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− 札幌の都市交通と観光 −

〜 美しく素晴しい都市の交通と観光 〜



TAKA  2005年 11月 5日




 9月の23日〜25日の連休を使い、遅い夏休みで4泊5日で北海道旅行に行ってきました。本レポートはフォーラムに掲載の一連の北海道訪問記の一部として「札幌の都市交通と観光」について書きましたので、御笑覧頂ければ幸いに思います。

 「今回の訪問行程」

 23日 11:22大宮→はやて11号→14:04八戸14:15→白鳥11号→17:31函館着
    市電で函館駅→湯の川(食事)→十字街と試乗→函館山登山→二十間坂周辺を散策

 24日 朝市見学→7:20函館→スーパー北斗1号→10:35札幌→ホテルにチェックイン後駅前のセンチュリーロイヤルホテルの展望レストランで食事
    13時頃の快速エアポート→新千歳空港(見学)→高速バスで福住バスターミナル→羊ヶ丘展望台見学→札幌ドーム見学
    (東豊線)→豊水すすきの→タクシー→サッポロビール園でジンギスカン食事→タクシー→大通公園でテレビ塔・時計台見学

 25日 札幌駅→すすきの(市電乗換)→電車事業所前→西四丁目(徒歩)→赤レンガ庁舎見学・雪印パーラー→札幌駅
    札幌駅→(札沼線)→新琴似→麻生→(地下鉄南北線)→北24条(バス結節見学)→大通→西四丁目(市電)→ロープウエイ入口
    ロープウエイもいわ山登山→ロープウエイ入口(市電)→中央図書館前→石山通(じょうてつバス)→真駒内(地下鉄・バス結節見学)
    真駒内→(南北線)→すすきの→ラーメンツアー(ラーメン横丁・五丈原・欅の3件)に出撃

 26日 札幌→(エアポート快速)→新札幌(JR・地下鉄・バス結節見学)→(東西線)→宮の沢(地下鉄・バス結節見学)
    徒歩→JR発寒→手稲→(エアポート快速)→小樽→(市内観光)→小樽→(エアポート快速)→札幌19:27→北斗星4号で帰京

  (1)札幌の交通事情を見る 〜地下鉄とバスの結節点を中心として〜
 
 札幌の滞在期間中に地下鉄を中心に札幌の交通機関を利用してきました。(市電も全区間利用しましたが、函館とあわせて別レポートに譲ります)特に地下鉄は東豊線豊水すすきの〜栄町間以外全区間乗車しました。なので最初に札幌の地下鉄などの札幌の交通事情について記述したいと思います。
 「参考資料」 札幌市交通局HP   地下鉄駅別乗降人員   札幌市交通局概要(wikipedia)

 ●福住バスターミナルと地下鉄東豊線 

 札幌で最初に利用した地下鉄区間は札幌ドーム訪問の為に高速バスを下車した福住バスターミナル最寄の東豊線福住〜豊水すすきの間でした。

 [1]福住バスターミナル(バス乗り場)              [2]地下鉄東豊線(福住駅)
      

 先ず感心したのは福住バスターミナルの存在です。 福住バスターミナル (バスターミナルと東豊線開通は平成6年・商業施設オープンは平成7年)の存在です。福住バスターミナルは札幌〜千歳方面への幹線国道36号線に面しており東豊線福住駅と連絡通路で結ばれてたショッピングセンターの中にあり、この地域の交通拠点として役割を果たしています。
 東京でも私鉄・JR等の地上の駅では、駅+バスターミナル+ショッピングセンターと言う形態は珍しく有りません。しかし地下鉄駅単独の駅にこの様な形態は殆ど有りません。札幌では他に東西線宮の沢でもこの様なターミナル形態を見ましたが、その為「非常に考えられた交通拠点が作られている」と感じました。東豊線の中でさっぽろ・大通に次ぐ3番目の乗降客数(約16,000人/日)と言うのは、札幌ドームと並んでバスターミナルと結びつけた拠点の効果なのかな?感じました。
 
 福住から乗車した東豊線は4両編成で、土曜日の夕方と言う時間帯も影響しているのかそれでも空席が有る利用客数です。しかし東豊線の利用客数を見れば、さっぽろ・大通・福住の3駅以外は10,000人/日以下で大部分の駅は6,000人/日程度です。南北線・東西線の中小駅並みの乗降客数ですが、南北線・東西線の様に乗降客数が多い駅が少ない事が利用客の状況に反映されていると言えます。

 ●JR北海道札沼線(札幌〜新琴似間) 〜JRの成長頭の状況〜
 
 翌日は市電以外の鉄道で最初にJR北海道札沼線札幌〜新琴似間に乗車しました。JR札沼線はJR北海道の札幌近郊路線の中で唯一の非電化路線で、北海道医療大学までの札幌近郊路線とそれ以北の閑散ローカル線の二面性を持った路線です。札沼線に関してはフォーラムでも和寒様が「 札沼線〜刹疎と颯爽の二面性 」を書かれていますが、私も少し書きたいと思います。
 
 [3]札幌駅での札沼線キハ201系              [4]札沼線列車車内
    

 [5]キハ40系他4両の上り列車(新琴似)
 

 丁度私が乗車した時間は札幌10:40発あいの里教育大行き下り列車で、曜日・時間帯を考えると利用客が多い筈の時間帯では有りません。しかしロングシート3両編成の座席がサラリと埋まる程度の乗客が乗車しています。
 実際は未だに主力はキハ40系の旧型気動車であれど、最新のキハ201系・札幌近郊高架区間・乗客数・中間でも毎時3本の本数を見る限り、乗車した区間は札幌近郊区間その物であり「学園都市線」の愛称は「看板に偽りなし」と言えます。翌日朝札幌駅で見たラッシュ時の風景はキハ40系・141系の6両編成で満員に近い客を運んでいましたが、車両さえ見なければ札幌近郊輸送を担う千歳線・函館本線と何も変わりません。
 事実 JR北海道札幌都市圏の利用客数推移 を見ると、札沼線は新千歳空港輸送と並んでの増加基調であり、平成10年〜14年の5年間で7.5%増加と言うのはかなりの成長率で有ると言えます。
 地下鉄南北線に乗り換えるために、新琴似で下車しましたが、連続立体化事業が行われた新琴似も相対式ホームを持つ高架駅で架線が無いこと以外は東京の民鉄の駅と変わらない感じです。
 札沼線札幌近郊区間は今や気動車が走ると言う点以外何処にもローカル線の感じは有りません。昔のローカル線沿線に此れだけ近代化の並が押し寄せると言う事は、それだけ札幌が都市として巨大化してきているという証なのでしょう。

 ●地下鉄南北線 〜札幌の大動脈の状況〜

 札沼線を新琴似で降りた後地下鉄南北線麻生まで歩き、その後途中での寄り道を含みながら地下鉄南北線の麻生〜北二十四条〜大通と真駒内〜すすきの間に乗車しました。
 
 [6]地下鉄南北線(3000型)               [7]北24条バスターミナル
    

 [8]真駒内駅と駅前広場                 [9]真駒内駅とバスターミナル
    

 南北線はさっぽろ〜大通〜ススキノと札幌の中心街を貫く大動脈です。その為北側の始発駅の麻生も約500m位離れたJR札沼線新琴似より、駅周辺も賑やかで乗降客も多い感じです。南北線内で3番目約24,000人/日と言う乗降客数はJRからの乗換客もかなり居るのでしょうが、すすきのより多いと言うのには驚きです。
 南北線開業時の昭和53年では、札沼線沿線がこれほど発展するとは想像できなかったですから、南北線の新琴似接着は考えられなかったのでしょう。しかし両駅周辺がこれほど賑やかになっており、かなりの乗換客が有る事と冬は雪が降り歩きづらい事を考えれば、地下道連絡等は考えても良いのかもしれません。しかしそうすると札沼線の乗客が新琴似で札幌都心へ便利な地下鉄に逸走してしまうかもしれませんが・・・。
 
