旅程は出発前に一応は決まっていて、ほとんどの場合はおもしろくないくらい忠実に遂行されるのだが、何となく制約がある気がするので宿は現地に着いてから決めるというスタイルが創業(?)以来続いていた。別掲のようなカプセルホテルのある都市に宿泊する場合は深夜に着かない限りは大丈夫といえる。カプセルホテルというものは終電を逃したりした客が深夜になってから利用するのが一般的なので、21時前ぐらいに入ってもガラガラのことも多い。
ホテルが満杯で困ったこともめったになく、米子にて5軒目でダブルの部屋にありつけたのが自己記録としていたが、その後94年1月、宮崎にて6軒満室で南駅まで行き「レマンホテル」を確保したことで記録更新となった。翌日7時台の出発予定のため、あまり駅から遠くでもとこのときは少々焦った。
これを機会に、特に平日泊まりのビジネスホテルで過去に泊まったところや当てのあるところはあらかじめ予約する事にした。それでも初めての都市でホテルガイドなどでも決めかねるときは、現地に行ってから考えることになる。
97年4月、秋田新幹線に乗ろうと新潟、秋田泊まりのプランで出動した。新潟はおきまりの「ホテルα-1新潟」に前もって予約をしようとしたら満室とのことで、まあ新潟ならベンクーガー(のちになまえがかわったらしい)など駅前にホテルが多く、1600頃の到着なのでなんとかなるやろと考えた。秋田も指定宿(?)の「ホテルハワイ駅前店」を当てにしていて到着も1600頃だし過去の経験から飛び込みでも大丈夫だと高をくくっていた。
新潟(水曜日)は当日念のためα-1に行ってみたら1部屋キャンセルがあったようで運良く確保できた。
気をよくして翌日を迎えたが、村上までの電車(927M)がロングシート車で、いやな予感がよぎった。
927M-825D-特2005Mで1608秋田着。ホテルに直行したが「ホテルハワイ駅前店」は満室とのこと。まあ時間もあるしとホテルハワイの他店を当たってみたがここも2店ともアウト。おやおやと周辺ホテルを回ってみたり電話帳から拾って問い合わせたが全滅。夜になってはさすがに心配なので駅へ戻り、案内所を訪ねたがどこも空きは無い、近くの都市といえば羽後本荘か大曲か鷹ノ巣あたりになるとのこと。同じ様な宿泊難民が他にもいて皆困ったような顔をしていた。
これはいよいよまずいと電話帳を繰って羽後本荘をねらってみたが、「あー、たった今いっぱいになっちゃいました」秋田市内から流れているようであった。鷹ノ巣あたりまでいくとすると翌日が秋田814発の指定を取っているのでかなり早起きを強いられる。ラッシュ時の列車はあまり乗りたくない。
カプセルホテルはおろか終夜営業のサウナもなさそうで、あとはわけの分からない旅館の類をあたってみるかと思い、電話帳を見ていたらラブホテルらしき広告あり、それ程駅から遠くないらしい。
電話番号だけで広告のない旅館よりこういうところでも電話帳に広告を掲載しているところはなんとなく安心できると問い合わせたが、ひとりでももちろん(?)OKだが泊まりは10時からになるとのこと。
仕方がないので、商店が開いている時間まで街をぶらぶらしてあとは駅前のご指定「太平山」で飲んだくれて待っていた。
「ホテルXO」駅からバスで、有楽町下車 (\140)。 料金\6,300込 ドライヤーも化粧品も完備。なぜかアラームはなかった。当然ベッドもダブルで風呂とトイレは別と設備はへたなビジネスホテルよりはるかによい。通りから一歩入ったところにあり周りも館内も大変静か。羽後本荘まで行くことを考えれば結果としては良かったといえる。
かの宮脇俊三先生も札幌だったかどこかで同様のケースにあったと書かれている。こういう体験を経て一人前の「旅師(懐かしかコピー?)」になるのだろうか。
筆者も故事に倣って、ピンクの浴衣もどきを着て寝た。
当日何か大きなイベントでもあったのかも知れないが、特に平日のビジネスホテル泊まりは油断は禁物であるという教訓と意外に使える緊急避難先を会得した。 同様の体験をされた方、お便り下さい!! |