このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 

 

AIZUマウントエクスプレス鬼怒川温泉直通記念訪問記

 

TAKA  2005年 4月 3日

 

 


 皆さんこんにちはTAKAです。去年8月日帰りで会津若松・奥会津を訪問し、その時の事をフォーラムに「 夏の会津路一周記 」として書き掲載していただきましたが、その中で「AIZUマウントエクスプレスの鬼怒川温泉乗り入れでスペーシアと接続を図り浅草〜会津若松間を4時間未満で結ぶ」事について触れましたが、本年3月1日より実際に「 AIZUマウントエクスプレスの鬼怒川温泉乗り入れ 」が行われる事になりました。
 その効果については、東武鉄道は池田副社長が昨年12月の東武鉄道中間決算説明会で直通運転に関する東武鉄道の増収効果について「正直ねぇあまり計算していないですねぇ。便利になっても本当にお客さんが着てくれるのかなぁ」とコメントしています。しかし現実的に東武・野岩・会津3社で今手持ちの資源を有効活用してすぐに行える方策で一番有効な方策です。又東武も「 AIZUマウントエクスプレス直通記念会津キャンペーン 」を行い、浅草の駅に可愛らしいスペーシアとマウントエクスプレスが書いてあるポスターを掲げたりしてアピールに努力しています。((1)のポスターは会津鉄道各所等にも結構張ってあった)

 ①直通宣伝ポスター(1)                  ②直通宣伝ポスター(2)

※駅のポスターを撮影した為、多少電気の映り込みが有るのはご容赦下さい。左のポスターのスペーシアとマウントエクスプレスが可愛らしい。

 この様な状況の中で「夏の会津一周」の再検証を兼ね、又東武池田副社長に「本当にお客様が着てくれるのかね」と酷評されたAIZUマウントエクスプレスの鬼怒川温泉乗り入れの状況がどの様になっているか実際に見てみるために、時間の取れた4月2日スペーシア&AIZUマウントエクスプレスを利用して会津盆地を再度訪問いたしました。
 前回は東北新幹線→磐越西線→会津鉄道→野岩鉄道→東武鉄道の時計回りのルートで訪問しましたが、今回はスペーシア&マウントエクスプレスのルートの最速列車を使い、しかも東京からの観光ルートに合せてこのルートを使ってみようと考え、反時計回りで回る事にしました。それに競争相手を利用しようと考え、帰りは会津乗合自動車・JRバス関東の高速バス「夢街道会津号」を利用しました。(費用倹約もありましたが)

 ☆今回の利用ルート

 「1」浅草8:00発きぬ103号→鬼怒川温泉9:59着(対面ホーム乗換)鬼怒川温泉10:01発AIZUマウントエクスプレス→(会津若松11:56着)喜多方12:20着 [費用]特急券+会津若松までの乗車券5,940円 [所要時間]3時間56分
 「2」会津若松16:30発夢街道会津18号→(王子20:31着)池袋20:41着下車(新宿駅新南口21:05着)[費用]4,800円 [所要時間]4時間35分
  ※猪苗代を経由しない高速便は所要時間4時間20分
 ・ 会津鉄道HP会津方面時刻表(会津鉄道)  ・ 会津バスナビ 高速バス時刻表(会津乗合自動車)  ・ 夢街道会津号時刻表(JRバス関東)
※新幹線+磐越西線の場合 東京8:36発Maxやまびこ105号→郡山9:58着10:10発快速→会津若松11:11着[費用]8,510円 [所要時間]2時間35分

  「Ⅰ」スペーシア&AIZUマウントエクスプレス乗車記

 AIZUマウントエクスプレスの鬼怒川温泉乗り入れが開始されてから約1ヶ月経った4月2日土曜日朝、東武・野岩・会津の会津西街道ルートで会津若松に向う為に東武浅草駅に向います。時々使う駅(この前は8月会津一周時)で特に語る必要は有りませんが、相変わらずの狭さで20m車の入る駅では有りません。なんせドアに「渡し板」を渡してお客さんに乗ってもらうのは此処だけですから・・・。実を言うと東武特急に乗るのは初めてですが、何時もの快速ホーム5番線よりインフォメーション・特急用改札等が有る分、うらびれた感じが薄く多少は特急ホームらしい感じがします。

