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中国北京訪問記

 

TAKA  2005年 1月12日

 

 

 私は昨年上海へ3泊4日で旅行へ行ってきましたが、(拙文「 上海トランスラピットと中国の高速鉄道について 」参照) 今年も正月の旅行先に中国を選択し北京へ行ってきました。今回10年ぶりの北京訪問(10年前は北京・上海を4泊5日で旅行)でしたが、北京の都市・交通共に大きな変化が見られました。その変化等を含め旅行記としてレポートしたいと思います。

※尚今回の旅行も鉄道に興味の無い友人との旅行で鉄道&公共交通機関観察だけに精力を費やせなかったので、駆け足的な観察部分も有ります。又私は中国語が多少読めても話せないので深くまで入り込めない所もありました。その点等不十分な点は御了承下さい。
 又今回の訪問時、見学コース等の相談等に「 中国鉄道研究 」様の掲示板等でご協力を頂いております。又写真・資料等でも優れた物が多々有りますので今回は前回も参考にしました「 IHCC Web Library 」様HPと一緒に、「 中国鉄道研究 」様のHPも、このレポートの参考のサイトとさせて頂きました。

『今回の訪問場所(当レポート関係部分だけ抜粋)』  旅行期間は12/30〜1/3の北京4泊5日
・12/31  天津訪問 (北京〜天津間で中国国鉄使用)
・1/2午前 中国鉄道博物館訪問
・1/3午前 北京駅周辺で写真撮影&地下鉄八通線試乗
☆公共交通機関利用区間
 ・中国国鉄 北京〜天津間 ・北京地下鉄 (1号線)復興門〜四恵東間(2号線)西直門〜建国門間(八通線)四恵〜通州北苑間

☆中国鉄道地図
 

☆北京市全域地図
 

※上記地図は「 中国まるごと百科事典(中国地図) 」様からダウンロードしたものを転載しています。メールで「ダウンロードしていただいた地図は、すべて自由に利用していただけます」とのお言葉を頂いておりますが、あくまで著作権等諸権利は左記のサイト様が保有している物である事を明記致します。

[1]中国国鉄 北京〜天津間 乗車記

☆北京〜天津間 概要 ・営業距離137km ・所要時間約1時間14分〜1時間27分 ・運行本数10往復(北京〜天津間運転のみ)
☆利用列車 ・北京8:35発〜天津9:54着 T531特快列車軟座(グリーン)席
        ・天津16:40発〜北京17:59着 T552特快列車硬座(普通)席
☆北京〜天津間運行列車一覧 「  北京〜天津間列車時刻表」 (※このサイトは中国語です。)

  先ず今回の旅行で「北京近郊で手軽な所で列車に乗って旅行したい」と思っておりました。其処で旅行の行程を同行の友人と相談しながら、前述の「中国鉄道研究」様の掲示板で相談していました。その結果「天津日帰り旅行を列車で行く」と言うプランを教えていただき、城際特快等の高速列車が頻発している天津へ列車で日帰り旅行する事にしました。
  又鉄道旅行する所が中国なので、日本の様に「単純に駅に行って切符を買って列車に飛び乗る」と言う訳には行かないと思い、先ずは北京に付いたその日に北京駅へ切符を買いに行く事にしました。
  切符購入の為にホテル最寄の王府井から地下鉄で北京駅へ向かいました。(北京市内の交通については後述します)北京駅は流石に中国の首都北京の中央駅だけ有り規模も大きく(北京にはもう一つ大規模な北京西駅が有ります)、建物も「60年代北京の十大建築(人民大会堂等)」の一つに数えられているだけ有り立派です。駅に着いたら早速切符の発売所に向かいます。
  券売所は駅舎1階の大きなホールに有り、大小の電光掲示板や時刻表や20近い券売窓口が有ります。人出は予想していたほどではなく、早速数人が並んでいた列に並び翌日の天津行きの列車の切符を購入します。天津行きの切符は数事の会話の後購入できましたが北京→天津の切符しか購入できず「切符は発車列車の分しか発売して居ない」との事なので帰りの切符は天津で調達する事になりました。

  (1)北京駅全景                          (2)北京駅切符発売所
  

1.北京8:35発→天津9:54着 T531列車乗車記

  翌日朝食後タクシーで北京駅に向かい8時頃に到着しました。北京駅は向かって中央が乗車用の2階コンコースへの出入口、左が切符の発売所、右が降車出口になっています。早速正面入口で荷物をX線検査に通し駅構内に入ります。正面は吹抜になっていますが改札も何もありません。人の流れに沿って橋上コンコースに上ると、コンコース内には売店とホームに下りる階段が有ります。階段の所には電光掲示板が有り案内をしていますが、階段の入り口にはドアと改札があり、此処で列車毎の改札を行っています。

  (3)北京駅1階広場                        (4)北京駅橋上コンコース
  

  ホームに下りて色々観察したかったので、早速改札を済ましホームに下ります。ホームにはすでに天津行きの車両が入線しています。運行車両は東北新幹線MAXそっくりの白と赤のカラーの2階建てダブルデッカー車"神州号"で、25DT型客車10両+両端MZJ2型DLの動力集中型DMUです。機関車の脇には最高速度・配備機関区等がやはり書いてあり、機関車は最高速度は180km/hで北京鉄道局天津機関区配備です。実質的には固定編成と言うより「客車をDLでサンドイッチしてプッシュプルする」型式ですが(帰り天津機関区で神州号用のMZJ2型DL2両だけが向かい合わせで休んでいました)運用的には北京〜天津間で限定運用されているようです。又DT25型にも車体側面に最高速度180kmの表記が入っているので、この編成は最高速度180kmで運転可能と言う事になります。

