このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




送電線の彼方には・・
空に描かれたコース・ライン

鉄塔武蔵野線で、蘇る記憶


 来月の7月は、船の国家試験、1級海技士(航海)の筆記試験でした。
 この資格は、密かに少年時代から、欲しいと思っていました。近所の本屋さんには「小型船舶操縦士」に関する本は置いてありましたが、大型船に関する専門書は、ありませんでした。しかし、日曜日毎に、校区外へと、自転車を走らせていた私は、ついに、新日鐵製鉄所の正門付近にある書店で、金属や造船に関わる本と共に、船舶の専門書が並べてあるのを、発見したのです。



 そのなかに、「甲種1等航海士(現在の2級海技士)」・「甲種船長(現在の1級海技士)」などと、いう本がありました。これは、船員になるための資格だと確信しました。内容はほとんど理解不可能でしたが、眺めているだけで幸せな気分でした。わたしの小遣いではとても買えない価格でしたし、たとえ、お金を貯めて買ったとしても理解できません。ましては、親に見つかりでもしたら「無駄な買い物だ」と怒られると思い、購入は諦めました。しかし、暇なときには、この本屋に訪れて、これらの本を、眺めていたのです。

 小説「鉄塔武蔵野線」を読むと、そんな、様々な思い出がよみがえり、1級海技士を勉強する際に、励みになりました。勉強の時は机上に、就寝の時は枕元に、その文庫本がありました。
 丁度、休暇中に、映画「鉄塔武蔵野線」が、大阪の梅田で上映される事を知りました。上映開始日は、試験日の3日前でしたが、勉強より、映画鑑賞を優先しました。それに、勉強の追い込み前に、この映画の力が必要であると、感じていたのです

1997年7月19日

 私は、上映開始の日の朝一番に駆けつけ、映画を見ました。

映画館「テアトル梅田」にて、配布されたパンフレッド

 映画は、それに答えてくれました。まさか自分の少年時代の1ページが映画になるなんて・・・・クレジットが流れ終わっても、しばらく動けないほど感動しました。

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