 ③東武浅草駅特急ホーム入り口                      ④ホーム突端でのドアへの渡し板設置状況
   
 
 8:00丁度にきぬ103号は出発します。私はヘビースモーカーなので喫煙車の5号車に乗りますが、普通座席の1〜5号車は各車10名程度しか乗客がいません。5号車は偶々社員旅行の団体がいて発車時点で酒が入っていて「顰蹙もの」の賑やかさです。発車して10分で北千住に着きやはり各車10名程度乗車してきます。
 北千住を出た段階で各車20名程度(乗車率にして25〜30%)の乗客しかいません。幾ら未だ肌寒い時期と言えども土曜日ですから観光客がかなり居るかと思いましたが予想外でした。8時発と言う時間が少し早いのかもしれませんが小田急ロマンスカーであれば土曜日午前中は8時と言えども「満席」までは行かなくても、もっと乗っています。全体的に未だデビューして15年程度でバブル期に造られたデラックスな内装のスペーシア100系なので特急車としての魅力に問題が有るとは思いませんが、車両以上に東武スペーシアの不振の原因は観光地としての日光・鬼怒川の不振は深刻なのかもしれません。

 ⑤スペーシアきぬ103号車内(2号車)                   ⑥スペーシアきぬ103号車内(5号車)
    

 春日部で2号車・5号車のドア(此処だけ客扱い)から各10名程度の乗客があり、その後新栃木まで通過していきます。途中栗橋では東武・JRの駅間で「 東武・JR直通特急用 」連絡線の軌道関係と思われる工事(路盤を作る為の掘削工事と思われる)をしています。この連絡線が出来て直通特急が走れば、今の様な寂しい東武特急も活性化されるかもしれません。
 新栃木ではビジネス客と私用の客が、新鹿沼では非常に遅めのゴルフ客らしき人たちがそれぞれ若干名程度降りて行きます。下今市では日光方面に乗り換える客がかなり降ります。向かいには接続の6050系2両が止まっていますが、立ち客が少し出る程度の乗客がいました。
 下今市から鬼怒川線に入っていきますが、スペーシアも相変わらずの40km/h程度のノロノロ運転です。前にも触れたとおり軌道出身買収路線の生まれの悪さから来る線形の悪さだから仕方ありませんがもどかしい物です。殆ど誰も降りない新高徳を出ると、終点鬼怒川温泉です。
鬼怒川温泉では1番線に到着します。鬼怒川温泉まで乗りとおした客数は大体100名前後で鬼怒川温泉駅のホームが一瞬賑やかになります。2番線にはすでに入線しているAIZUマウントエクスプレスが15名程度の乗客をすでに乗せ2両編成で待っています。接続時間は2分間ですが新八代を髣髴とさせる向いホームへの乗換ですからスペーシアの最後尾から100m近く歩いても時間的に余裕は有ります。今日は20名を少し切る人がAIZUマウントエクスプレスに乗り換えました。

 ⑦鬼怒川温泉駅でのスペーシアとAIZUマウントエクスプレス(前から撮影)   ⑧鬼怒川温泉駅でのスペーシアとAIZUマウントエクスプレス(後ろから撮影)
    

 10:01定時にAIZUマウントエクスプレスは発車します。AIZUマウントエクスプレスは、会津線への直通輸送のほかに鬼怒川温泉以遠東武鬼怒川線と野岩線への接続列車を兼ねているので、快速と言えども東武鬼怒川線内各駅停車・野岩線では龍王峡・川治湯元・男鹿高原しか通過しません。しかし鬼怒川温泉時点で35名程度の乗客は東武線・野岩線内では殆ど変化しません。
 東武線内では線形の悪さやポイント速度制限に引っかかり「亀の歩み」だった列車も、野岩線内に入ると70km/h〜80km/hの速度でコンスタントに進んでいきます。川治温泉・湯西川温泉・中三依・上三依塩原・会津高原と停車していきますが、未だ雪が残る寒い奥塩原地域なので観光客が殆どいない時期であり殆ど乗降が無く、2両で30名程度の乗客のまま会津田島に着きます。