  (5)神州号MZJ2型機関車                     (6)神州号DT25型客車と乗車状況
  

  ホームで発車間際までウロウロしながら見学した後(隣接ホーム等には上海からの直達特快等が留まっていました)発車間際に車内に乗り込みます。今回の北京→天津間では40元の軟座車(グリーン車に近い)を取りました。料金自体は座席グレード・列車時間等で違いますが、運賃込40元と言う料金は日本円に直すと約500円です。(1元≒12円強)日中間の物価差が有るので何ともいえませんが、日本人の感覚からすると極めて安い金額です。
  発車時間が近づいたので早速車内に入ります。車両に入る時には中国流に各車両のドア毎に女性服務員(車掌に近い?)が立って出迎えてくれます。編成長は10両ですが内訳は軟座車(グリーン車)1両と硬座車(普通車)9両の内訳です。軟座車は2階建で上下階共欧州式の向かい合わせテーブル付き2+2の座席です。(硬座車3+2です)2階建て車両でも標準軌間の為日本の2階建て車両より余裕の有る感じです。

  (7)北京発天津行 特快T531列車 軟座車1階車内
 

  8:34に隣のホームに平壌からの国際列車が定時に到着後、8:35に定時ジャストにT531列車も発車します。軟座車は乗車率的には60%強です。(中国の場合2階建ての下から座席を売り出すので、下に空席の有る場合上の方はもっと空いている)硬座車はホームを歩いていた時の見た感じでは空席も殆ど無く80%〜90%の乗車率は有った感じです。この列車の設備は昔の客車より格段に優れているとの事なので(何回か中国鉄道利用経験有りの同行の友人談)10元の差が有るならば硬座席で十分と言う事なのでしょう。利用客の客層も日本で言う完全なビジネス客と言う感じでもなく、観光客であると言う訳でもなくどうも目的が分からない客層が多い感じでした。

  北京駅を発車すると天津方面行きの列車は東→南→西→豊台駅→南→南東と途中ぐるりと北京の南郊地域を迂回しながら通過していきます。(清朝時代に北京〜天津間の鉄道建設時に北京駅の場所設置をめぐって紆余曲折した歴史の名残。)豊台駅を通過する位までは高層住宅が林立する北京の住宅街で何本も南北の大通りが立体交差で通っていて近代的な都市景観の中、警手の居る踏切で人と車が鈴なりになって待っているちょっと素朴な風景が展開されています。この区間は西方・南方と結ぶ路線が北京駅に入る経路である重要路線の為、京滬線方面から北京に着く各列車(主に夜行列車)と引っ切り無しにすれ違います。
  豊台駅を過ぎると各方面と結ぶ短絡線・連絡線等が幾つか合流・分岐した後、天津へ向かい南東に京滬線を一気に進みます。豊台駅を過ぎ各方面の線が合流・分岐した後、京滬線は天津北まで複線+単線の3線で進みます。複線の左側にもう1本単線がくっ付いている形態です。又中間の各駅は大小有りますが単線側に作られておりヤードを併設してます。私の席は単線に面した側に有ったのでずっと状況を見て居ましたが、途中豊台〜天津北間で単線側で数本の貨物列車と1本のローカル普通列車とすれ違いました。(複線の通過線(?)側でも数本の旅客列車とすれ違いました)流石中国でも大都市である北京と天津を結ぶ路線です。(両方とも直轄市。あと直轄市は上海と重慶)137kmと言う短距離ではある物の鉄道の運行密度もかなり多いです。
  又此方の列車は120km〜130km程度の速度で淡々と進んでいきます。(T531列車の表定速度は約100km/h)120〜130kmと言うスピードは日本国内の在来線でも体感できる速度ですが、標準軌で有るからかも知れませんが日本の在来線の特急よりかも騒音・振動は静かでした。少なくともかなり高いレベルで車両や軌道の整備も行われていると推察できます。
  
  北京発車1時間ちょっとで、天津北駅に到着します。天津北駅自体は天津の外れに有る駅ですので駅自体もそんなに立派な感じではありませんでしたが(駅の周辺も工業地帯という感じ)1両当たり7〜8名の人が下車していきました。
  天津北駅からは終点天津駅はすぐそばです。天津駅は市街地になるべく近づけようと設置されたようで(天津駅から海河を解放橋を渡った先が旧市街)急カーブを低速で左右に曲がり進んで行きます。左側に天津機関区が見えると天津駅はすぐ其処です。天津駅には定時で到着です。
  天津駅は北京駅ほどでは有りませんが流石に直轄市の表玄関だけ有りかなりの規模です。天津駅に着くと降車客は地下道に入っていきます。地下道を通り地上の駅舎のコンコースを経由して駅の外に出れますが、降車客の出口は駅正面ではなく裏側になります。乗車客と降車客が分離されており、中々機能的であるとは感じました。

