このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

木のこと家のこと

ローコスト住宅(販売形態から見る) 


今回は、ちょっとわが家から離れ、木造に限らず、実際に目にしたローコストの手法や現場見学会で注意して見た部分などを何回かに分けて紹介したいと思います。

◆建て売り住宅のコスト削減(主に近所で見かける分譲住宅の場合)
まずは建て売り住宅です。
建て売り住宅は年間で建築される住宅建築総棟数のかなりの割合を占めています。そして土地代込みで消費者が手を出しやすい価格に抑えなくてはならないため、かなりのローコスト化(合理化)を図らなくてはいけません。

うちのエリアでも建て売りを主体とする分譲業者が何社もありますが、「どうやってこの値段で儲けてるんだろう?」と思うくらいお値打ちな価格で販売されており、なかなかの人気のようです。

基本的に土地代と言うものは、路線価などからおおよその地価が予想できてしまうので、分譲業者としては土地のみの販売は「旨味」が生じません。そこで「分譲住宅」や「建築条件条件付き土地分譲」という形で建物に利益を乗せる方法をとっています。

では建物で利益を出すためにはどうすればよいか?と言いますと、やはり徹底したコスト管理によるローコスト化を図る事が必要になります。

構 造鉄骨プレハブメーカー系分譲住宅を除けば、圧倒的に木造が多い。
木材は加工が容易で、材の使い回しが効き、無駄が無い。
2×4は職人の教育が必要なのと管理が大変なので、在来工法が主になる。
工 期2ヶ月程度で完成させる。
工期を短くすることで職人に払う手間代を大幅に抑える事が出来る
構造材木造の場合、通し柱は松系集成材、その他の部分はスプルース、ベイツガを使用する場合が多い。
柱は3.5寸。また土台も芯持ち材でない(辺材である)場合が多い。
梁は集成材が多くなってきた。
その他木材2×4材を多用する。
ドア枠の下地などには、寸法的に既製品となる2×4材を使用すると安く上がる。
装備的な部分最近は2重サッシなどは当たり前になりつつあるが、ちょっと前までは公庫仕様で建てられていない場合はシングルサッシの場合が多く、、また、断熱材等もかなりいい加減な施行が目に付いた。この辺は建築基準法では規定がない部分であり、しかも消費者にとって、装備の充実度は購入の判断材料になる重要な部分。これらについては品確法が制定されたことで、特に建て売りなど、既に建っている物(中身が見えない物)などでも、どのような仕様で建てられているか分かりやすくなった。

また、サッシやキッチン風呂トイレなども一定量安く仕入れている物(粗悪という意味ではない)を使用するため、それらの変更をする場合は単品で仕入れるような状態になりかなりの割高となる。しかも、間取りの制約上付かなかったり、取り付ける職人にノウハウが無かったり、とにかく無理だったりする場合が多い。


◆企画型住宅(ハウスメーカーの注文住宅)
大量入荷により仕入れ値を下げたり、家自体も独自の構造認定により商品価値を高めたりと、企業側にたてば様々なローコスト化が行われていると思うのだが、金額的に消費者(施主)の立場ではその恩恵をモロに受けられるかと言うと?が付いてしまう。
しかし、特に契約までは濃厚なサービスや提案を受けられることと、モデルハウスやショールームが充実しているのでトータルではお得になるのか!?

注文住宅とは言うが、逆に企業側から商品ごとのコンセプトに基づき、一定の質を商品(家)として提供するのが主流。お客側はその商品をチョイスするような感じになる。あまり家に関心が無くてもそれなりの機能は確保されているので、家を建てるのも楽ちん♪

構 造構造は様々になる。殆どが独自に構造部分の認定を受けており、それぞれ流通形態を完備した中でコストダウンをはかっている。
木造の場合、接合部分も独自の金物が使われ、強度的な「宣伝効果」になっている。

基本的に構造部の注文には応じない。
工 期3〜4ヶ月程度で完成させる。
様々な部材をユニット化することで、工期と職人に払う手間代を大幅に抑える事が出来る。
どちらかと言えば「職人」と言うよりは「作業員」といった部類の人が行う仕事が多い。
構造材木造の場合、通し柱、その他の柱共には松系集成材を使う場合が多い。
柱・土台共に4寸になる場合が多いが、メーカーによって幅がある。
檜などの高級木材使用を「売り」にしているメーカーも多くなる。

(参考例)大手A社の木造
      柱土台共に4寸の集成材であるが、樹種はホワイトウッド
      大手B社の木造
      通し柱土台は檜系(サイプレス)の集成材4寸であるが、その
      他の柱や部材についてはホワイトウッド

樹種だけで言えば、大手ハウスメーカーより地元中堅メーカーの方が良い材料を使っている場合が多い。

鉄骨系の場合は、鉄骨の形状や組み立て方も様々であるが、生産エネルギーの違いから木造系よりは割高になるケースが多いが、品質的にはかなり画一的に扱えるので、メーカー側としては工期の短縮、クレーム処理等の経費削減などでコストダウンが見込めるのだと思う。

その他木材下地材などに使う木材には特にこだわりは感じられない。
これらもユニット化されて画一的に扱われる。
装備的な部分装備的な部分は、注文住宅になるので施主の自由になる部分が殆ど。
ハウスメーカーはかなりの値引き額で商品を仕入れている訳だが、消費者に還元される部分はあまり無い。大体定価の1〜2割引きが殆ど。
また、キッチンや風呂などは設備メーカーに依頼してハウスメーカー独自の商品ラインナップを揃えているところが多く、その範囲の中でのオプション変更にとどめた方が消費者にとってはコストダウンがはかれると思う。

ハウスメーカーの家の場合、内装材や設備機器など「商品」として部材を仕入れる割合がかなり高くなるので、ローコスト化を図りたい場合はあまり向いていないのかな?というのが素直な感想。



◆設計事務所・工務店・大工系の注文住宅
基本的には100パーセント注文に応じた受注形態だが、商品ラインナップを揃え、ハウスメーカー的な販売形態を取るところも多い。
構造的にも得意分野が必ずあり、建設会社(ゼネコン)のように、全ての工法に対応する会社は希である。
ある意味細かい対応が可能である。ローコスト化を図るには良い選択であるが、工務店側が施主の要望に応えすぎて自身の能力を超えてしまったり、施主のコストダウンの要望が強すぎると、臨機応変になりすぎて逆に粗悪な家になってしまう可能性も否定できない。
世に存在する悪徳業者(事務所)もこのジャンルに多数存在する。
施主として、誠実な業者(事務所)かどうかをちゃんと見定める必要があるが、ハマれば色々細かいニーズに応えてくれる良きパートナーと為り得る。



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