⑨AIZUマウントエクスプレス2号車車内(鬼怒川温泉)               ⑩AIZUマウントエクスプレス1号車車内(鬼怒川温泉)
   

 会津田島で7名と纏まった下車が有りましたが、9名の乗車もあり全体数は殆ど変わりません。又会津田島の段階で未だ見た感じで10名程度スペーシアから乗り換えた時に一緒に乗り換えた人が居ます。その内会津下郷で3名・湯野上温泉で2名観光客らしい人が降りていきました。(残りは会津若松まで3名・喜多方まで私を含め2名)完全オフシーズンの割には乗っているのかな?と言う感じです。
 鬼怒川温泉から乗ってきたお客さんは歯が欠ける様に下車していきますが、その分地元の人が乗ってきて、西若松までは2両で35〜40名程度の乗客を維持したまま進みます。その後西若松(鶴ヶ城最寄)で7名・七日町(古い町並みが残る)で5名降車し、会津若松時点では26名が乗車していました。会津若松では運転手・車掌が交代すると共に乗客も大多数が入れ替わりJRの路線を喜多方へ向います。最終的には12時20分の喜多方到着時には16名の乗客がいましたが、鬼怒川温泉の時に顔を見た人は(私以外)1人しか居ませんでした。

「Ⅱ」高速バス「夢街道会津号」乗車記

 喜多方・会津若松での散策のあと、スペーシア&AIZUマウントエクスプレスのルートとの比較の対象にする為に、一番時間が掛かるが一番安いルートの会津乗合自動車・JRバス関東共同運行の「夢街道会津号」で帰京する事にしました。
 「夢街道会津号」は10往復(内2往復は喜多方発・4往復は猪苗代経由)運行されていますが、その内今回は猪苗代経由で終バスの1本前の16:30発の18号を利用しました。
「夢街道会津号」は会津若松駅前の会津バスのターミナルから出発します。このターミナルは市内線(駅前広場発)以外の中距離線・高速バスが出発するターミナルで、簡素な建物ですが売店・発券所・待合室等が完備されています。バスの出発の10分ぐらい前にJRバス関東車両の新宿行きが入線し、隣には郡山経由いわき行きの高速バスも入線してきました。けれどもいわき行きは15名以上の人が乗車していきましたが、新宿行きは私を含めて11名しか利用客がいません。11名のうち殆どが私用で使う客で、スーツを着たビジネス客はゼロ(土曜日だから当然か?)観光客の感じの人も少なかったです。思ったより乗客が少なく観光客が殆ど見られなかったのも意外でした。

 ⑪会津若松ターミナルでの高速バス「いわき行」「新宿行」       ⑫新宿行「夢街道会津18号」車内(若松出発時)
  

 若松ターミナル出発後、若松インター手前の停留所で1名・猪苗代駅前の猪苗代営業所で5名乗車してきて最終的には乗客が17名になります。猪苗代からの乗客のうち3名はスノーボードを持った学生らしき人たちで、このバスで初めて一目で見て観光客と分かる人たちが乗ってきました。
 猪苗代出発後、猪苗代インターから再度磐越道に乗り一路東京を目指します。磐越道は何故か路盤が悪く(タイヤチェーン使用が原因?若松市内の道もアスファルトが傷ついていた)車酔いになるかと思うぐらいかなり揺れます。けれども磐越道内の揺れさえ我慢すれば(東北道に入ると揺れは無くなった)、磐越道・東北道は順調に流れており80km/h〜100km/hの速度で順調に進んでいきます。
 途中阿武隈・羽生の両パーキングエリアで10分ずつ休憩しながら高速道を進みます。東北道〜首都高速川口線〜中央環状線へと進み高速を王子北でおります。そうするとすぐ王子駅前でほぼ定時に到着です。王子駅前は明治通り混雑対応の為の降車専用停留所かと思っていましたが、意外な事に明治通りが混んでいない時間なのに王子で約3分の1の6名の人 が降車していきました。確かに王子は京浜東北線・南北線が入っているので、東京北部・東部地域を目的地にする人たちにとっては便利な場所なのかもしれません。
 その後池袋・新宿と順調に進んで行きます。私は家の最寄の池袋で降りましたが、ここでも意外な事に池袋では私1名しか降りませんでした。最終的には乗車が会津若松11名・会津アピオ1名・猪苗代5名で降車が王子6名・池袋1名・新宿10名と言う利用状況でした。

