このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
2005年2月
■イラク総選挙の成功を祝福する
イラク国民議会選挙、成功裏に終了(2月1日)
報道によると、フセイン政権崩壊後の新しい国づくりのあり方を問うイラク国民議会選挙(全国区、拘束名簿式比例代表制、定数275議席)が1月30日、投票日を迎え、全国18州でテロに対する厳戒態勢がとられる中、有権者が111の政党から選んで一票を投じた。懸念された選挙妨害については、10件以上の自爆テロで犯人9人を含め少なくとも44人が死亡、多数が負傷、61ヶ所の投票所が閉鎖された(開設は16州で5171ヶ所)が、選挙自体を全面的に阻害するには至らなかった。当初、治安の悪化を理由に、少数派のイスラム教スンニ派勢力が選挙の6ヶ月延期を主張し、ボイコットを宣言していたが、投票率は60%を超えたと見られ(有権者数:約1296万人)、同国で多数派を形成するイスラム教シーア派政党(「イラク・イスラム革命最高評議会」)の勝利が確実とみられている。イラクで複数政党が参加する選挙は、王政時代の1953年以来、52年ぶり。今後、暫定政権に代って移行政権が設立され、憲法草案の国民投票、総選挙に続いて正式な政権が発足することとなっている。多国籍軍やイラク暫定政権の設立を定めた国連安保理決議第1546号は、2005年1月までに国民議会選挙を実施するよう定めていた。選挙について、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領や国際連合のコフィ・アナン事務総長は、相次いで選挙の成功を祝福する声明を発している。
今回の国民議会選挙は、新生イラクの自立に向けた第一歩であり、成功に祝意を表したい。焦点の投票率は約6割と発表されているが、これは、テロ等の選挙妨害が猛威を振るう中で選挙が行われたことを考えれば、「大成功」と呼べる数字であろう(先進国でかつ「水と安全はタダ」の日本ですら、2003年の第43回衆議院議員選挙の投票率は59%(小選挙区59.86%、比例区59.81%)に留まっている)。当初、ボイコットを宣言していたスンニ派住民も、シーア派住民の多くが投票にでかけたのを見て、事実上ボイコット戦術を放棄したものと見られる。その点、「治安が悪化しスンニ派がボイコットする中では選挙は実施できない」「ブッシュ大統領は選挙を強行しようとしている」等として暫定政権やアメリカの方針を批判していた一部識者や、選挙そのものを暴力で否定しようとしたテロ組織の目論見は、完全に外れたという他ない。
今後は、新政権の樹立と新しい憲法の制定が焦点となるが、シーア派にせよスンニ派にせよ、あるいはクルド人勢力にせよ、それぞれの立場を一定程度尊重し、極端な政教一致政権やシーアン派寡占の政権を作ることは慎まなければならない。その点、クルド人らが主張する連邦制、地方分権型の国づくりは、民族や宗教の対立を比較的緩和することができる考え方といえよう。イラクは、アルジェリアやアフガニスタンとは異なり、(バース党一党独裁とはいえ)世俗政権の経験が長く、国家体制も両国より遙かに整備されている経緯もあり、石油資源で外貨獲得も可能なことから、ソフトランディングに向けた条件は比較的整っている。正統政権が発足し、治安情勢が改善すれば、米軍や我が国自衛隊を含む多国籍軍が段階的に撤退することもできよう。いずれにせよ、今後の推移を見守りたい。
■スーダンPKO:自衛隊派遣を含め出来る限りの協力を
政府、スーダンPKOへの自衛隊派遣を検討へ(2月1日)
報道によると、国際連合のコフィ・アナン事務総長は31日、アフリカ・スーダン共和国の南北内戦の終結を受け、停戦監視や国連要員の警護等の任務にあたる1万人規模の平和維持活動(PKO)の設置を勧告し、報告書を安全保障理事会に提出した。これを受けて、日本政府も、国連安保理常任理事国入りに向けて国際貢献への積極的に取り組むため、この新しいPKOに自衛隊の部隊を派遣できないか検討を開始しているという。実現すれば、2001年12月にPKO協力法改正法で国連平和維持軍(PKF)の本体業務(停戦監視・武装解除監視等)の凍結が解除されて以来、はじめてのPKF本体業務が行われる可能性がある。
