このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
 

なぜミャンマーへ、大変そう、どんなところか想像つかない、危険そう、、、。
そんな事うんざりするほど聞かれた。

そこにも暮らしている人がいて、フツウにご飯を食べて、フツウに恋してる。
人間の営みなんて最終的に世界中皆一緒。
雨ツユしのげて、ご飯が食べれて、誰かが側にいてくれればそれでいいのかもしれない。
私はそう思ってきたのだけれど違う人もいるらしい。
いや、かくゆう私もいまだに一つの「ご招待」を受けずにいる。

ニューバガンのエーヤワディ川の近く、それなりの観光地らしきパゴダの下に集落がある。
そこにはニェインニェインという友達一家が住んでいるのだが、
「今度はここで泊まりなさい」
と何度言われたことだろう。
何度となく食事の招待は受けてきたが泊まったことはないのだ。
今まで電気もガスも水道もない村の家に泊まったことも数しれず、蟻だらけのモネストリーにも滞在した。
クアラルンプールのバスターミナルで、シャルルドゴール空港の待合室で平気で一夜を明かしてきた。

しかし、その川のほとりの集落の友人宅には泊まる気がしない。
正直、怖いのだ。
竹かなにかを編んでできたような家。
雨季の大水に備えて高床になっているが、その床から地面をみることができる。
床下を地鶏がヒナをつれてコッコッコッコと歩き回る様がみえる。
「床、抜けないかな、抜けないかな、、」
食事中そんなことが心配になる。
彼女達はタイヘン華奢だが、私のがっしりした図体が動くたびミシミシと家が鳴く。

「今ここには何人住んでいるの」
「えーと、モンモンは結婚したでしょ、だからお父さん、お母さん、私、妹の四人」

彼らは大家族だが現在住んでいるのは、その半分ぐらいになったらしい。
数年前は五人だったのだから、若干生活レベルが向上したかもしれない。
皆、例によって熱いお茶をすすりながら私を覗き込む。
他のアジアの国ではお茶に砂糖を入れたりするが、ありがたいことにプレーンティーだ。

「だから、、ザジゴンここに泊まりなさいよ」

お母さんが寝るポーズをとる。
娘達も同じくニッコリ。

こんな時、西洋人は泊まりたくない旨を、
「相手側のマイナス要素」
を挙げ連ねて、ディベートでもするかの勢いで断るのだろう。
私、ザジゴンも普段は、
「ビジネスライクで白黒はっきり、主義主張が強い」
と恐れられるものの、やはり日本人である。
「井戸がないってことは、水は裏の川からか。シャワーは当然川だろう、トイレは?」

私の頭の中にベトナム、メコンで見た光景が広がる。
しゃがんで用をたす人、歯をみがく人、食器を洗う人、石鹸の泡ごと飛び込む子供たち。
「ここの人々の笑顔はなんてステキなんだろう」
と思ったものの、そこで暮らしたいかと問われれば「NO」である。


(第二項へ続く)
  

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written by ザジゴン

 

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