  「Ⅲ」再度会津を訪問して感じた事 〜果たしてAIZUマウントエクスプレスは有用だったのか?〜

 今回前回と逆ルートでもう一度会津を訪問してきました。基本的には前回感じ述べた方策が一つ実現され、しかもその当事者の会社の上層部からは「便利になっても本当にお客さんが着てくれるのかなぁ」などと言われている以上、現地を見てこなければならないと思い今回行ってきましたが、その中で感じた事が幾つか有ります。

(1)際立つ絶対的需要の少なさ 〜けれども需要創出も難しい〜

 前回も触れましたが、元々会津盆地は今や東北の主流(福島県中通〜仙台〜盛岡)から外れてしまった地域であり、会津地全体の人口は321,854人しか居ませんし産業も観光等それなりに有る物の繁栄しているとはいえない状況です。その中で「早いが高い」新幹線ルート・「費用も時間もぼちぼちだが本数の少ない」東武系会津鉄道ルート・「時間は掛かるが本数も多く直通で安い」高速バスと3ルーと有ります。けれども需要と供給のバランスを考えたら3ルートは多いのかもしれません。  しかしどのルートも「無くなって良い」物では有りません。新幹線接続の速達性は絶対必要ですし、高速バスの気軽さもそれなりの支持を受けています。又中途半端の謗りを受けかねない東武系3社の会津鉄道ルートは、対会津若松と考えると存在意義が乏しいですが南会津対関東(特に東京)を考えると南会津・鬼怒川地域の活性化の為に重要なルートになります。
 人口30万の地域にそれぞれ意味の有る3つの対東京ルートを維持・活性化させるためには総合的な需要創出の方策が必要です。それには一番有効な方策は優れた観光資源を使っての需要創出が必要です。現在でもその様な方策が行われていますが今後とも自治体を中心に各社で連携を拡げキャンペーン等をする事で需要創出を図り、人口が少ない事での絶対的需要の少なさを補い需要を創出し会津と東京を結ぶ3ルートの公共交通機関の活性化を図る事が必要であると言えます。

 (2)けれども会津鉄道ルートはインフラの最低限の改良が必要 〜最低限の軌道改良の実施を〜

 確かに絶対的交通需要が少ない会津地域ですが、新幹線接続ルート(磐越西線)・高速バス利用自動車ルート(磐越自動車道)・会津鉄道ルートどれも上記のように重要です。しかし距離が最短の会津鉄道ルートはインフラ面で一番弱いのもまた事実です。有効に活用していくのであれば会津鉄道の最低限のインフラの改良は欠かせません。

⑬会津鉄道の軌道(弥五島駅付近)    ⑭会津鉄道軌道(大川ダム建設付替区間)  ⑮JR磐越西線軌道状況(塩川付近)
      

