に建物があって、その間はカスケード状の池があって、水が流れている。円と四角、四角と三角といった幾何学的な形を組み合わせた安藤忠雄らしい建物構成である。展望テラスがあったり、迷路のような通路構成がまた楽しい。北館は1991年に、南館(写真)は96年に竣工している。

北館は姫路を中心にした播磨ゆかりの文人、作家の紹介。展示スペースは1、2階が当てられているが、限られたスペースに多くの人を紹介し過ぎのような感じ。
南館に司馬遼太郎記念室と図書館などがある。空間的にはおもしろい建物だと思ったが、2階には空きスペースがあったりもし、建物を活かしきれてない感じ。


姫路城の北側にあるのが県立歴史博物館。建物は丹下健三の設計で、1982年の竣工。
常設展示室では兵庫の歴史を原始から近現代まで紹介している。今年のNHK大河ドラマは宮本武蔵が主人公。播磨地方はゆかりの地ということもあり、それを受けた「武蔵」関係の資料も並べられていた。



姫路城の東側にあるのが市立美術館。明治39(1906)年に建てられた赤レンガの建物。旧陸軍第十師団の施設だったもので、戦後、市役所として使われ、現在は兵庫ゆかりの作家を始め、デルヴォー、マグリットら姫路市と姉妹都市のあるベルギーの画家のコレクションで知られる美術館となっている。




あと、姫路市内の著名な近代建築としては、姫路文学館から北600mほどのところに姫路工業大学がある。もとの姫路短大で、ここに残る旧制姫路高校の講堂と校舎を忘れてはならないだろう。市の都市景観重要建築物に指定されている木造の建物は大正13(1924)年に建てられたもの。






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