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送電線の彼方には・・
空に描かれたコース・ライン
試験当日、私にくれた奇跡
それから3日後の
1997年7月22日
1級海技士の試験日の事です。問題用紙を受け取った私は、目が点になりました。
なんと 問題の第1問目が!!
平成9年7月定期 1級海技士(航海科) 「航海」に関する科目 実物の問題用紙より
水道又は河川を横断している送電線の映像は、
この水道又は河川を航行中の船のスコープ上には、
一般にどのように、現れるか。
私は、しばらく体が硬直しました。そして、映画のセリフが、頭をよぎりました。
見晴 「アキラ、ピラミットの背が高くなったと思ってみ」
アキラ 「思った」
見晴 「そしたら、鉄塔と同じじゃん。だから、パワーとかがさあ」
「パワーか・・・・」私は、天井の蛍光灯を見つめました。
この問題は、子供の頃、送電線を見上げ、自転車を漕いでいたことが、解答のヒントなのです。
たとえば、夏の陽射しの強い中で、自分の後方に太陽があり、前方に送電線があるとき。送電線の一点が、キラリと輝いて見えることがあります。そして、送電線を見上げながら、それに沿って自転車を走行させると、その、一点がどこまでも、自分を追いかけてくるような、感じがします。
船のレーダーも、これと、同じ現象が起き、送電線の映像は、線として現れずに、ひとつの点として現れます。それは、まるで、1隻の小さな船と勘違いしそうな映像として映るのです。そして、自分の船が左右に舵を取れば、それに応じて、映像も左右に移動し、実際には、存在しない船が、あたかも自分の船に、突っ込んでくるような錯覚に陥ります。ですから、視界の悪いときには、注意が必要です。
これが、解答です。
試験が終わった後、私は、梅田へと急ぎました。
映画「鉄塔武蔵野線」を、もう一度、見るためです。
なんとか、最終上映時間に、間に合いました。
館内で、一番良い席に座り、映画を鑑賞しました。
その日、涙腺は完全に緩み、こみ上げてくるのを、
止めることは、できませんでした。
おかげさまで、無事、1級海技士の筆記試験に合格し、
私は少年時代の夢を手に入れることが出来ました。
「海原みはる」は、
鉄塔武蔵野線の主人公「環 見晴」より、
また、海を見張る仕事をしていることもあって、
勝手ながら、使わせていただいております。
ありがとう「鉄塔武蔵野線」!!
銀林みのる様、感謝しています!!
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