このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

木のこと家のこと

ローコスト住宅


私自身も今回の家を建てるにあたり、自分なりの「ローコスト住宅とは?」というものを考えた経緯があります。

「ローコスト」という言葉自体から受ける印象も人それぞれなのでしょうが、おそらく「ローコスト住宅」から想像するイメージは、

■本来の相場よりグレードを変えないで安くあがる家(買い得感がある家)

■とにかく値段が安い家

■設計事務所を入れて材料の単価や工賃を適正に監理した家

■革新的な流通経路や工法が確立され、コストが押さえられた家又はそれを提供しているビルダー(○○システムハウス、○○工法の家、○○ローコスト研究会の家など)

■自分が想像していたよりも値頃感がある家


こんな感じではないでしょうか・・・

敢えて悪い印象を持つとすれば

■安かろう悪かろう

■手抜きされてそう

■見えない部分で何されているか分からない


となるのでしょうか・・(^_^;)

安いからと飛びついちゃって痛い目にあった事例も見かけます。
この辺は今後アップ予定の欠陥住宅関係でボチボチ書くことが出来ればと思いますが、「ローコスト住宅」という宣伝の裏には危険な罠も待ち受けている可能性が少しは有ることを忘れてはいけないのだと思います。


ここでわが家で採用されたローコスト化の項目について挙げてみたいと思います。

1.構造材通常の流通経路(材木商などを経由)ではなく工務店が直接山から購入する形態をとっているため、同じグレードの材木より安価で仕入れることが出来る材料
2.木材の加工プレカットを採用することにより、加工代を抑える
(参考)手刻み   3万/坪〜
    プレカット 1万/坪程度
また、プレカット自体も山で直接行う(別注しない)
手間
3.木材のグレード構造的に問題なければ節有りも積極的に使う

材を指定するのではなく、在庫であるものを使う
材料
4.木材のサイズ例えばデッキ材は大引き用に既に加工されているサイズの材を流用するといった感じで、一般的に出回っているサイズで加工された材を使うと安くあがる。これをサイズと数量を指定して発注するとそれ用に加工するため、材の加工賃が嵩む材料
5.手続き自分で出来きそうな手続きは出来るだけ自分で!
解体に伴うリサイクル法の届出や登記関係、引越に関連する手続き(車庫証明、車検証住所変更)など
(車購入時の納車費用や車庫証明費用をカットするようなイメージ)
手間
6.棟上げこれは当たり前になってますが、クレーンなど重機を使い、効率的に棟上げする。手間
7.細かい納まり窓枠や鴨居敷居など細かい造作部分の組み立ては、凝った伝統工法を採用せず、現代の金物・接着剤に頼った施工方法とする手間
8.工具これも当たり前になってますが、現代の家づくりに電動工具は欠かせない存在ですよね!
これを
「釘はトンカチで!ノミ・カンナ・鋸は手で!ネジも手で締めること!」
なーんて指定しようものなら、多分職人さんみんな逃げ出しちゃいます(笑)
手間
9.棚・家具出来るだけ造り付けとし、デザインを統一しつつ、家具(どうしても新築だと新しい物が欲しくなってしまう)の購入を控える材料
10.洗面化粧台最低限の機能(シャワー、洗髪)を備えた物を購入
また、2階の手洗いは造作によりコスト削減
材料
11.風呂これも最低限の機能(風呂に入る、追い炊き機能付き)を備えた安価なもの材料
12.デッキ解体した古屋の柱を再利用(新品で20万円位)
既製サイズの材を使用
材料
13.屋根材日本瓦ではなく、金属屋根を採用
自ずと構造材も加重の差で安くなる
材料・手間
12・家の形出来るだけ真四角になるようにプランを検討材料・手間
14.外構塀を作らない、土間仕上げはシンプルに!
土地が狭いのもあるのですが、まともに塀、カーポート、土間と施工しちゃうと直ぐ1本位行っちゃいますよね!
材料・手間
15.電気設備情報分電盤などを既製品(松下など)の格好良いやつから汎用品に変更材料

思いつく限りではこんな感じですね。

これとは逆に、ローコストで無い部分(建売住宅やハウスメーカー系企画型住宅の標準仕様よりコストがかかってると思われる部分)ですが・・

1.大工の手間これに関してはそれなりにかかっていると思います。
建て売りで2〜3ヶ月、HM系の通常3ヶ月〜4ヶ月で竣工のところを、7ヶ月かかりました。その分大工さんが造作に時間がかかっているということで、比例して手間代がかかります。
実際の内容については次回アップ予定のページで紹介させていただきます。
2.外壁サイディングではなく塗り壁にしました。
(参考)わが家で50万程度のアップ
3.トイレHM標準品より多機能な機種を採用しました。
4.照明目安は1万円(定価)/坪(某大手HM営業談)
と言われているようですが、わが家はその3倍近くの費用をかけました。
照明の効果はかなり重視しました
5.内壁ビニルクロスではなく、全面塗り壁を採用
(参考)ビニルクロス 1000円/㎡〜
    塗り壁    3000円/㎡〜
6.キッチンこれはクリナップの上級仕様にしましたが、大手ですと同じグレードの物が採用されていたりしますので、際だったアップではないと思います。
扉は一番安い物をチョイスし、わが家の場合吊り戸棚が無いので逆に安いかもしれません(^^)
7.換気扇グリーンハイキを採用した関係でやや高めになっていると思います。実際のキッチンセットのシロッコファン単体の金額が分からないので、詳細は不明です(^^;)
8.電気錠利便性を考えて採用!約20万のアップ
鍵自体も高級鍵メーカーの物を採用しましたが、実際は流通している他メーカーと比べて極端に高価になることはありません。
9.マルチメディア趣味で(大)好きな分野なのでオーディオビジュアル系のケーブル・機器・コンセントはケチりませんでした(笑)
全体の費用から占める割合としてはわずか(なはず)です(^^;)

 

だらだら列記しましたが、自分なりにコストを抑えた部分とちょっぴり贅沢した部分を上手に組み合わせて、コストを抑えつつ満足のいく家にしたつもりです。

床や建具天井に無垢の木を多用した部分についてですが、合板フローリングや建具、階段など、建材メーカーの既製品を採用した場合と大差はないと思っています。

最終的には人それぞれ価値観が違うわけで、一括りにローコスト住宅の定義を決める事は出来ないと思うのですが、基本的には材料代、工賃などの人件費・会社経費や監理費などのうち、どこかを削らなければローコストが成り立たないのは事実だと思います。これらの削減方法もバランスがとても重要だと思います。万が一極端にバランスを崩したコスト削減を行った場合、手抜き工事や欠陥住宅として結果に表れる可能性が高くなってしまうのだと思います。

次回はちょっとわが家から離れ、木造に限らず、実際に目にしたローコストの手法や現場見学会で注意して見た部分などを紹介したいと思います。


コラムに戻る    トップページ   次のページ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください