このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




送電線の彼方には・・
空に描かれたコース・ライン

ある港街の、小さな本屋にて

そして、それから、十数年後
1997年6月

 私は、生後22回目の初夏を迎えていました。運命とは不思議なものです。
子供の頃、船の絵ばかり描いていた、私が選んだ職業は、船員でした。
ある港に入港し、私は買い物に出かけ、帰りに小さな、書店に立ち寄ったのです。
店内の「今月の新刊コーナー」にあった1冊の文庫本に、ふと、目が止まりました。


それは、新潮文庫「鉄塔武蔵野線」(銀林みのる著)という本でした。

「鉄塔 武蔵野線・・・・?なんや、これ。」
手に取り、あらすじを読みました。

・・・・・・・5年生の見晴は、近所の鉄塔で番号札を見つける。
その名は<武蔵野線75−1>。新発見に胸を躍らせた見晴は武蔵野線を遡る・・

「ああ、これ、昔、俺もやったことがある!!」
なんと、まあ、私が小学校の頃に行った、送電線探索が小説になっているではないか!!レジへと直行しました。

 その夜、出港作業を終えた私は、船室のベットで、小説を読みました。かつて、1号鉄塔へと無心に辿った、自分自身の思い出と、主人公の心情が身に染みて重なり、思わず、枕を濡らしてしまいました。

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