スーダンは、1983年にモハメド・アン・ヌメイリ政権(当時)のイスラム法導入に反発した南部の黒人キリスト教徒勢力(スーダン人民解放軍)が反乱を起こして以来、断続的に内戦を繰り返し、200万人以上の犠牲者を出してきた。しかも、ここ数年は、同国西部のダルフール地方でもアラブ系民兵組織「ジャンジャウィード」と黒人住民の対立が表面化(ダルフール紛争)しており、こちらは南北内戦終結(2004年5月26日、包括和平協定調印)後も依然として続いている。加えて、同国政権は一時期、イスラム原理主義色を強め、国際テロリスト・ウサマ・ビン・ラディン容疑者とも深く関係していたとされ、アメリカからはテロ支援国家と看做されている(1998年には米軍がハルツーム近郊の「化学兵器工場」を巡航ミサイルで空爆している)。
今回のPKOについては、スーダンが遠くアフリカにあって我が国との二国間関係が少ないこと、南北内戦が終結したとはいえダルフール紛争が継続中であること等から、自衛隊部隊の派遣に慎重な意見がある。特に、実際に派遣される防衛庁当局は、憲法第9条との関係で大幅に制限されている武器使用規定が緩和されない限り、PKF本体任務への参加は難しいと考えているらしく、相次いで慎重な考えが示されている(2月3日森勉陸上幕僚長記者会見、2月4日大野功統防衛庁長官記者会見)。他方で、国連常任理事国入りを目指す外務省は、ODAと並んで我が国の国際貢献をアピールしたい観点から派遣に積極姿勢で、逢沢一郎外務副大臣は6日、テレビ番組の中で、「日本が全く関与しないという選択はないと思う」と述べ、何らかの形で関与すべきだとの考えを示している(但し、逢沢副大臣は、PKF本体業務については、慎重論を述べていた)。
実際に派遣される防衛庁・自衛隊側の憂慮は、全く理解できるものである。そもそも、自衛隊の貧弱な輸送能力(特に航空自衛隊の輸送機)では、イラク復興支援活動やインドネシア津波災害支援にそれぞれ1000人規模の部隊を派遣するだけで精一杯であり、この上更に遠隔地に部隊を派遣するにはリスクが大きい(スーダンPKOが本格化する今年9月以降なら、インドネシア派遣部隊も撤収しているであろうが・・・)。しかしながら、他方で、我が国の国際的地位や外交を考えれば、スーダンPKOに全く関与しないという選択肢は、(逢沢副大臣も述べたように)あり得ない。カンボジアや東ティモールに派遣した大隊規模の施設部隊か、それより小規模の後方支援部隊、あるいはせめても司令部要員を派遣し、日本のプレゼンスを確保すべきではないだろうか。
加えて、今後検討すべきは、自衛隊の海外展開能力の整備である。現在、航空自衛隊が保有する輸送機のうち、国産のC−1輸送機26機は航続距離の関係で海外に出すことはできない(8トンを搭載して公称1300キロ:海外はおろか、北海道から沖縄まで直行できない)ため、米国製C−130H輸送機16機(9トンを搭載して公称8200キロ・20トンを搭載して公称4000キロ。ただし、C-130Hは本来戦術輸送機であって長距離を飛行するものではない)だけで全ての海外任務を回している(他に、政府専用機2機)。これでは、海外派遣中の部隊を全面バックアップするにはあまりにも心もとない(ちなみに、全世界に展開する米空軍は、C-130シリーズを514機(現役186機、空軍州兵222機、空軍予備役106機)保有している他、より大型の輸送機も200機以上保有)。新しい防衛計画の大綱では、陸上自衛隊に機動展開部隊として「中央即応集団」の設置が決まったが、「使える」輸送機が16機では、海外はおろか国内すらも「即応」できない恐れもある。空自の空輸能力の大幅拡大を求めたい。
