このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




送電線の彼方には・・
空に描かれたコース・ライン

あの日の1号鉄塔は・・

 映画を見た後、自宅に帰った私は、午後、1級海技士の試験勉強の追い込みの為、図書館に向かいました。途中、自転車をこいでいる時も、午前中に見た映画の興奮が冷めずに、クラクラしていました。図書館に入り、問題集を開いても、映画のラストシーンが、何度も頭をかすめます。全く、集中できないのです。これは、誤算でした。

「しまった!映画は、試験が終わってから、見るべきだった・・・」

そして、堺港長曽根線の1号鉄塔が、今更になって、不可解に思いました。
「なんで、送電線が終わってたのだろうか?」
「それに、あそこは、堺港ではない・・・・」
もう、我慢できませんでした。
「ちょっと、気分転換に見に行こう!」
私は、勉強道具をリュックに流し入れ、図書館を抜け出しました。
そして、スタンドを蹴り上げ、自転車を走らせました。
 堺港長曽根線の1号鉄塔前は、今までに自分の運転する車で何度か通過しています。しかし、今となっては、一度も鉄塔に焦点を合わすことはなく、見向きもしていませんでした。

 私は、サドルにまたがったまま、十数年ぶりに、1号鉄塔を見上げました。



 よく、観察すると、1号鉄塔の謎が解けました。2号鉄塔から受け取った、送電線は、下方に折り曲げられ、地面に姿を隠していたのです。
「なるほど、ここからは、地中ケーブルかぁ・・」
 架空送電線なら、空を見上げれば、たどることが可能です。しかし、地中の送電線は、電力会社の関係者ならともかく、私のような、一般人には解るはずがありません。それに、大事な試験が、明々後日に迫っています。
「この先、どこに繋がっていようが、今の俺には関係ない」
「こんな、くだらん事、どうでもいいや、早く勉強しよう」
 私は、自転車を反転しようとしました。その時です・・・・
 電柱の警告板に目が止まりました。これは!!

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