2.天津16:40発→北京17:59着 T552列車乗車記
  
  天津駅到着後駅正面に回り、帰りの切符を購入します。流石大都市天津の表玄関です。天津駅内も駅前もかなりの人出が出ています。その人出を掻き分け券売所に辿り着き帰りの北京行きの列車を購入します。本当はもう1本早い15:58発のT550列車で北京に行きたいのでしたが、発売当時すでに満席だった様で諦めてもう1本後の16:40発のT552列車の硬座席(往きの軟座席と比較の意味を含めて)の切符を入手しました。天津駅券売所には天津駅発上海行の直達特快Z41列車の宣伝の横断幕が大きく掲げられていました。Z直快はこの前の"第5次大提速"で登場した列車種別で、かなりZ直快には力を入れているみたいです。
   中国:鉄道高速化奏効で旅客輸送量10億人突破(中国情報局)   切符購入後、天津市内の観光をし(周恩来記念館・天津タワー等)その後狗不理包子店の本店で食事をした後市街地を散策し、16時前に天津駅に到着しました。

  (8)天津駅全景                         (9)天津駅発券所状況
  

  天津駅も正面がの乗車客用の入り口になっており、荷物検査を行い駅コンコースに入ります。駅コンコース自体はがらんとしており、乗車客はみんな2階の橋上コンコースに上がります。私も後を付いて行くと、橋上コンコースには各ホーム毎の大きな待合所と数多くの売店(主に弁当・飲み物・軽食・本等)が有ります。改札は待合所からホームに下りる階段の手前にあり、待合所では電光掲示板で列車が指定されています。
  天津駅の橋上コンコース・待合室にはかなりの人出が出ています。16時という時間を考えるとこれから夜行列車に乗る人たちがもう既に駅に集まっているのかもしれません。(16時〜17時台は天津駅から東三省の牡丹江・ハルピン・チチハル・チャムス行の長距離列車が始発する時間帯)。又コンコースの突端の窓からは天津機関区が見え、神州号機関車や東風4D型機関車等が留まっているのが見えます。

  (10)天津駅待合室状況                      (11)天津機関区状況
    

  私もコンコース見学後時間が有ったので、軽食とジュースを買い待合室で待っていました。そうすると発車時間の15分位前になり「人が動き出したかな?」と思い並んで動き出したら3人位の駅員が来て改札を始めました。(北京より天津のほうがしっかり改札して挟みも入れていた)改札を終わらせホームに下りたらドアでは又服務員がまってくれています。発車まで時間が有ったのでホームを1往復して写真等を撮ったり、煙草等を買っていたら出発時間が近づいたので編成の途中で列車に乗車します。(乗ったのは真ん中、席は一番後ろ)

  (12)天津駅での神州号(最前部)                  (13)天津発北京行 特快T552列車 硬座車1階車内   
  
  今回乗車した硬座席は新幹線の普通席と同じ3+2の配列です。但し向かい合わせのクロスシートで向かい合わせの椅子の間には大きなテ−ブルが有ります。流石に"軟座""硬座"の名前通り帰りに座った"硬座"のほうが少し席が硬い感じがしました。(多分"軟座""硬座"の差は、昔の「椅子にクッションが有るか無いか」で等級を分けていたと言う事でしょうが)乗車率は前の列車のチケットが売切れになっていただけ有り軟座・硬座共ほぼ満席です。比較的近距離の列車の割には大きな荷物を持つ客が多かったので、客層を含めちょっと「何処へ行くどんな人なのだろう?」と言う予測は付きにくかったでした。
  今回の列車は天津〜北京間ノンストップです。天津を発車して10分ぐらい経ち郊外に出た時点で行きと同じ120〜130km/hまで加速して順調に走行します。乗客も乗った後終点まで止まらないので殆どの乗客がそのまま座って喋ったりしています。軟座席より硬座席のほうが賑やかな感じです。(悪く言うと品が無い?)
  天津を発車して1時間強で北京市内に入ります。北京市内は夕方のラッシュが始まる時間帯で立体交差する道路はかなりの車の交通量が有ります。その市街地を通過しながら北京駅に近づき北側へ向かいだした当たりから(北京南〜北京間・北京駅まで3km位の所)急に減速を始め徐行運転を始めます。多分頭端式の北京駅で北京駅の手前では機関区・客車区との出入庫車両と京滬線等の出発・到着車両が競合して待たされているのでしょう。北京西駅が出来て京九線・京広線の列車が移っても、北京駅の根本的な構造的問題が解消されない限りこの様な問題が発生するのでしょう。(2004年10月時刻表内の大駅時刻表では北京駅発着列車80本:北京西駅発着列車73本)
  その様な入線待ちをしても北京駅にはほぼ定刻で到着です。多分かなりの余裕時分を織り込んでいるのでしょう。北京駅も天津駅と同じように降車客は地下通路(乗車客は橋上コンコース)と言う様に通路が乗降分離になっています。日本でもターミナルでホームで乗降分離と言う所は有りますが、中国のような例は無く発着本数が少ないからこそ通路で乗降分離が出来るのでしょうが、中々機能的な感じです。

[2]北京 市内交通 乗車記
  
  今回の北京旅行の中は現地は自由行動のツアーだったので北京市内での自分で交通手段を選択する必要に迫られ、天津・八達嶺・盧溝橋と言う郊外地域には鉄道・専用車・タクシー等を利用しましたが、北京市内観光と夜の食事の時には市内交通として地下鉄・タクシーを利用しました。此処ではバスには乗りませんでしたが、地下鉄を中心に自分で触れた限りの北京市内の交通について述べたいと思います。
 
 ☆北京での利用交通機関
  ・タクシー(初乗り10元・それ以降1km当たり1.6元。運賃は車の種類で初乗り以降分が多少異なる)
   →日本人の物価感覚では安いので近距離を含め20回近く利用
  ・地下鉄(1号線 2号線 13号線初乗り3元・八通線初乗り2元・1号線 2号線→13号線乗換切符5元・八通線乗換切符は4元)
   (乗車区間)12/30王府井→建国門→北京駅 1/2王府井→復興門→西直門・西直門→前門・1/3王府井→建国門→通州北苑→王府井
   "交通機関路線図"  「北京地下鉄地図(現在図)」    「北京地下鉄将来予想図」

☆北京市内の主な交通機関(バス・地下鉄等)
  (14)地下鉄1号線車両(新型北京型・建国門)           (15)地下鉄2号線車両(旧型北京型・前門)
  

 (16) 地下鉄八通線車両(最新型・通州北苑)            (17) 地下鉄八通線車両(一番古い北京型・四恵)
  

  (18) 旧型連接バス(10年前は此れが主役)             (19) 現在主流の連接バス
  

(20) 最新型連接バス(数は少ない 低床バス)            (21) 天然ガスバス(現在の北京の主流バス)
  

(22) タクシーとトロリーバス(バッテリーで走行中)            (23) タクシーと"自転車タクシー"(エコロジー交通機関?)
  

 1.北京地下鉄1号線・2号線乗車記

  北京地下鉄の1号線・2号線は昔からある路線で、1号線→長安街(東西のメインストリート)・2号線→2環路(環状線)の下を通る路線で、特に1号線は王府井・東単・西単等の繁華街や国際貿易センター等のビジネス街や天安門広場等の観光地を通っており、正しく"北京の御堂筋線"と言える路線です。2号線沿線も前門等の繁華街や北京駅等の要所を網羅しており、非常に便利な路線です。
  10年前の北京旅行の時にも"せめて1度は北京の地下鉄に乗らないと"と思い利用しましたが、今回北京観光に当たり繁華街等を通る地下鉄1号線・2号線は北京観光に非常に便利な存在で、積極的に利用いたしました。この乗車記はそのときの乗車記です。乗車区間等に関しましては前述の説明を御覧下さい。
  
  『1号線王府井→建国門・2号線建国門→北京駅間』

  この区間は初日に北京駅へ天津行きの切符を買いに行くのに利用しました。私の泊まったホテルが地下鉄王府井駅前にあったので、北京駅まで遠くない距離なのですが歩くには寒いですし便利なので利用しました。
  地下鉄の王府井駅は王府井の交差点の所に有ります。長安街を渡る地下通路から地下鉄に入れるようになっています。地下通路からかなり長いエスカレーターを降りると其処がコンコースです。何故かエスカレーターの降りた所に小屋があり女性がずっと「立ち番」をしています。コンコースは地下4階・ホームは地下5階位の深さに有り、「核シェルター転用可能か?」と思わせる深さです。(噂は聞いた事有ります)
  コンコースに降りて券売所で切符を買います。北京は未だに「有人券売所・有人改札・粗悪な切符」の3拍子が揃っています。
  ホームに下りて列車を待ちますが、地下鉄は"右側通行"です。日本人の場合日本と逆なのでいきなり見ると驚きます。暫く待つと列車が着ます。比較的新型の北京型で6両固定編成です。(此れより旧型の北京型は2両固定編成。2号線は此れを3編成連結)此れに乗り2号線乗換駅の建国門に向かいます。車内はそれなりに混んでいて日本流に言えば100%位の混雑率?です。
  
  (24) 北京地下鉄王府井駅コンコース                  (25)北京地下鉄1号線車内(16時頃 建国門で)
  

  建国門で1号線から2号線に乗換北京駅を目指します。建国門と復興門で1号線と2号線は乗り換えられますが、乗換には一方通行の比較的長い通路を歩きます。(但し2号線→1号線の乗換は階段を下りるだけの乗換)建国門からの2号線は1号線乗車のより1モデル前の北京型で座席がビニールシートの形です。(此れより新しい北京型は座席がプラスチック)車内はかなり混みあっていますが私たちの目的地の北京駅でかなりの乗客が降りてしまいます。やはり北京駅は目的地として大きな物が有るようです。
  
  『1号線王府井→復興門・2号線復興門→西直門・2号線西直門→前門』

  この区間は1/2に西直門に有る料理店に食事に行くのと、その後前門に買い物に行くのに利用しました。区間的には1号線の西側中心区間と2号線環状区間の西半分になります。夕方6時ごろ王府井で買い物を終えてから西直門を目指して地下鉄に乗ります。曜日・時間は異なりますが、王府井から東へ向けて乗った前回より、西へ向かった今回のほうが空いています。王府井より東は"天安門東・天安門西"と言う中心街だが業務・商業施設の少ない地域を通るからかもしれません。実際西の繁華街西単からはかなりの人が乗車してきます。西単の隣が復興門ですが、此処で3分の1位の乗客が乗り換えます。
  復興門から西直門まで2号線内回りに乗りますが、この区間は120%位の混雑率です。復興門は乗換駅だけ有り乗降も激しいですが、東京のように"整列乗車"などと言う物はありません。それこそ"ドアの前で乗車客と降車客がぶつかり合う"状況です。地下鉄の駅には"文明乗車"をアピールするポスターがありましたがとても"文明乗車"とはいえない状況です。この旅行で乗った地下鉄の中で一番混んでいました。その乗客の殆どは西直門で降りてしまい、そのまま地上にある13号線の駅舎に吸い込まれていきます。「北京の場合南側より北側が住宅地として発達している」と今回旅行中に1日一緒だったガイドが言っていましたが正しくその通りかもしれません。
 