 上記の写真3枚は車内から取ったAIZUマウントエクスプレスの走行区間の軌道状況です。⑬の区間は木枕木にL=50m程度のレールに汚れたバラスト・⑭の区間はPC枕木にロングレール・⑮の区間は木枕木に⑬よりしっかりした軌道に入替えられて時間の経っていないバラストです。これらの区間のAIZUマウントエクスプレスの走行スピードは⑬の区間60km/h程度・⑭の区間80km/h程度・⑮の区間90km/h程度でした。それに会津田島〜西若松間では⑬レベル軌道90%:⑭レベル軌道10%の比率です。⑬のレベルの軌道ではとてもではありませんが高速走行は出来ません。今の60km/h運転が精一杯でしょう。実際前回の時も今回も速度の割にはかなりの揺れを感じました。
 此れでは 最高速度120km/hの会津鉄道キハ8500系 の性能は100%生かせません。元々山岳路線の高山本線の高速化に貢献したJR東海キハ85系と同じ性能を持ち併結して走って居た実力の持ち主です。軌道さえ良ければもっと高速走行が可能です。本来であればPC枕木&重軌道の野岩鉄道区間でも今の最高速度以上の100km/hと言うような走行もすぐに可能なはずです。先ずはすでに軌道の良い野岩鉄道区間での速度向上を目指すにしても、最終的には会津鉄道会津田島〜西若松間の軌道改良による最高速度向上も必要です。
 しかし「線形が非常に悪い」と言う状況では有りません。軌道のレベルがローカル線レベルと言うだけです。しかし軌道は鉄道運営に必要なインフラですから継続的に手を入れる必要が有りますし、レベルを向上させればメンテナンスフリーも図れますから好ましい事です。只会津鉄道にその費用負担をする余力は有りません。関係自治体が補助をする等の方策を考えて実施しなければならないと思います。

 (3)果たして「便利になっても本当にお客さんが来てくれたのか?」 〜関係者の努力は報われたのか?〜

 今回の旅行の発端は「私が言っていた事が実現したから見に行こう」と言う事と、今回の直通運転に関して「便利になっても本当にお客さんが来てくれるのかなぁ」と言う東武鉄道池田副社長のコメントが正しいのか見てみる事に有りました。(後はついでのグルメツアー)
 今回の訪問の最大の命題である、「果たして直通運転で便利になって「お客さんは来てくれた」のでしょうか?」端的に言えばYesともNoとも言えない状況で有ると思います。時期的には観光シーズンではない4月の頭で未だ知名度が上がらない中での開業ご祝儀が終わった、正しく谷間の時期に訪問したと言う事は言えます。乗客の状況に関しては前述の通りですが、鬼怒川温泉でマウントエクスプレスに乗り換えた約20名の人の中で、「本来後続の野岩線列車に乗る予定だが偶々向いにいる列車に乗った」と言うマウントエクスプレス鬼怒川直通が有ろうと無かろうと関係ないという人たちがどれ位居たかは不明です。その様に今の段階で状況を見る限り東武池田副社長の否定的コメントを覆す根拠を見つける事がで来ませんでした。
 しかし未だ1ヶ月しか経っていない状況であり、しかも観光シーズンとは言えない状況です。ですから結果が分からないというのも正しいですが、未だ悲観的になるには時期尚早で有ると言えます。
 けれども経営的に見れば、今回のマウントエクスプレス鬼怒川乗り入れは東武・野岩・会津3社にしてみれば損な話ではありません。少なくともキハ8500系を中古購入した会津鉄道は投資の負担をしましたがすでにその会津鉄道が設備を保有している以上、各社それぞれの運行コスト以上の負担が有る訳では有りません。此れで浅草〜会津若松間が4時間以下で結ばれた訳ですから、此れで少しでも利用客が増えればその分増収になるわけです。ですからこの延長分のコストを負担できるだけ乗客が増えれば経営的にはペイするのですから、各社にとって今回の直通運転は「低コストで持てる資源を投入して効果を得る」事になり悪い話ではない筈です。
 ですから今の段階で「お客さんが来てくれたのか?」「関係者の努力が報われているか?」と言うことに答えが出ていなくても将来的には効果が出てくると思われます。その意味で今回のAIZUマウントエクスプレスの鬼怒川温泉乗り入れは有用な方策であったと言えます。

 (4)問題は東武鉄道上層部の姿勢 〜此処を変えないと東武鉄道は生き残れない〜

 実際「誰が利益を一番受けるのか?」と言う事で考えれば、今回の直通で一番利益を得るのは根元を押さえ一番利用客が増えやすく、しかも運ぶ距離が長く増収が多いと言う、根源利益を抑える東武鉄道で有る事は間違い有りません。
 そういう状況に有るのであれば東武池田副社長が直通が始まる前に「便利になってもお客様来てくれるのかなぁ?」などと言う事はその考え方・姿勢からして間違えているという事ができます。
 本来であるならば「未だ効果は分からないが、最大限の効果を上げるように努力する。今回の直通運転が鬼怒川・奥会津地域の活性化に貢献できれば東武鉄道も収益を上げる事が出来る」と発言するのがあの立場で池田副社長がする正しい発言だったのです。  確かにマウントエクスプレスの鬼怒川乗り入れの効果は懐疑的かもしれません。しかし東武鉄道を始め関係各社が連名でポスターを出したりイベントを開いたりして、旅客誘致に努力をしているのは事実です。それなのに一番根源利益を受ける会社のトップが「お客様くるのかなぁ」と言う発言をするのは品が無いですし好ましくは有りません。
 今回のAIZUマウントエクスプレス鬼怒川乗り入れで「関係者の努力が報われたか?」判断するには未だ早計です。しかし報われるであろう事は間違いないでしょう。最低限の投資で効果を得れるかもしれない事業なのですから。
しかし有る意味会津地域より鬼怒川地域の衰退は目に覆うばかりです。スペーシアの搭乗率はロマンスカーに比べても燦々たる状況ですし、東武ワールドスクエアも閑古鳥が鳴いています。又鬼怒川の温泉街も線路脇から見ていると「メンテナンスの行き届いていない旅館」「閉鎖されている旅館」が多数あり、熱海・箱根の旅館街と比べても足利銀行ショックが大きいのかもしれませんが「衰退する温泉街」の象徴とも言える状況です。基本的には自助努力で何とかしなければならない物ですが、今や鬼怒川地域で集客・活性化に中心となり努力する企業は東武鉄道しかありません。
 鉄道会社は今や沿線の活性化がその企業の増収の要となるものです。実際鬼怒川地域が活性化して観光客が増えれば、東武鉄道の利用客が増えて増収になるのです。と言いつつ東武鉄道が努力をしていないわけではありません。栗橋でのJR直通運転での新宿から直接お客を呼んでくる方策は良い策です。
 良い策を考え出しているのに、トップの姿勢が否定的で有るのは大いに問題です。活性化の中核にならなければならない企業のトップが否定的で消極的では成功するものも失敗します。先ずはその姿勢を改める事が地域の活性化・東武鉄道の成長の為には絶対必要であると感じます。

 『オマケ』 〜今回観光で回った会津若松・喜多方の名店

 今回AIZUマウントエクスプレス喜多方到着から、夢街道会津18号発車までの間約4時間有りましたが、その時間中前に訪ねた事の有る喜多方ラーメンの名店と田楽の美味い店に行って来ました。少なくとも「喜多方ラーメンの中で一番美味い店」と「会津で一番田楽の美味い伝統の有る店」です。付録ですが、今度行かれる事があったら寄って見てください。

 ①喜多方ラーメン「まこと食堂」(喜多方市役所裏)            ②「まこと食堂」のチャーシュー麺
   
※此処のラーメンは本当に美味い!私が最初に食べたのは10年以上前だが、それ以来ラーメン好きが高じてかなりのラーメン屋を食べに行ったが、此処レベルの美味さの醤油ラーメンは「荻窪春木屋」「白河とら食堂」位です。有名で混むのが難点ですが、東京の名店程待たされる訳では無いので、待たされても30分位で食事可能です。

 ③会津若松「お秀茶屋」(天寧寺入口傍)                 ④「お秀茶屋」の田楽セットと盛りそば
  

⑤田楽を焼く様子(囲炉裏で炭火を使用)

※此処の田楽は「餅*2・厚焼き豆腐*2・ニシン・こんにゃく」が1セットで出てくる(餅1本はすでに食べた後)会津での田楽発祥の店。私は美味くてまことのラーメン食べた後に田楽2セットと盛りそばを食べました。そばも十割そばで多少切れやすいのが難点だが中々美味しいです。私はお土産を買ってきませんでしたがお土産もやっていました。その日のうちに食べるのなら暖め直せば美味しいと思います。

 

 

 

 

※ブラウザの「戻る」ボタンでお戻りください

 

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください