このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
心は形を求め 形は心を勧める
皇位の標識として歴代の天皇が受け継いできた三つの宝物。すなわち(やたのかがみ)
(あまのむらくものつるぎ)(やさかにのまがたま)の三つ、つまり三種の神器がある。
『遍路』『へんろ』にも三つの物が必要である。(金剛杖)(白装束)(菅笠)である。
他に細かい物もあるが、この三つが『遍路』『へんろ』の基本の形である。
霊場をチェックポイントに見立て、走り抜ける人。脇目をも振らず地面だけを見つめ、
歩き続ける人。見たいところに足を伸ばし、計画を忘れる道草好きの人。自転車頼りの
人。バイクの風を楽しむ人。自家用車専用。タクシー、レンタカー活用術の人。バス、
電車、足を織り成し、旅の変化を求める人。指定場所を確保し総てあなた任せ、バス任せ
の人。どのスタイルも、ご自身お気の召すままである。
さて昔からなる旅支度だが、三形をピシッと極めている人。菅笠の替わりに、頭に登山
帽を乗っけた人。いつもの服装に、白装束の上着だけを羽織った人。杖を突くほど老い耄
れては居らんと、杖を持たない元気な定年間際の人。ストックを2本(お杖ではありませ
んぞ)地面を蹴って素っ飛び駕籠の若いお兄さん。どのスタイルも貴方自身、お気の召
すままである。
寒かったので手水所で身を清めた振りをした。暑いので顔を洗った。二礼二拍をした。
読経はしなかった。御参りに必要といわれた蝋燭お線香は、重いので持たなかった。
納経帳だけは、歩いた証拠として押印をいただいた。指導書に基づいて順序を踏まねば気
が済まなかった。物事に拘らなかった。いろいろであるが……
参拝についても貴方自身、お気の召すままである。
遍路とへんろ(四国の全ての寺社、風景、住まう人たち、へんろみち、そこを歩む貴方
自身)は夏の夜空に譬えれば天の川である。広がり狭まり曲がりうねって、今も成長を続
けている。同じように今日の『遍路』『へんろ』も、曲がりうねって悠久のときを生きて
きた流れのなかにある。
こころの『遍路』『へんろ』は営々と、今も日本人の心のなかをうねり、成長を続けている。
そして心の闇に光芒を放ち、誰もが関与しながら、その行き着く先は知らない。
心の闇に癒しを求め、自分を探し、亡き人の鎮魂を祈り………ひとつの想いを抱き、うね
りの中に求め『大師のみち』を辿るなら……「金剛杖、白装束、菅笠」三点の着用を、お勧
めする。
しかし三点を着用しても、簡単に中身の自分を替えられる筈もない。
これも道理である、しかし………
人間の悩み哀しみ失望の涙は、人間の鎖のなかに産まれたもの。ならば鎖のなかで癒し、
鎖のなかに自分を探し、鎖のなかに鎮魂を見出すのが道理である。
あなたが「四国行脚」を思い立ったとき、こころは形を求めたのである。
「金剛杖、白装束、菅笠」は「四国行脚」の手形である。鎖のなかの「生き方の手引書」
でもある。形はこころを豊かにし、そのこころはより確かな形を求め、更なるこころの発
展を願う。繰り返す輪廻が、あなたの求めるものへと誘うのである。
おへんろさん誕生に続く
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