岩日線の未成線部分を走る「遊覧車」があるということで行ってみることにした。岩日線は岩国と日原を結ぶ予定で途中の錦町まで営業していたもので、国鉄の第二次廃止対象になり、昭和62年7月に第3セクター「錦川鉄道(錦川清流線)」に移管され今日に至っている。
遊覧車「とことこトレイン」は運転日限定の予約制となっており、夏休みの間は毎日運行されていた。8月の終わりならそれほど混んでいないだろうと思ったが、一応往復分の予約(電話)をして出かけた。
錦川清流線の続きであるのだが、乗り場は一旦駅の外に出てまわりこんだ所にある。乗客はあまり清流線を使わず自家用車で来ているようである。列車接続になっているが自家用車組が先に乗車しており、既に遊覧車は満席の状態になっていた。予約がある人は一番前に「予約席」を確保してくれている。臨機応変の対応なのか発車間際になってもう一編成続行便がつくことになった。狭いのでぎゅうぎゅう詰めだとちょっとつらい。
遊覧車は牽引車に3両の客車をつけて約6キロを40分かけてとことこ走る。蛍光石で装飾されたトンネルやこうもりの住むトンネルなどトンネル区間が多い。駅の予定地は2カ所有り、ひとつはホームまである。
雙津峡温泉郷に近い「北口」が折返場で、ここで下車する客もいる。2時間ほどこのへんで過ごして後の便で帰るらしい。この先にも路盤はできており、その気になればバス専用道として使えそうではある。
鉄道線の走る場所だったとはいえ、「岩日北線記念公園」内を走るだけので遊園地の遊覧車のようなもので、家族連れなどはおそらくそのつもりで乗っているのであろう。「未成線の感慨に浸る」客なんてのはほとんどいそうもない。
バス専用道として使うこともできそうだが、駅予定地は必ずしも便利なところにあるとは限らず、周辺の道路も整備されておりそれほど必要はなさそうである。以前あったJRバス岩益線は六日市営業所とともに消滅していて岩国から日原に抜けるのは町営バスの類を乗り継いでいくしかなさそうである。魅力的な沿線なのでJRバスがあるうちに行っておきたかったと後悔しきり。
* 87年4月号時刻表によると広島BC725-岩国842-新岩国904-六日市1009-日原1103-津和野1115というバス便がある。
「とことこトレイン」詳細は
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