■尖閣諸島灯台の国家管理を歓迎する
政府、尖閣諸島の灯台を所有・管理へ(2月9日)
報道によると、政府は9日、中国(中華人民共和国)、台湾(中華民国)がそれぞれ領有権を主張している我が国固有の領土・尖閣諸島(沖縄県)魚釣島の灯台について、海上保安庁が所有・管理することとなった旨発表した。同灯台は、1978年、政治団体「日本青年社」の有志が光達距離20キロのものを建設し、88年には太陽光発電装置を持つ新型のものに建て替えられた。1990年から沖縄県石垣市の漁業者が所有権を持ち、「日本青年社」が保守・管理を担当してきた(この間、灯台によって重度の遭難を免れた船もあった)。同団体はこれまで、灯台を航路標識法に基づく正式な灯台として認可するよう第11管区海上保安本部に申請してきたが、その都度「外交上の理由」により留保され(不作為に対する審査請求も却下されている)、やむなく私設灯台として運営してきた経緯がある(1989年には再度申請が行われ、このとき海上保安庁灯台部が当該灯台を「魚釣島漁場灯台」と名づけ、半ば公認した形となった)。なお、「日本青年社」は1996年、尖閣諸島の別の島(北小島)にも、灯台を建設している。
今回の政府の処置は、尖閣諸島の実効支配を確立する重大な一歩であり、歓迎したい。いや、そもそも、「日本青年社」が27年前に灯台を建設して以来、これを正規のものとして認可していなかった事態のほうが異常なのであり(かかる対応は、国際法上、我が国の尖閣諸島に対する主権について我が国政府自身が疑念を持っていた証拠とされてしまう恐れがある)、その意味では、今回の措置は、極めて当然のことと評すべきかもしれない(ちなみに、2002年には、政府が土地所有者から民有地を借り上げている)。何よりも、外交的配慮のために正面から行動できなかった政府に変わって、灯台を私財を投げうって建設、維持、管理してきた「日本青年社」の関係者に、心から敬意を表したい。
今回の措置で、尖閣諸島が改めて我が国領土であることが明確化された。今後、同諸島に不法に上陸する外国人には、出入国管理法等の関係法規を厳正に適用し、違反者は逮捕・起訴をためらうべきではない。
■対話と圧力:実効性ある「圧力」へ向けた国家的決意を
北朝鮮政府、核兵器保有を宣言(2月10日)
報道によると、北朝鮮(自称「朝鮮民主主義人民共和国」)外務省は10日、アメリカ・ブッシュ政権が同国への敵視政策を変えていない等として、次期六カ国協議への参加を拒否するとともに、「我々は自衛のために核兵器を製造した」と核兵器の保有・開発続行を宣言した。北朝鮮はこれまで、公式・非公式に核兵器開発を示唆してきたが、政府の公式見解として核兵器保有を正面から認めたのは今回がはじめてという。
声明について、政界では北朝鮮に反発して与野党を問わず経済制裁の実施を求める声が高まっているが、小泉純一郎首相は、依然として、「北朝鮮の言うことと真意は違う場合があり、よく判断しないといけない。難しい時期だが、平和的解決しかない。交渉の窓口は残し、早く協議に乗ってくるようにしないといけない」(11日、テレビ東京の番組で)と慎重な姿勢を崩していない。また、マスコミ各社の社説は、今回の北朝鮮の宣言は事実関係が明らかではなく、瀬戸際外交の一種とも受け止められるので、脅しに屈することなく六カ国協議への参加を促すべしとの議論を展開している。
しかし、この問題は、果たして六カ国協議だけで対応し得る問題なのであろうか。
確かに、北朝鮮が実際に戦闘行為に使用可能な水準の(戦力として有効な)核兵器を保有しているかどうかは、現時点ではわからない。これまで、核兵器を保有した諸国は、いずれも核実験を以って「核保有宣言」としてきており、北朝鮮政府が一遍の声明を発出したからといって、核実験が実施されない限り、直ちに「核保有国」と看做されることにはならない。
