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国鉄からJRへ

1987.4.3.〜4.5.

[新しい旅立ち]115年におよぶ国鉄が今年(1987年)4月1日をもって分割民営化された。利用者にとって、当面大きな変化はないだろうが、民営化直後の姿を眺めてみようと東に向かうことにした。3月に購入した「青春18きっぷ」の残り2枚を使って。

分割民営化は、北海道、四国、九州の3島と本州を3分割した東日本、東海、西日本の6社の旅客会社の誕生でスタート。ほかに貨物輸送を受け持つ日本貨物なども設立された。初日4月1日には電車のボディに一斉に入れられた「JR」の文字に目を見張った。前日には何もなかったから一晩で文字入れをしたらしい。新会社の意気込みが感じられる。

車掌の車内放送にも「本日はJR西日本をご利用していただき…」と始まり、しばらく前から、車掌の所属と氏名を名乗るようになったが、それも続けられている。今まであまり耳にしなかった「お客さま」というコトバもしぜんにきかれるようになった。

米原21:23到着。2分の接続で大垣行に連絡。先月利用した大垣行に接続するこれより一本前の電車は跨線橋を渡らねばならなかったが、これは同一ホームでの乗り換えができた。すべて乗り継ぎはこうあってほしいものだ。大垣行は 117系の4両編成。東京行に接続するとあって、けっこう乗り継ぎ客が多い。

大垣では、14分の待ち合わせで東京行に接続。まだ、東京行は入線していないが、ひと月前に比べ長い列ができている。飲物など買うよりまず列に並ぶ。しかし、東京発の下り電車に比べれば半分くらいだろう。いつも乗る最後尾の禁煙車、ほぼボックスがうまるくらいの混み方。

[御岳山]東京4:43到着。まず、未乗のケーブル線御岳登山鉄道へ向かうため、4:53発中央本線の2番電車で立川に向かう。あちらこちらに目につく桜は今が満開。まだ、午前5時、街は静かだ。

東京から約1時間で立川。青梅線に乗り換える。青梅線に乗るのは1984年3月の関東地区未乗線乗り歩き以来三年ぶり。青梅を過ぎると次第しだいに山間に分け入る。左手に多摩川が沿う。約50分で御嶽駅に到着。数人のハイカーが下車する。駅舎に掲げられた駅名標は、「JR東日本」の文字が入った新しいものに交換されていた。

御岳登山鉄道の乗り場へは駅前からバスが通じているが、しばらく間があり、距離も3km弱なので歩いて行くことにした。
5万分の1地形図を頼りに駅前から多摩川を渡り、多摩川右岸を走る青梅街道こと国道 411号線を歩く。トラックが頻繁に通る道路を1kmあまり歩くと御岳山へ分かれる道があり、大きな鳥居がある。そばにコンビニがあったので、朝食にパンなどを購入、登山への腹拵えをすます。

多摩川の支流大沢川に沿って登っていくこと 1.5kmほどでケーブル乗場にたどり着いた。ケーブルには下りに乗ることにして、そのまま歩いて登りにかかる。あたりはヒノキ林、ハイキング道はしっかり整備されており、天気は好天で歩きよい。汗をかきかき登ること約40分、御岳神社にたどり着いた。神社のそばには多数の宿泊所が並んでいる。

下りは御岳登山鉄道のケーブルカー。わずか6分で山麓の滝本駅に着いた。ケーブルに接続するようにバスがあったが、御嶽駅での連絡を考えると、歩いて駅に戻っても間に合うと判断。来た道を引き返し、大鳥居のところまで戻ってくると、御嶽駅近道の案内があったので、そちらの道を取る。地形図にはない遊歩道で、多摩川にはつり橋がかかり、国道を歩くより心地よく、かなり時間短縮にもなった。

[西武鉄道]御嶽から青梅線で拝島まで戻り、西武鉄道に乗り換える。JR線と西武拝島線は跨線橋で結ばれている。拝島の次は西武立川。立川市内にあるが、JR立川駅とははるか離れた場所にある。沿線に空地が多いのはかつて米軍基地が広がっていた関係か。東大和市付近からは住宅が建て込んでくる。ところどころにケヤキの木立が見え、武蔵野らしさを見せる。

小川で国分寺線に、荻山で多摩湖線に接続。新宿線が近付いてくると小平に到着。まずは、西武拝島線を乗り終え、次に、新宿線に乗り換えて2駅東村山に向かい、ここで西武園線に乗り換える。今日は西武競輪開催日とかで、それに向かう人たちがどっと乗っている。約4分で終点西武園。競輪場に向かう人がどっと出口に流れる。駅付近を一周、ホームそばの桜は満開だった。競輪開催日専用出札口では、硬券の切符を売っていた。

西武園から東村山に戻り、国分寺線の発車を待つ間、跨線橋の立ち食い屋で焼きそばをお腹に入れた。国分寺線は東村山と小川の間で多摩湖線の下をくぐる。約10分でJR中央本線接続駅の国分寺に到着。西武電車の乗り換え案内では「JR線」といっていた。JR線とは跨線橋で結ばれているので、西武園で入手した硬券切符は手元に残る。これで、西武鉄道の未乗区間は豊島線 1.0kmだけになった。

[都営地下鉄]国分寺から中央線で都心に向かう。都心の地下鉄のうち営団地下鉄は何度かに分けて少しずつ乗っているが、都営地下鉄は全くの手付かず。ここで、一日乗車券を使って全線乗ってやろうと考えたのだが、一日乗車券をどこで発売しているか、はっきりした情報が手元になかった。あえて想像すれば、定期券売場の窓口だろうと思えた。

けっきょく中央線快速を四谷で普通に乗り換え水道橋で下車した。ここは後楽園球場最寄駅。神田川を渡り、外堀通りを越えたところに都営地下鉄水道橋駅への出入口があった。出札口の自動券売機を見るとこれで一日乗車券が買えることがわかり、一日乗車券を購入。都営地下鉄の乗り歩きのスタート。

まず、水道橋から三田線を西高島平に向かう。地下鉄だから車窓の変化に乏しく、面白みはないが、板橋を過ぎ、志村坂上を出たところで地下から高架になった。高島平は一時自殺の名所となった高層住宅群がある。

都営地下鉄は、三田線、浅草線のYの字に新宿線が東西に走る路線なのだが、ちょうど乗り始めた水道橋は、路線のなかほどにあって、全線を効率的にまわろうとすると、わるいスタート駅だった。西高島平からの折り返し、巣鴨で山手線に乗り換えて新宿にでようかと考えたのだが、それだと水道橋−神保町間が残るので、おとなしく神保町まで乗り、新宿線に乗り換え篠崎に向かうことにした。

篠崎に向かう新宿線は総武本線の南側1㎞くらいのところを平行している路線で、高層団地のある大島を出るといったん地上に出て荒川を渡る。川を越すとふたたび地下にもぐる。船堀−篠崎間は昨年(1986年)9月14日に開業した区間だ。

終点篠崎、いったん地上に出てみると、街の一角にぽっかり地下鉄の駅ができた、という感じのところで、まだそれほど開けたところではないみたい。駅ができたから数年すると賑やかなところになるかもしれない。新宿線はこの先、JR総武線本八幡まで延長される予定だ。(:1989年3月19日、本八幡まで延長された。)

今日は静岡まで行く予定なので、残り時間が少なくなってきた。篠崎から折り返しの電車で、浅草線との接続駅になる馬喰横山で下車した。浅草線の接続駅は東日本橋で、いったん改札口を抜けて 200mほど歩かねばならない。

東日本橋から押上方面行の電車に乗る。この路線は京成電鉄と相互乗り入れしている。押上で下車し、いったん改札を抜けたものの、すぐホームに戻り西馬込行京成電車に乗り込んだ。押上にいた時間はわずか2分。

押上から西馬込までの所要36分。この時点で、第一に予定していた静岡行には乗れそうでない。西馬込でも2分しかおらず、JR線との接続駅である五反田に戻る。けっきょく、三田線神保町−三田間と新宿線神保町−新宿間は乗ることができなかった。