 (26) 北京地下鉄西直門駅ホーム                    (27)北京地下鉄13号線西直門駅
  
 
  西直門で食事後20時半頃西直門から2号線外回りに前門まで乗車します。未だ東京は混んでいる時間ですが北京の地下鉄の場合かなり空いてます。西直門の場合郊外への乗換客主体の駅なので都心からの内回り列車が付くとそれなりにホームに人が降りますがそれでもかなり空いています。数分まって列車が来て乗ります。車内には座席が埋まる程度の乗客しがいませんが1号線・2号線共数分待つと列車が来るかなりの運転頻度です。(駅ホームに時刻表が無かったので正確な運転間隔は分かりません)前門で降りて買い物に行きましたが、前門の駅もそんなに混雑しておらず、前門の商店街自体も昼間ほどの人通りではありませんでした。やはり北京の夜は早いのかもしれません。

  (28)地下鉄2号線車内(21時頃 前門で)
 

 2.北京地下鉄八通線乗車記(四恵〜通州北苑〜四恵東)

  上記のように4日間観光した後、最終日北京発午後便で時間が有ったので、友人と別行動して北京市内鉄道観察に出る事にしました。北京の日の出時間が7:30頃でホテル出発が11:30だったので実質4時間しか時間も無く選択肢は限られており、「地上の13号線を見に行こうかor八通線を見に行こうかor北京駅近くで列車の写真を取ろうか」と迷った末、10:00までは北京駅付近で写真を取り、その後建国門駅まで歩き1号線に乗り四恵で八通線に乗換て行ける所まで北京の近郊線に乗ってみようということにしました。
  先ずホテルを出て1号線で王府井→建国門と移動して建国門から二環路を南に下り、東便門の陸橋周辺から北京駅に出入りする列車の写真を取りました。(そのときの写真は後で"付録"で紹介します)。10:00前には目的の写真を取り終え建国門まで再び歩きます。そうしたら道に迷い地下鉄建国門駅に着いたのは10:15頃になってしまいました。ホテル出発の時間を考え「八通線の行ける所まで言って途中で帰ってこよう」と思い、取りあえず4元の八通線乗換切符を買い1号線四恵方面に飛び乗りました。
  1号線で建国門から約15分で八通線の乗換駅四恵に着きます。路線図を見ると何故か1号線と八通線は四恵〜四恵東間で1駅間平行しています。今回は八通線に始発駅から乗る為に四恵で降り乗り換える事にしました。四恵で1号線を降りると島式ホームになっていて、八通線は隣のホームになっていますので早速コンコースに登り、一度1号線の集札口を出て改めて隣の八通線の改札を通り八通線のホームへ降ります。ホームに降りると待っていたのは2両固定編成+先頭車1両の初期型の北京型車両(写真17)です。「新規路線なのに車両は中古の玉突き配転か・・・」と思いつつ車両に乗車し発車を待ちます。
  四恵を発車すると左に1号線が並走しながら四恵東に到着します。その後四恵東を発車後は京通高速公路(北京市街と北京市通州区と河北省の境までの高速道路)の中央分離帯を走ります。沿線は低・中・高層各種の住宅が立ち並ぶ住宅地域で北京のベットタウンという状況です。車内も3両編成の最後尾車両ですが、平日の昼の郊外に向かう方向と言う事もあり座席がサラリと埋まる程度の乗客です。

  (29)地下鉄八通線東行車内(10時15分ごろ 四恵東で)
 

  列車は北京市でも比較的都心の朝陽区から郊外の通州区に入ります。ベットタウンも通州区に入ると段々町並みが新しくなり新しく出来たニュータウンであることは町並みを見ると分かります。しかしニュータウンと言えども幹線道路だけ整備された感じで街全体は日本ほど整然とした街並みではなく「乱開発進行中」と言う感じです。乗客も段々減る一方です。地下鉄列車は60km/h位の速度で粛々と進みますが、同じように時間も進み折り返しのタイムリミットが迫ってきました。なので丁度真ん中位の通州北苑で折り返す事にして一度下車して、駅の周りを一周して見ました。駅の周りは「只今開発中」で道路の真ん中に高架駅舎が有りますが、駅前広場等も整備されていません。周囲には高層住宅等も立ち並び街自体の「乱開発的急速発展」の状況はヒシヒシと感じられました。
 
 (30)地下鉄八通線通州北苑駅周辺状況                (31)地下鉄八通線車内(11時前 通州北苑で)
  

  又通州北苑駅に戻り1号線乗換切符を4元で買います。ホームに上がり数分待つと西行きの列車が来ました。車両は最新型の北京型4両編成です。車内も北京に向かう方向の車内だけあり、4両編成でもかなりの立ち客が有ります。又通州北苑の隣の八里橋の駅から又京通高速公路の中央分離帯に戻ります。並走している車両を見ると高速を北京方向に走る路線バス(ちょっと旧型)が結構見えます。どうもバスが北京市街方面に直接乗り入れている八通線のライバルですがバスの方が地下鉄を追い越していきます。又今回は四恵東駅で降りて1号線始発列車に乗り換えます。私も降りたら機を置かずして乗客は殆ど降りてしまいます。みんな目的は1号線乗換のようで階段・コンコースはかなり混雑しています。四恵東で八通線列車を受けて発車した1号線列車もかなりの混雑でした。私と一緒と言うのも語弊が有りますが、八通線沿線→北京市街地へ移動する人たちが、八通線利用客の大部分みたいです。

[3]北京鉄道博物館 訪問記

  今回海外旅行の必需品「地球の歩き方 北京」に「鉄道博物館がある」と載っており、モデル観光コースの中でも紹介されていたので、今回北京市内観光の一環に1/2に訪問してみました。場所自体は北京の北東、北京空港への高速道路の入口の近くにありかなり辺鄙な場所です。バスも走っているとの事でしたがバスで行く自信が無く今回はタクシーで行きました。(それでも運転手が道を聞きながらでした)
  博物館は鉄道の踏切と五環路の陸橋を超えた先に有り、手前には看板等は出ていませんがいきなり走行試験線が出てきて「鉄道の研究所かな?」と思うような所に有ります。試験線の脇にある立派な門を入ると左側に体育館のような建物(車両展示館)・正面に資料館らしき物(資料館は未だ未開業らしい?行った時には開いていなかった)・右側には留置線があり今後展示予定(?)の車両が留置していました。
  今回は資料館は未開業みたいなので、左側の車両の展示館のみの見学にしました。入口で20元の入場料を払って入ります。入場時に簡単なパンフレットをくれましたが中国語でさっぱり分かりません。中に入ると広い体育館のような建物の中に線路が引いてあり展示車両が置いて有ります。手前側には線路があっても置いていない所もあったので未だ車両の搬入は終わっていない感じです。展示車両は蒸気機関車・ディーゼル機関車・電気機関車・由緒有る客車・貨車がバランスよくあるという感じです。
  後は話より展示車両の写真を見ていただいた方が分かりやすいと思います。私が取ってきた写真もごく一部で車両説明の掲示板も中国語で良く分からなかったものも有りますが、写真の題名になるべく詳しい説明を書きたいと思います。

  (32)鉄道博物館全景                        (33)SL毛沢東号と朱徳号(毛沢東号は日本製"解放1型304号")
  

  (34)SL"解放6型3022号"(日本製)                 (35)SL"12型890号"(日本製)
  
 
  (36)東風1型ディーゼル機関車(中国製 今も地方では現役)     (37)SS1型電気機関車(中国製 中国初の国産電気機関車)
  

  (38)周恩来元総理専用の貴賓客車(日本製 但し型式等は不明)    (39)前進型0004号SL(中国製)
  

  ※国籍等の表示は博物館の掲示板の物を書いています。但し"日本製"の中には旧南満州鉄道製の物も含まれていると考えます。

  博物館を見て感じたのは、「展示自体はまあまあだが、日本製のSL・客車の展示が多い」と言う点です。機関車で言えば東風1型・東風4型・北京型等の未だ現役の物も有りますが、比較的広い範囲をカバーしていると言えます。しかしSL・客車に関して言えば中国製が当然多い物の日本製が同じ位の台数ありました。(米・英・仏製等も各1〜2台有りました)日本製の場合、旧南満州鉄道の存在や日中戦争中に日本が持ち込んだ物等が有る特殊な事情がありますが、それでも多いと言えます。
  特に驚きは(33)写真の"毛沢東号"の存在と(38)写真の周総理使用の客車が共に日本製である点です。中国で機関車に共産党の英雄の名前を付ける例は存在します。(今でも北京に東風4D型"毛沢東号"・上海に東風11型"周恩来号"ハルピンにSS4型EL"朱徳号"が存在します)現在では"毛沢東号""朱徳号"は貨物用機関車なので必ずしも"優秀機関車"とは言えませんが、毛沢東号は北京西駅開業記念列車を牽引する等のやはり特別な意味を持ちます。その様な特別機関車が"日本製"であると言うのは有る意味非常に驚きです。毛沢東号にしても、周総理専用客車にしても多分活躍したのは1950年代〜60年代前半の中国に未だ鉄道に関する国産技術が根付いていない時代であると思います。しかしその様な時代で有るにも関わらず象徴的なシンボルの部分に日本製の機関車・車両が使われていると言うのは有る意味で驚きでしたし、今回の鉄道博物館訪問で一番の収穫でした。
  中国国内では政治的な歴史問題"と言う中国のナショナリズムに関わる問題が有り今や"政冷経熱"といわれますが、中国の比較的上層の方では昔から鉄道に限らず日本の持つ"技術力"に関して信用が高いのかもしれません。日本が1945年に残してきた物を新中国建設に最大限利用してきたとも言えるのでしょう。それらの一端がこの博物館の陳列に現れていると言ったら大げさでしょうか?

[4]今回の北京訪問で感じたこと

  今回観光を主体に4泊5日で北京を訪問しましたが、今回は前回の上海とは違い可能な限り「中国の鉄道を見てみよう」と思い"北京〜天津間""北京市内地下鉄""鉄道博物館"の3箇所を「鉄道に関係する場所」として見てきました。学生時代の専攻は「中国政治経済論」で去年の「上海トランスラピットレポート」以来中国の鉄道についても興味深く見てきました。その当たりを踏まえ、中国語が出来ないので収集できる情報もかぎられ推測が混じる点も有りますが、まとめとして自分の感じた事について書いて見たいと思います。

 1.中国の鉄道はレベルが高いのか?それとも低いのか?
  
