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健章時報 1998年11月
■和歌山保険金詐欺事件で林夫婦逮捕
(10月4日)
4日、和歌山市園部に住む元白蟻駆除業者林健二容疑者と、同じくその妻で元保険外交員の真須美容疑者が、和歌山県警に詐欺容疑で逮捕された。これまでの報道によれば、林夫婦は猛毒の砒素を食べ物に混入して友人や知人に食べさせ、障害が起きた時点で予め掛けていた保険金を受け取るという手法で数億円を騙取したとされており、今年7月におきた和歌山毒物カレー事件との関係で注目されている。
だが、今回の一連の砒素騒動に関する加熱した報道を見ていると、それが加熱すればする程私などはむしろ冷めてしまう。というのも、第一に林夫婦の「砒素による保険金詐欺」は話が出来すぎており、却って不気味だからであり、第二に仮に林夫婦が毒物カレー事件の真犯人だとしても、その意図が読めないからである。勿論、園部の自治会長に既に保険を掛けていたのかもしれないが、不特定多数の人々が食べるであろう祭りのカレーに砒素を混入して事件を大きくすれば、却ってそこから自分達の過去の犯罪が明るみに出る可能性が高いのであり、林夫婦にとっては自殺行為である。まさか、園部の住民全員に保険を掛けていた訳ではあるまい…■日韓共同宣言、発表
(10月8日)
7日、韓国(大韓民国)の金大中大統領が国賓として初来日を果たし、小渕恵三首相らと会談。8日、21世紀に向けて日韓両国のより緊密な関係を構築してゆくことなどを定めた「日韓共同宣言」が発表された。この中で日本側は、過去の朝鮮半島植民地支配に対して謝罪する文言を盛り込み、また韓国側からは日本からの経済援助への感謝と、日本側の謝罪を評価し未来志向の両国関係を築くこと、韓国における日本文化の段階的な開放等が盛り込まれた。
これまで未解決のままだった歴史的な問題の解決と日韓関係の親密化を決めた今回の共同宣言は、例えば竹島問題に関する論議を欠いているという不満点を考慮したとしても、大いに評価すべきではないだろうか。なお韓国は、今回の一連の「謝罪」を最後に韓国側から歴史認識の問題を取り上げることはしないとしており、評価できる。韓国側の今後の対応で、両国の間の感情的なしこりが一層緩和されることを期待したい。■新党さきがけ、解党
(10月20日)
20日、日本新党らと共に新党ブームを生んだ「新党さきがけ」が解党した。
とはいえ、同党に対する国民の評価は必ずしも高くは無い。細川連立政権、村山連立政権、そして橋本連立政権と、同党は結党以来ほとんど与党として行動してきたが、その存在意義を強く感じることは遂に無かった。むしろ、菅直人氏の政界登場・民主党結党の踏み台、あるいは連立政権の緩衝材として利用されてしまった観がある。先の参議院選挙でも突然「環境政党」を名乗るなど同党の政策の動揺は大きく、有権者の信頼を得ることは出来なかった。その意味で、同党の解党は、歴史的要請だったといえるのではないだろうか。■国鉄清算事業団、廃止される
(10月22日)
旧日本国有鉄道(国鉄)の長期債務25.5兆円の返還業務に当たってきた特殊法人・国鉄精算事業団が、設立から約11年半たった22日、廃止(解散)された。
とはいえ、同事業団は、国鉄から承継した土地・資産やJRの株式を債務を精力的に売却してきたものの、債務残高は全体で28.3兆円に膨れ上がり、その大半は国庫(つまり政府)に引き継がれる形となった(有利子債務16.0兆円は一般会計に承継、無利子債務8.1は国が免除)。なお、残存した清算業務は、特殊法人・日本鉄道建設公団(鉄建公団)の国鉄清算事業本部が継承し、主として年金等の将来費用3.9兆円を、引き続き不動産やJR株式の売却でまかなうこととなる。
※国鉄の長期債務問題については、 本誌1998年12月号 に記事を掲載する予定です。
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