さて、一日乗車券 650円に対して、実際に乗った運賃を計算してみると、水道橋−西高島平 260円、西高島平−篠崎 380円、篠崎−押上 260円、押上−西馬込 260円、西馬込−五反田 170円の合計1330円、ほぼ倍乗ったことになる。

[静岡へ]五反田で山手線に乗り換え品川に向かう。品川駅の手前で最初に予定していた静岡行が走り去って行くのが見えた。第二案、次の沼津行に乗る。東京発の時刻で8分遅いだけなのだが、沼津乗り換えのロスにより、静岡到着が40分ほど遅くなってしまう。

沼津での待ち時間24分の間に駅前のハンバーガー屋に行き、それを夕食代わりとする。静岡では定宿(といっても3度目)の静岡ワシントンホテルに泊まる。ワシントンと付くが例のチェーンホテルではない。初めて泊まったのが1981年暮れで、そのときに比べかなり汚れが目立つようになってきた。

[東名高速線]「青春18きっぷ」は前日で使い尽くしたので、大阪まで比較的割安な交通機関の乗り継ぎで帰ることにする。まず、静岡−名古屋間は、JR東海バスの東名高速線、高速バスに乗ることにする。運賃は鉄道3100円に比べ高速バス2500円と 600円安い。高速バスを利用するもの初めてのことだ。

静岡駅前6:40発の高速バスに乗る。所要は3時間20分で名古屋10:00到着予定。静岡駅前からしばらく市内を走り、静岡インターから東名高速に入る。5〜10kmおきくらいにバス停がある。高速道は防音壁があるため、全般的に展望はよくない。途中の浜名湖サービスエリアで約5分停車する。

乗り降りもけっこうあり、愛知県下にはいったあたりからは、車内の座席がほぼうまっていた。名古屋インターで高速道をおり、名古屋駅に向かう。道路が混んでいて、名古屋駅がすぐ目の前に見えているにもかかわらず、バスターミナルになかなか到着しない。けっきょく、定刻を数分遅れた。

[名古屋市交通局]名古屋から近鉄で大阪に向かうつもりであるが、まだ午前10時を過ぎたばかり。せっかくだから、名古屋市地下鉄の未乗区間を乗ってしまおうと考えた。単純に往復するのも能がないから、まず、名鉄電車に乗って呼続(よびつぎ)まで行き、そこから歩いて新瑞橋に向かうことにした。

今回は名古屋での乗り歩きを考えてなかったので、地図など何も用意してこなかった。それで、途中、本屋に立ち寄り、地図の立ち読みなどをしながら、20分たらずでどうにか新瑞橋駅にたどり着いた。

名古屋の地下鉄は東山線のような名称のついている路線もあるが、新瑞橋−金山間は4号線、電車は日中は金山から2号線(名城線)と直通運転されている。上前津で3号線(鶴舞線)に乗り換えて庄内緑地公園に向かう。地下鉄だから全く面白みがないが、これでとりあえず名古屋市地下鉄の全線を乗り終えた。3号線は今後さらに延長されて上小田井で名鉄犬山線と連絡することになっている。(:1993年8月12日上小田井まで開業)

庄内緑地公園駅から10分も歩くと名鉄犬山線にぶつかる。小田井付近には枇杷島−勝川間に建設中の旧国鉄瀬戸線の高架が一部できている。列車が走ることはあるのだろうか。(:東海交通事業の路線として1991年12月1日勝川−尾張星の宮間、93年3月18日尾張星の宮−枇杷島間開業)
名鉄犬山線中小田井駅に出て新名古屋に向かった。

[近鉄]近鉄名古屋−難波・上本町間は30分おきに特急が走っている。所要2時間〜2時間半で結んでいるが、運賃1730円と特急料金1200円の計2930円である。一方、JR線は名古屋−大阪間の運賃だけで3100円する。近鉄の急行を利用すると特急料金が不要で、JRの半値近い運賃で大阪に行くことができる。ただし、名古屋から直通電車はないので、途中、伊勢中川で乗り換えなければならない。接続のいい急行は1時間に一本しかなく、所要時間も3時間15分くらいかかるが、時間に余裕のあるときは利用価値がある。




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