  今回私は初めて中国国鉄の路線に乗ってきました。中国の鉄道と言うと「寝台列車で丸1日乗車して長距離旅行」と言うイメージが強く、事実未だその様な輸送も主流です。今回は"北京〜天津間"と言う都市間輸送で一番近代的な輸送をしている区間であり、必ずしも中国国鉄の輸送の実情を示しているとは言えないかも知れません。しかしその一番近代的な区間を今回試乗してきた感じとして「有る程度のレベルの高速輸送には耐えられる技術水準まで来ているのではないか?」と言う感じは抱きました。
  事実今回"北京〜天津間"で試乗した「城際特快」はダブルデッカーの動力集中型DMUで180km運転が可能です。但し実際の運転での運転速度120〜130kmで走っており能力からするとかなり余裕の有る運転速度ですが、乗り心地はかなり良く軌道も「ロングレール+PC枕木+厚い道床」であり在来線もすでに重量車両の有る程度の高速運転に耐えられるインフラがすでに存在しているともいえます。"北京〜天津間城際特快"だけでなく、北京〜上海間Z直快等この前の"第五次大提速"で登場した列車の最高速度は160kmです。新幹線や欧州の高速鉄道と比べたらまだ高速とは言えませんが、在来線と言う条件を考えたらそれなりの高速レベルだと考えます。
  又少なくとも"北京〜天津間"は平地であり都市間では曲線も少なく、複線+単線で貨物・ローカル線の分離も有る程度行われています。実際平地が広がっていたり人口集積が進んでいる東北地方・華北・華東・華南地域ではこのレベルの鉄道インフラ(特に高規格の軌道等)が有る程度揃っている都市間幹線はかなり有ると言えます。
  そう考えると軌道等のインフラは新幹線型車両等の車両を投入して行われる本年度から順次開始される“第六次大提速”用200km運転用高速車両が走行するのに、今程度の運転本数で200km運転であれば電化・局所的な改良等で対応できるレベルに有るともいえます。
  しかしインフラ的には高いレベルにあるかもしれませんが、問題は「総合的なレベルが高速運転に耐えられるか?」「運営する人がそのレベルについてこれるか?」と言う点に有ります。まず「総合的レベル」と言う話になると高速運転には貨物列車が邪魔な存在になる可能性は有ります。中国の貨物列車は日本ほど高速化されていませんし、未だ40km代の速度での運転も有るといいます。( 鉄道高速化:旅客列車時速200キロ、貨物も増速 )。中国の場合貨物輸送は国家経済の動脈ですから蔑ろには出来ませんし、貨車の量から考えたら貨車の高速化はかなりの困難を伴います。それに加え信号系・通信系等の60〜70年代に停滞していた分野でありその時代のツケも有りインフラが高速運転に対応できるかも不安です。
  「人のレベルの問題」ですが、下記の写真は1/3に北京駅構内で撮影した写真ですが、確かに駅構内で低速列車しか運転しない区間ですが、平然と昼間にポイントの油さしやゴミ取りを行っています。私が写真を取っている脇を機関区へ平然と線路を横切っている関係者らしい人も居ました。此れは日本の常識的には好ましい事ではありません。ましてや高速運転を始めるとなるとこの様な保線管理等は運行の支障にならない様に夜間等に線路閉鎖をした上に行うべきものです。この様な事への対応が出来ていないと只高速化しても事故を発生させる可能性が有ります。その様な点も今の中国の鉄道のレベルを示していると言え高速化への不安になると言えます。
  その様な事から考えると中国の鉄道高速化にはこの様な貨物輸送・信号や通信系のインフラ・ソフト面での運営に関するノウハウが200kmの高速運転に耐えられるのか?其処が課題になるのではないかと感じました。
  PS:来年から順次実施予定の"第六次大提速"は延期になったみたいです。(未だ問題点等詳細は不明ですが) 鉄道高速化:日本の「新幹線」投入も、計画遅延 (中国情報局)

  (40)北京駅構内での保線作業実施状況
 

 2.中国の鉄道はかなり過激な競争にさらされている?

