このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ゴミ収集車同乗記



 平成14年8月の始めの頃『広報我孫子』を見ていたら、クリーンセンターで『体験乗車募集』記
事が目に入った。
四国で空き缶を拾おうと思っている者として見過ごすことはできなかった。
すぐに申し込みのハガキに記入して投函する。数日後 8月20日8時30分までにクリーンセンター
に入るようにと返事が来た。
 8月20日8時、我孫子駅。成田行きは8時20分、これでは遅刻する。急いで改札口を出てタクシー
に乗り
『急いでクリーンセンターに』と。8時28分到着、事務所に入ると担当の方が私がいないので困惑
していた。
『遅れてすいません』
『直ぐに収集車に乗るように‥‥』
と言われ運転手を紹介された。
『出発します』
運転手40代後半、助手10代終わりのアルバイト(学生) 私50代終わりの無職。
クリーンセンターを出発助手が軍手を渡してくれる。ゴミ集積所に到着下車。助手が運転手に
『オーライ、オーライ、オーライ、ストップ』
収集車の後部ゴミ投入口が動き出す。助手がゴミ袋を投げ込む。それを見た私も同じようにゴミ
袋を投げ込む。運転手も下車しゴミ袋を投げ込む。彼らは慣れた手つきでドンドン投げ込む。
私が2つ投げ込む間に彼らは4つも5つも投げ込む。さすがプロである。
『灰、乗車してください』
収集車のドアーを開けてステップに足を掛け、右手を右側上部にあるハンドルに手をかけて
ヨイショと助手席に乗り込む。
次のごみ収集所に向かう。スタートから30分しか過ぎていないのに息が苦しくなる。
それから30分収集車が満杯になり、クリーンセンターに戻る。
門を入り計量計の位置に停車。運転手がを伸ばしてカードを取る。それを見ながら
『連休明けだから量が多いな』
『連休明けは何時も多いのですか』と助手
『何時もそうだ。連休明けはネ』
ゴミプール場に入り、バックしてプール手前でストップ。ダンプカーみたいに荷台がせり上がり
ゴミが流れ出す。プールの中を見ると、深さ10メートルもあるかと思うほど、足がすくむ。
私は高所恐怖症。
奥行き7〜8メートル、横幅10メートル、深さ10メートルほどのプール。上部のクレーン、
チェーンの先にバスケットが付いていて、収集車から落下したゴミを奥のほうに移動させている
ゴミの下は水がたまっている。いやな臭いもする。ゴミ落下完了。再度乗車。

 ゴミ袋の中身と言うと『普通の家庭ごみ』『木材}『剪定後の小枝』等であり縛ってあれば良い
のだが,だらしない物が多い。袋が破れ中身の散乱していることもある。
縛っていない木材は、拾い集めるのに手間と時間が掛かる。中にはやたらに重いものがある。
片手で持ち上がらない。両手で「よっこらしょ」と持ち上げ車まで運ぶ。12袋もあった。
『これは何が入っているのですか』『それは砂、その中には犬や猫の糞尿が一緒に入っている』
室内で飼っているペットのトイレ。これをビニール袋に入れて、家庭ごみと一緒に出す人もいる
のだ。スイカを丸々1個出す人もいる。台所のゴミを水切りしないで出す人もいる。
これらのゴミが収集車の内部に入る前に回転盤に押し潰されて中身が出てしまう。犬猫の糞尿と
それらの水分が混じり合った汚水が 投入口の下部に溜まってくる。これで済めば良いのだが‥‥
ビニールの口がしっかりと結んである(良いことなのだが)と回転盤に押し潰されて破裂するもの
がたまにある。そうなると先ほどの犬猫の糞尿の混じった水が勢いよく飛び出す。破裂音を聞いて
直ぐに反応出来ればよいのだが。
ゴミに木を取られていると勢いよく飛んでくる汚水を全身に浴びることになる。
私は3度も浴びました。
 収集車の乗り降り,ゴミの投入。腕に力が入らない,腰が痛い,息が苦しい。
会社を退職してから2年と8ヶ月、仕事をしていないからか、我ながら情けない。
収集車がクリーンセンターに戻ること3回
『午前中の作業は終わり』
ゴミプールを出て運転手が言った。11時30分を少し過ぎている。助かったと思ってしまった。
なんだか本当に情けない。面目ない。
 助手の方が洗面所へ案内してくれる。運転手の方は収集車の洗車を始めた。
洗面所で作業着を脱ぎ、頭と顔を洗い身体を拭う。表へ出て風通しの良い木陰で暫く身体を冷やし
タバコを出して火を点ける。
『‥‥うーん』
頭がくらくらする。15分位過ぎたか作業衣を着て事務所の中に入る。
『ご苦労様でした。どうでした?』
『降参です。もう駄目です』私の答え。担当者の話によると
『以前に学校の先生が来ました。学生たちに経験談をするそうです』
『父親と子供が来ました。父親は子供の教育の為にと言っていました』
世の中には未だ『人』入るのだと私は思った。何か心の中から温かいものがふつふつと沸いてきた
ような気がした。
『昼食が用意してあります』
『有り難うございます』

2002.08.23 026-0001 小澤徹三郎

分別棟見学記2に続く
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