 麻生からは昼食をかねて2つ目の北24条で下車します。北24条は区役所も近くに有る北区の中心地で駅前はそんなに賑やかでは有りませんが南北線5番目の乗降客の駅です。駅を降り地上に出ると道路沿いのビル1階がバスターミナルになっていて、 北海道中央バスが中心となりかなりの本数が発着 しています。
 北24条のバスターミナルはビルの中に上手く歩道とバス停を呑み込み、店舗部分の1階・2階を道路からセットバックさせてバス停車場所をひねり出し、ビルの3階から上の住居部分がバスの上に張り出して建っています。  北24条バスターミナルの管理者は札幌市交通局との事で、元々は市バスが乗り入れていたバスターミナルがバス民営移管で今の形になったとの事ですが、此処や福住以外にも 多数の地下鉄併設バスターミナル が有ります。札幌市内交通の根幹で地下鉄とバスは「ハブ&スポーク」の関係を成立させており、 乗継運賃割引 と並んで地下鉄駅併設バスターミナルがその関係を支えています。このシステムは素晴らしい物であると言えます。

 北24条で食事を取ってから北24条〜大通〜市電〜藻岩山登山の後に、じょうてつバスで真駒内に出て、真駒内駅周辺を見学後に南北線で札幌市内に戻りました。
  真駒内駅 は南北線の南側の終点で、この先の定山渓方面及び南側に広がるベットタウンへのバスターミナルになっていて、じょうてつバスや中央バスが乗り入れていると同時に、駅周辺は西側に団地が広がり真駒内周辺〜南部地域は札幌の一大ベットタウンとなっています。
 真駒内駅は高架構造で高架下がじょうてつバスを主体としたバスターミナルになっており、駅の西側に道路を隔ててバスターミナルとタクシープールが広がっています。真駒内は福住や北24条のようにビル型式のバスターミナルにはなっていませんが、殆どのバス停まで傘がなく乗れる構造で有る事を考えれば十分バスターミナルとして機能する構造になっています。
 
 地下鉄南北線は、北側では「麻生→バスターミナルでのバス結節+札沼線からの乗換客・北24条→バスターミナルでのバス結節」での乗客がメインとなり、南側では「真駒内→バスターミナルでのバス結節+駅周辺の大団地の住民」の乗客がメインとなり、南北線が「さっぽろ・大通」と言う札幌市街中心地へ利用客を運んでいます。
 正しく南北線は「札幌の背骨」と言える交通機関であり、南北線は上記の様なバス等の培養線から乗客を集客すると言う「ハブ&スポーク」の典型的関係で有ると言えます。しかし地下鉄が例えば延伸等でスポークの部分に進出してもそれだけの採算が取れる利用客が得られず上手く行かないでしょう。そう考えると今の現状は、地下鉄にとっては南北末端〜都心の長距離区間を多くの客が乗る一番ベターな状況でしょう。

 今の札幌地下鉄は「 営業黒字・経常赤字 」の経営的にも楽な状況では有りません。その様な状況の中で、札幌駅・大通周辺一極集中の札幌の都市構造を踏まえながら現在の地下鉄の乗降状況を考えると、各線共比較的終点に近い「麻生・北24条・真駒内・宮の沢・琴似・大谷地・新さっぽろ・福住」の各駅が利用客10,000人/日を超えています。これらの各駅の利用客数はバスターミナル併設の「ハブ&スポーク」が利用客を集めた効果が出ていると言えますが、地下鉄から見れば「1人当たりの乗車距離が長い=1人当たりの収入が多い=効率が良い」と言う事が言えると思います。この輸送構造が地下鉄に採算以上の存在価値を生み出しているのかも知れません。
 フォーラムでも「 福岡市営地下鉄七隈線とバスの関係 」についてKAZ様がレポートされていますが、七隈線と西鉄バスの関係と比較して札幌の場合は、単純には比較できない物の「地下鉄とバスがハブ&スポークで棲み分けを図る」と言う点で上手く行っていると思います。福岡の場合「バスのドル箱に地下鉄が殴りこみ」と言う事情が有るので一概に比較は出来ないでしょうが、地下鉄(鉄道)とバスの関係について札幌の方が上手く行っていることは否定できないと言えます。