だが、他方で、この問題を巡る日米両政府の反応は、あまりにも慎重であるようにも見える。最近、左傾化が指摘されている韓国が、同胞である北朝鮮(住民)に同情するのは別としても、小泉首相などは、郵政民営化問題や道路公団改革で見せた果断なリーダーシップとは程遠い逡巡を繰り返している。小泉首相は常日頃、北朝鮮問題について「対話と圧力の両面から解決する」と述べているが、一連の首相の発言には、「圧力」をかけようという姿勢は全く感じられない。政治評論家の中には、右態度を「日朝国交正常化による政権浮上を目指す首相の慎重姿勢の表れ」ととるむきもあるが、穿った見方をすれば、首相は既に防衛当局から北朝鮮の核兵器に関する極秘情報を得て、経済制裁の実施が日朝間に戦争状態を作り出す可能性を考慮し、かかる事態を避けるために敢えて慎重になっているとも考えられる。第一、既に北朝鮮は、我が国の大部分を射程内に収める弾道ミサイル「ノドン」と、これに装着する化学兵器弾頭を保有しており、大量破壊兵器で隣国の安全を危うくする能力を持っていることは自明である。
となれば、我々は北朝鮮政府の声明について、もっと真剣に対策を考えねばなるまい。日米同盟の強化、ミサイル防衛体制の早期構築、自衛隊の増強(ミサイル発射基地の爆撃能力の付与等)は当然のことだが、場合によっては、我が国の核兵器保有、あるいは(自主開発までの穴埋めとして)米国製核兵器の配備(政治的効果を狙うのであれば、ロシア製あるいは中国製でも可)の可能性を検討することも必要となってくるかもしれない(指揮権のみ我が国が保持すれば、NPTを脱退せずに済むかもしれない。なお、かつて、ドイツ領内には米軍の戦術核兵器が配備されていたし、イタリア海軍も、米軍が管理する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を装備した巡洋艦を保有していたことがある)(付言すれば、現在の憲法解釈によっても、それが「自衛のための必要最小限度の実力」である限りは、我が国が核兵器を保有することも合憲とされている)。何よりも重要なのは、北朝鮮の真意や意図を見極める必要がある」等といって対策を先送りにせず、「北朝鮮に核兵器を持たせてはならない」「我が国を北朝鮮の核兵器の脅威から守る」という、国家的な決意を持つことである。あるいは、最低限必要なのは、北朝鮮が核兵器を保有した場合の我が国のあり方について、国民ひとりひとりがそれぞれの方針(核の脅威屈服するのか、毅然として主権独立を維持するのか)を持っておくことである。「北朝鮮声明の真偽は不明だ」「これは北朝鮮の離間策、米国との二国間協議に持ちこむ戦術だ」等と評論しつつ、「圧力」を準備せずに「対話」(六カ国協議による外交的解決)だけを続けてさも核による威嚇に抵抗しているかのようなポーズをとるのは、欺瞞である。
かつて、ナチス・ドイツが政権を獲得した際、アドルフ・ヒトラー総統は、まずドイツ再軍備やラインラント進駐、オーストリア併合(ベルサイユ条約では、空軍力・大型水上艦の保有やドイツ領内ライン川左岸地区への軍配備、オーストリア併合は禁止されていた)を行って旧連合国の反応を確かめ、英仏が厭戦機運からドイツとの対決を回避して交渉による外交的決着をはかろうとしていると踏むや、スデーデン地方(チェコ領土)割譲、メーメル地方(リトアニア)割譲を実施。更に、ポーランドに進軍して西半分を占領したが、ここに至っても、ドイツの外交姿勢を「瀬戸際外交」と知りつつも英仏の開戦決意は固まらず、結局フランスは優秀なドイツ軍機械化部隊に領土を席捲され、敗北した。「北朝鮮の声明は瀬戸際外交だ」と知りつつ、北朝鮮の核開発を断固止める決意なくして、ただ六カ国協議による外交的解決を唱えるというのでは、ヒットラーの軍事的脅威に屈したチェンバレン英首相と同じである。六カ国協議がスデーデン分割を議論した四カ国会議の二の舞とならないことを望む。
■イラクの位置を知らずしてイラク情勢を語るの愚
日本地理学会、大学生・高校生の「世界認識調査」結果を発表(2月22日)