  それと感じたことは、「中国の鉄道はかなり過激な競争にさらられている」と言う事です。今回比較の対象に"北京〜天津間"で片道は高速バスを使おうと考えていました。(只危険率が高いと言われ中止しましたが・・・)今回3回北京駅を利用しましたが、その時「天津・張家口・瀋陽・秦皇島・石家荘・青島」等の地名のプラカードを持った怪しいオジサンに何回も声を掛けられました。(怖くて写真は取れなかった)最初は「ダフ屋」と思いましたが、友人に聞いてみると「バスの案内だよ」と言っていました。実はかなり安いが危険なバスらしいですが利用客はかなり有るみたいで北京駅の脇にはそれらしきバスがかなり止まっていました。鉄道の長距離チケットが取り辛い事と合せてかなりの存在感は有るみたいです。
  それだけ競争が激しくても、「中国の地方の道路事情は良くないからバスは・・・」と思っていましたが、北京の新華書店で参考に中国全土のロードマップを買いましたが中身を見たら驚きです。すでにかなりの部分で高速道路が供用中もしくは建設中です。特に東北・華北・華東・華南地域はかなりの密度で高速道路が存在しています。少なくとも高速道路インフラの整備のスピードは鉄道とは比べ物にならない状況です。此れでは激しい競争にさらされる筈です。ましてや民間の白タクや怪しいバスがすぐ登場して、それらが実質的に野放しの中国です。それではゲリラ的高速バス相手の厳しい競争が発生しても可笑しくないですし、すでに発生していると言えます。
   経済力が増進している中国では全体のパイとしての輸送量も増えているのは確実です。又鉄道も順調に乗客数を伸ばしている様です。しかし鉄道も高速化等のインフラ改善が進んでいますが、高速道路の建設は極めてハイペースです。今建設中の高速道路が出来たら北京から黒龍江省・新彊ウイグル自治区・雲南省等まで高速道路まで繋がる事になります。この状況では競争は激しくなる事は必定です。中国国鉄も高速バス・自動車への競争対策も十二分に考えなければならないと言えます。

 3.北京の地下鉄は総合的に考えて作られているのか?

  今度は北京の都市交通に関してです。今回北京市内の地下鉄を何回か利用しましたが何か不便な感じでした。北京の場合道路の建設速度に比べると遅々たる物です。道路は環状道路・大型道路もかなりの速度(此処10年で環状道路だけでも2本、高速道路はかなりの距離が増えている)で整備されていますが、地下鉄は10年前の訪問時から13号線・八通線が増えたに過ぎません。道路建設の速度から考えると遅いことは明らかです。その様な状況であるので未だに北京の公共交通はバスが主体です。約1200万人の人口が有る北京で地下鉄4本は少なすぎます。都市の中で公共交通としての鉄道が軽視されていると感じます。
  又地下鉄も"ネットワーク"として考えると利便性は高いか疑問です。1号線〜2号線の間は建国門・復興門の両駅で通路を通じての乗換が出来る様になっていますが、13号線は地上走行路線の為2号線との乗換駅東直門・西直門では駅の外に出て地下〜高架の乗換をしなければなりません。(写真(27)参照)極めつけは四恵・四恵東の1号線・八通線の乗換です。何故隣接並行している八通線を1号線経由で都心直通にしなかったのでしょうか?中古車両配転が出来るぐらい規格も一緒ですから直通運転には制約が無かった筈です。並行する京通高速に直通バスが並走している現状では、乗換のある地下鉄が劣ると言う可能性も有ります。この様な地下鉄の現状が好ましい筈がありません。
  では何故この様な状況なのか?それは前近代的な運営システムにあると思います。北京では運賃システムが前述のように非常に単純です。何故単純か?これは機械を使わず人力に頼った運営システムだから均一料金にせざる得ない、運賃を多く徴収するには直通運転ではなく乗り換えさせて改札を通すしかないと言う理由があると考えられます。此れが好ましい筈がありません。幾ら人件費が安いと言えども「発券も改札も人力」と言うのではあまりに前時代的すぎます。それだから均一運賃制を採用せざる得ず「近距離はバスより高く、遠距離はきわめて安い」とアンバランスな運賃になり、運賃を少しでも多く取る為に関所的な改札・乗換を作る状況になるのです。
  先ずこの様なは前近代的な運営システムを近代化し、その上でシームレス化・バリアフリー化等の利便性向上策を今の段階から考えていかないと後から手遅れになると言えます。今でも北京オリンピックに向けて地下鉄五号線等の建設が進んでいますが、東京を見れば明らかなように「作ってから修正する」では非常に手間になります。北京は未だ建設中の側面も強い(手遅れな面も多いが)都市なので、この様な教訓を生かしていただくべきであると言えます。もっと都市の建設に関して運営も含めた総合的なプラン・調整・運営が必要であると言えます。

  以上私の感じたことを、過去に述べてきたを踏まえつつ3点書いてみました。中国は一言で言うと「レトロと現代のミックスされた状況」です。経済発展が急過ぎその上に社会主義からの実質的な体制転換が行われてきた現状では過去と現在がミックスされてしまうのは致し方ないでしょう。なので「進んでいる所」と「遅れている所」が極端ですし、ソフト的な面が付いていけないと言う所も多々あるのではないかと今回感じました。
  只この様なことは急速に発展する社会では往々にしてある事です。それを克服してこそ次への発展があるのですから、一個人としてこの難関を克服してより成長・発展してほしいと一隣国友邦の人間として思う次第です。


 『付録』:今回の旅行で取った鉄道写真

  今回の旅行で前述の様に1/3に北京駅周辺で2時間ぐらい鉄道写真の撮影をしました。其処で前からのレポート等にも出ていた機関車等の写真も取れたりしたので、此処で『付録』として掲載しようと思います。線路脇からの撮影でポイントも分からずとにかく取れる所からの撮影だったので写りもイマイチですが『付録』として御覧下さい。

  (41)最新型のSS9G型電気機関車(北京〜瀋陽方面で活躍)     (42)東風7C型DLと東風11G型DL
  

  (43)最新型の東風11G型DL(北京〜上海方面で活躍)        (44)瀋陽行き列車と東風11型DL
  

  (45)東風4D型DL(全国で活躍)                  (46)北京型DL(液体式で2両連結、短距離・構内運転等がメイン?)
  

 

 

 

 

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