 (2)夜のすすきの歓楽街は? 〜夜の歓楽街の交通状況は?〜

 今回札幌に旅行するに際して、廻りの皆に言われた事が「夜のすすきので遊んでおいでよ」と言う一言でした。今回の旅行が「交通とグルメをメインにした旅行」とは誰にも説明せず「只旅行に行く」位にしか回りに言わなかったので、多分「夜は歌舞伎町で遊ぶのと同じ位楽しいよ」と言う意味合いで勧められたのだと思います。(私は新宿が行動の拠点のひとつなので、歌舞伎町には「知っている女の子が居る店」位は有ります)
 確かにすすきのは有名な歓楽街であり、私は「すすきの=北の歌舞伎町」位のイメージで居たのですが、確かに「歌舞伎町的」に遊べる側面もありましたが、それ以上に私は「ラーメン梯子ツアー」に走ってしまいました。
 しかしラーメン横丁と欅がすすきのの中にありしかも欅が混んでいて(札幌駅前の)ホテルへの帰りが終電車直前になってしまいました。その為終電直前のすすきのの状況を見ることが出来ました。有る意味歌舞伎町と変わらない側面も有るし違う側面も有るという感じで興味深い物でした。

 [10]夜のすすきの交差点                 [11]タクシーで溢れるすすきのの街路
    

 [12]地下鉄南北線最終麻生行き(すすきの駅)
 
 
 夜遅くのすすきのは「健全な歌舞伎町」と言う感じでした。裏道まで入っていないので何ともいえませんが、歌舞伎町ほど危険を感じないし呼び込みも大人しい感じでした。ラーメンが主目的で「知らない街で一人で遊ぶ」程の度胸も無かったので、一般的に「すすきので遊ぶ」的な店や裏道には入りませんでしたが、人出は日曜日であっても歌舞伎町に負けない(有る意味日曜日と言う事を考えたら歌舞伎町以上?)と言う感じでした。
 しかしメインの駅前通りには二重駐車するほどのタクシーが溢れています。昔と違い近年では歌舞伎町でも「タクシーが拾えない」と言う状況は有りませんが、このタクシーの客待ちは靖国通りでのタクシー客待ち以上です。それだけ夜遅くまで遊ぶ人が多いのでしょう。
 私は酒も飲んでなく未だ電車があったので、最終の地下鉄で札幌駅まで向います。地下鉄すすきの駅のホームに下りてみたら最終直前で有るにも関わらず殆ど客が居ません。来た列車に乗ってみたらかなりの空席が有るほどです。私でも終電前に飲み終われば電車で帰るのが普通です。新宿発の中央線や池袋発の西武線などは最終列車は日曜日でも乗るのも大変な位の混雑である事を考えると拍子抜けな位です。
 この対照的な事から考えると、「すすきのの夜は遅い」「札幌では飲んだ後の交通機関は終電車ではなくタクシーが主流」と言う感じがしました。飲んだ後タクシーで帰るのでは金が結構掛かるでしょう。それでもタクシーを利用すると言う事は「長距離タクシーが気兼ねなく使える程に懐が暖かい(流石にそれは無いか?)」「公共交通の目が粗く夜の鉄道やバスが無くなれば頼りはタクシーだけ(地下鉄の守備範囲は狭い?)」と言う様な状況なのかもしれません。

 (3)札幌ドームを見学して 〜イベント施設と交通の関係〜

 今回千歳空港アクセス見学の帰りに高速バスを福住バスターミナルで降り、その近くに有る羊ヶ丘展望台と札幌ドームを見学に行きました。 札幌ドーム は2001年にオープンした東北・北海道で唯一の全天候型かつ野球・サッカー両方に対応した多目的ドームでプロ野球の 北海道日本ハムファイターズ とサッカーJ2の コンサドーレ札幌 のホームグラウンドです。
 今ではプロスポーツも「地域密着」と言われますが、地域にプロスポーツが有ると色々な点で効果が有ります。その象徴は昨年プレーオフ進出で燃えた北海道日本ハムファイターズと札幌や今年の楽天ゴールデンイーグルスと仙台です。地域に精神的核になるスポーツチームが有るとそこに求心力が発生しますし、その求心力が色々な面で金を落としそのお金が又地域を活性化させます。その様な「地域の核となるプロスポーツの存在」が交通の点でも重要なのは今までフォーラムで議論してきたとおりです。
 本当は野球かサッカーが有るときに見に行ければ、交通とイベントの関係等も含めて、いろいろな意味の事を見学できたのでしょうが流石にそこまでは日程を合わせられませんでした。なので札幌ドームその物の見学が主体になりましたが、見てきた事をまとめて見たいと思います。
 
 [13]札幌ドーム全景(羊ヶ丘展望台より)         [14]札幌ドームの替え用サッカーコートとサッカーコート搬入口
    

 高速バスで福住バスターミナルに着いた後、最初に路線バスに乗換て羊ヶ丘展望台に向います。羊ヶ丘展望台に登るとクラーク博士像と農業試験場の後ろに銀の屋根の札幌ドームが見えます。札幌ドーム自体が農水省北海道農業試験場の用地の一部に建てられた物ですからこの様な景観が出現するのでしょうが、緑とドームが共存する景観が有るのは札幌ドーム以外には西武ドームぐらいでしょう。
 展望台から福住バスターミナルに戻った後、国道36号線を歩いて札幌ドームに向います。ドームまでは歩いて10分位でちょっと距離が有る物の「遠い」と言う感じがするほどの距離が有るわけでは有りません。又浦和美園から何も無い野原を歩いてアクセスする埼玉スタジアムと違い、市街地を歩くのでそんなに苦にはなりません。(歩道がもう少し広いほうが良いのかもしれませんが・・・)
 札幌ドームに着いたら、中に入っても他のドームとそう変わらないでしょうからドームの周りを一周してみます。周りを回るのにはドームは丘陵の淵に建っているので階段を昇らなければなりません。中にはELV等も有るでしょうが、多客時を考えると少しはエスカレーター等が有っても良いのではないかと感じます。

 裏側(南側)に行くと1344台置ける駐車場と48バースのバスターミナルが有ります。イベント開催時には真駒内・南郷18丁目・平岸・JR白石からアクセスバスが出ると同時に全道から多数の貸切バスでファンが乗り着けると聞きます。イベント時のアクセスとしては地下鉄東豊線+バスアクセスで十分機能すると言えますが、イベント時以外には遊んでいるのは勿体無い感じがします。特に駐車場は福住と接続したパークアンドライド等に上手く使えない物でしょうか?
 裏側から西側に回るとオープンアリーナにドームでのサッカー開催時にドーム内に運び込むサッカーコートが置いて有ります。サッカーコートは移動式(自走式か牽引するのかは不明だが)で120m*85m有ります。野球とサッカーを一つのドームで行うためにこの様な大仕掛けが有るのですが「こんな移動式にするのなら、こっちにも屋根をかけてツインドームにしても良かったのでは?」とは感じました。

 今回近代的な札幌ドームを見学しまたが、雪国と考えたら「北海道地域に一つのドーム」地域の活性化の為に必要であると思います。今や駒大岩見沢が甲子園連覇程ですが、昔は雪国の高校球児が甲子園で優勝するのは困難と言われていました。その様な制約が有る地域ですからこそドームが必要と言えます。ドーム球場は有る意味北海道の特性にあった施設で有ると言えます。
 その様な施設を見ることは観光地ではない札幌の実態を見る意味でも重要でしょう。札幌の街中にコンサドーレのユニフォームを使った看板やポスター等も見かけましたし、色々な盛り上がりの話を聞く限り札幌には地域密着のプロスポーツが根付きつつあると言えます。その殿堂としての札幌ドームの存在は重要ですし、総工費422億円かけて建設した価値は有るといえるでしょう。(後はコンサドーレの速やかなJ1昇格が必要でしょう。J2のままではサッカー熱が衰退してしまいます)

 (4)札幌は何故美しいのか? 〜都市計画の素晴しさとは?〜

 私の様な「東京から殆ど出ない」人間からすると札幌等の北海道の都市は別天地に感じます。何故別天地に感じるのでしょうか?。多分此れは多くの人が感じる事でしょうが、それは札幌等に有って本州の都市では無い「広大な土地」「広く整備された街路」「洋風的な歴史的建造物」の存在でしょう。此れは本州の都市では中々無い物です。
 札幌の都市構造を見ると特徴的なのは東西に走る大通・格子状の道路です。此れは北海道開拓時に、開拓史が最初に都市計画を伴って都市を作り、火防線を兼ねた幅員100mの大通や街区を区画する幅員20mの道路等で区画整理した所を宅地に貸し下げた事により出来た物です。つまり札幌は今の日本の大都市で稀有な「都市全体をコントロールする都市計画の下で一括して造られた都市」と言う事が出来ます。
 (参考資料: 札幌の都市計画年表  (札幌市HP))

 [15]藻岩山より望む札幌市街                [16]大通公園とテレビ塔
    

 [17]札幌駅前通(札幌駅方面を臨む)            [18]大通公園の噴水
    

 これらの都市構造の骨格は明治初期の開拓史が都市として札幌を作った時に造られた物で、中心部に関してその骨格は明治時代に造られた物から劇的には変わっていません。
 しかし100m幅員の公園道路は戦災復興計画で作られた名古屋・広島にもありますし、メインストリートの印象的な並木道も戦災復興計画で作られた仙台等にも有ります。写真でも有る様に札幌の場合はその両方を持ち合わせていますが、札幌の場合根本的な所で例示した様なこれらの都市とは都市のイメージが異なります。
 それは「既存の都市を改良した都市」と「根本から計画して作られた都市」の差で有ると考えます。例示の名古屋・広島・仙台は元々が戦国〜江戸時代に作られた城下町が根本に有ります。この様な城下町と言う「都市計画」の上で骨格が作られた都市に戦災復興時に「西洋的都市計画」を持ち込んで復興・改良した都市は、「現況に合わせて理想と現実をすり合わせる」と言う点で都市計画的には「改善された例」として褒められるべき物ですが、私的には「木に竹を接ぐ」的な感じがしてちょっと違和感がします。
 しかし札幌は日本の大部分の都市と生まれが異なります。明治時代に開拓史が荒野を一から開発し作った都市です。基本に据えられたグリッドパターンの都市構造は日本でも平城京・平安京の時代から有った物ですが、(札幌建設時に 京都の平安京をモデルにしたとの見解 も有る)広い街路などは城塞都市として作られた城下町都市には無い物です。又札幌のモデルとなったと言う説も有る平安京にしてもそのメインストリート朱雀大路は今の京都には残されていません。残っているのはグリッドパターンの街路だけです
 その様な歴史的観点から考えると、プランナーが作った当初の都市計画の原形がそのまま今の都市に残されている日本の大都市は札幌しかないとも言えます。また「改良されずに骨格が残された」と言う事は、災害等に遭わなかった結果とも言えますが、同時に先人が作った根本計画が素晴しかったと言う事が出来ると思います。
 今や大通公園が無い札幌は考えられないですし、世界的に有名な雪祭りが札幌のど真ん中(大通公園)で行われない事は考えられません。これらは全て「先人の作った素晴しい都市計画」の恩恵で有ると言えます。このことは忘れるべきでは有りません

 現実として都市計画の理想は「白紙のゼロから理想の都市を作る」と言う状況でしょう。札幌等の北海道の都市の場合そこまで都市計画が意識されたとは思いませんが、都市計画のプランナーであればそれを理想と思うでしょう。しかし中々理想を追求できないのが現実の世界でその「現実との融合」を果たした状況が「木に竹を接ぐ」と言う状況なのでしょう。それは致し方ないことであると言えます。
 札幌の場合は都市で有る以上色々な問題を抱えている事は当然ですが、(大げさかも知れませんが)都市計画の根本の部分で「整備された理想的な都市」と言う事が出来るでしょう。「メインストリートに整備された公園道路・街路樹が豊かで広い街路・分かりやすい格子状の区割」等は偉大な先人が残してくれた素晴しい遺産です。この様な先人の遺産が今の札幌の素晴しい都市景観を生み出している事に関して我々は深く考えなければならないと改めて感じました。

 (5)素晴しい北のグルメ 〜ラーメンにジンギスカン〜
 
 札幌は都市も美しいですが、今回それ以上に感激したのは「北のグルメ」でした。北海道グルメと言えば「カニ」「ジンギスカン」「ラーメン」等々色々あります。元々グルメが好きな私でしたが、此れだけのグルメが有ると流石に「観光地に来た」と言う気がします。その点から考えても(私だけでなく一般的にも)札幌は理想的観光都市と言う事が出来ます。
 特にラーメンと並んで感激した食べ物はジンギスカンです。日本人は「ラム肉」に関しては抵抗が有りますが、個人的見解として「ラム肉」は非常に上手い物であると思っています。事実昨年の 北京旅行 の時には「 東来順の羊のしゃぶしゃぶ を食べる事が最大の目的」と言う位だったので羊に関しては全く抵抗感が有りません。
 今回は24日にジンギスカンを食べに サッポロビール園 に行きました。個人的見解として「羊のしゃぶしゃぶには白酒」ですが「ジンギスカンにはサッポロビール」だと思います。事実ビール園のケッセルホールでジンギスカンと生ビールを食べましたが、「ジンギスカンはこんな上手い食べ物なんだ」「サッポロクラシックは世界一上手い生ビールだ」と言う位の感激でした。東京に帰ってからもジンギスカンを食べたくてジンギスカンの店に行きましたが、やはりサッポロビール園とは味が違います(両方とも)。正直言って今でも「サッポロビール園にジンギスカンを食べに行くだけでも札幌観光の意義は有る」と思っています。

 又ジンギスカンに並ぶ札幌の名物食べ物の、味噌ラーメンに関しては私は東京でも目が無く今回の札幌旅行では「すすきの ラーメン横丁 に突撃だ」と思っていました。(「すすきの」と言えば歓楽街と言うよりラーメン横丁と言うイメージが強かった位です)
 その為25日の夜は「夜のラーメン梯子ツアー」に打って出ました。札幌にはラーメン=ラーメン横丁だけでなく他にも純連等の有名店は多数あります。今回は携帯で 超ラーメンナビ を見ながら有名店を探して梯子をしてみました。

 [19]ラーメン横丁                     [20]「ひぐま」のラーメン(ラーメン横丁) 
        

 [21]「五丈原」の味噌ラーメン               [22]「味噌ラーメン専門店 欅」の味噌ラーメン
    

 上記3軒とも非常に上手いラーメン屋でした。やはり東京で食べる純連やむつみ屋と言うような北海道のラーメン店の出店の味噌ラーメンとは本場は違います。自他共に認めるラーメン通の私としては、その味を楽しめただけで「札幌まで来た意義は有る」と言う事が出来ます。
 今や観光の点からしてもグルメ(特にラーメン)は馬鹿には出来ません。「うまいラーメン屋が多く有る」だけで十分に観光地になりえます(その象徴は喜多方とも言えます)。その様な点から考えると、やはり観光は都市や景色の美しさだけでは無く、「上手い物食べる事に意義が有る」と言うグルメの点も非常に重要で有ると言えます。

 (6)札幌・函館の観光名所を回って
 
 今回の旅行で流石に「交通&グルメ」ツアーだけでなく、札幌・函館の観光地も有名所は一通り見学してきました。
今回は北海道旅行には時期の良い9月後半で、しかも3連休だったので非常に観光客が多く道内の何処の観光地も賑やかでしたが、交通・グルメだけに偏らない本当に意味での北海道観光も満喫する事が出来ました。
 此処に写真を乗せる場所は「北海道旅行の定番中の定番」ですが、此処まで色々書いて定番所を没にするのも勿体無いので、(解説が要らないほどの有名どころばかりなので)写真だけ掲載したいと思います。
 
 [23]函館山からの函館夜景                [24]大通公園とテレビ塔
    

 [25]羊ヶ丘展望台のクラーク像              [26]赤レンガ庁舎
    

 今回一連の此処でのコメントには何時も以上に「私の主観」が入った内容です。人には好き嫌いが有るので個人の嗜好を強要は出来ませんが、私にとって札幌は都市的にも観光地的にも魅力の有る都市で有る事は間違い有りません。
 しかし本州とは明らかに地理的要件・気象条件・歴史的背景等が違う地域であり、それが北海道に都市・交通等にも本州とは一味違う物を作り出しています。でも此れが非常に重要な事です。
 今「日本経済は踊り場を脱した」と大騒ぎしていますが、正直言ってその様な状況なのは東京・名古屋等の一部の大都会だけでしょう。北海道を含む地方経済は苦しい状況であると聞いています。しかし東京の真似事をしていては地方は活性化されません。地方はそれぞれの個性を発揮して「他とは違う土地」をアピールし「他とは違う産業」を発展させる事が重要です。北海道にはその能力が有ると言えます。その様な各種の北海道の魅力を今回の旅行で実感できたのが今回の旅行の最大の収穫で有ると思います。





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