報道によると、日本地理学会(斎藤 功会長、滝沢由美子地理教育専門委員長)は22日、大学生・高校生を対象に地理の知識を調査する「世界認識調査」の結果を発表した。それによると、調査の対象となった大学生約3800人(全国の国公私立25大学)、高校生約1000人(新潟県と千葉県の公私立9高校)の内、イラク戦争等でしばしば報道されるイラクの場所を正しく回答できたのは大学生56.6%、高校生54.1%だった。五輪大会が開かれたギリシャの位置も大学生76.5%、高校生59.6%に留まり、大統領選挙で民主化運動が興隆したウクライナを正答できたのはわずかに大学生54.8%、高校生33%のみだった。更に、最も正答率の高かったアメリカについても、大学生の約3%、高校生の約7%が間違えており、北朝鮮の位置を間違えた大学生も約1割いた。中にはイラクの場所としてイギリスやインドを選んだり、アメリカの位置として中国やブラジル、コンゴ民主共和国(旧ザイール)を示したものもあったという。
調査対象となる大学や学生の選択に多少は左右されるものの、大学生の43.5%がイラクの場所を知らなかったことは、我が国におけるイラク情勢に対する関心の薄さを象徴している。イラクへの自衛隊部隊の派遣について、一部識者やマスコミがあれほど反対論を展開したのに、大した国民的反対も生まれないままにすんなりと自衛隊派遣が実現したのも、むべなるかなである。いや、実は、イラク戦争反対や自衛隊のイラク派遣反対を主張していた国民の中にも、実はイラクの場所や首都、主要都市、使用言語、宗教等について知らない者も多かったのではないか。イラクの位置や首都も知らずして、イラク情勢を云々することはできないし、またすべきではあるまい。かように、我々は世界情勢についてかくも無知なのであり、国際問題を議論するときは、先入観にとらわれないよう注意を要する。
■「南セントレア市」「中央アルプス市」の撤回は当然だ
愛知県美浜町・南知多町、合併を問う住民投票で反対多数(2月27日)
報道によると、法定合併協議会が新市名を「南セントレア市」と一旦定めたことで問題となっていた愛知県美浜町・南知多町の合併問題で、27日、合併の是非を問う住民投票と新市名を選ぶアンケートが実施され、即日開票の結果、両町で反対票が過半数を大きく上回り、事実上合併は白紙撤回されることとなった。また、新市名を選ぶアンケートでも、合併前の町名を維持する案(「南知多市」が10296票、「美浜市」が2253票)が支持を集め、合併協議会が提案した「南セントレア市」は3位の1988票に留まった。開票後、斎藤宏一・美浜町長(合併協議会会長)、森下利久・南知多町長(同副会長)は記者会見し、「住民の審判を真摯に受け止め、合併はしない」等と発表している。
「南セントレア市」をはじめとする自治体名称の問題については既に 前月号の本欄 で論じたが、かかる軽薄・陳腐な名称が撤回されたのは住民の良識の勝利であり、歓迎したい。なお、同様に名称問題を抱えていた長野県「中央アルプス」市(駒ヶ根市、飯島町、中川村)でも、住民投票等の結果駒ヶ根市(賛成6094、反対8850、市長・議会に任せる693)と飯島町(賛成2753、反対3211、町長・議会に任せる243)で合併反対票が賛成票を上回った(中川村は1865票対1738票の僅差で賛成が上回る)ため、合併自体が白紙となり、「中央アルプス市」の名称も自動的に解消されているが、こちらもよい傾向と言える。市町村合併は特例法の期限を迎える今年3月以降減少するといわれているが、今後とも、役所や首長の勝手なイメージ戦略で、歴史や地理が蔑ろにされることのないよう、監視していく必要があろう。
製作著作:健論会・菊地 光 無断転載禁止
©KENRONKAI/Hikaru Kikuchi 1998-2005 All Rights Reserved.
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |