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「格差・労働問題」で考えなければならない事とは?



TAKA  2007年07月21日





 ☆ 富裕層への課税強化は海外逃避につながる?

 Tom様のコメントの骨子は「富裕層の課税強化は海外逃避を招き、その為に税収がゼロになる分マイナスである」と言う事であると思いますが、正しくその通りだと思います。
 特に今の富裕層は「利に聡い」側面が強く、日本での生活・活動が不利だと思えば躊躇無く海外に逃避するでしょう。(あの村上ファンドの様に・・・)
 その点を考慮して、税収全体の増減と言う財政上の問題をあわせて考えれば、海外逃避で税収がゼロになる分富裕層への増税は税収効果からもマイナスですし、「日本に貧者しか居なくなる」と言う点でもマイナスです。
 しかしエル・アルコン様の言われる様な「税による富の再配分」を中心に考えれば、「皆に均等に負担の掛かる」間接税は貧者への負担を増す事になり好ましい事ではなく、富の再配分をする為には、富裕層への課税強化は避けられないと思います。
 この中で如何にバランスを取るか?此処が一番難しい所でしょう。私的には「税による富の再配分」は必要と考えます。しかし「海外逃避を招く事は避けたい」と言う点で、誰を保護するか?となると、一番国内に囲い込みたいのは「外貨を稼げる国際競争力の有る企業」です。その点から考えれば、法人税増税は絶対NGですし、その様な企業の国内での消費を支えるのは「中産階級」ですから、一部の富裕層に課税強化をしても、国内消費の根幹で国際競争力の有る企業を労働力で支える「中産階級」とその下のレベルを支えた方が、全体を見て好ましいと考えます。
 私は(懲罰的増税は論外だが)有る程度の富裕層の増税は仕方ないですし、それで富裕層が海外逃避をしても致し方ないと思います。それで「海外競争力の有る企業」と「中産階級・労働者階級」を守れれば、其れの方が全体的に見て効果は高いと思います。
 本来なら富裕層・企業に増税を行わず中産階級・労働者階級の底上げだけで富の不平等を無くせればベストですが、その様な「魔法の施策」が無い以上誰かに負担を求める施策になるのは致し方ないと考えます。
 只「富裕層への課税強化」で税収的に得られる物は限定的であり、多数の人々の生活・医療・年金等支える事で富の再配分を図る事はナカナカ難しいと言えます。そうなった時「最後の手段」として「全国民に負担を掛ける」形になるが消費税の値上げを考慮しなければならない状況になる可能性が有ると私は考えます。


 ☆果たして「賃金問題」「富の不平等」を解決する答えは一つなのか?

 果たしてこの問題の答えは一つなのでしょうか?既にこのフォーラムでの議論だけでも既に色々な施策や意見が出ています。
 私は答えは一つではないですし、正直言って答えは複数存在すると思います。又どれが正しいかはその施策を作用して実施してその結果を見てから過去を振り返り「あの時のあの施策は正しかったor間違えていた」と評価するしかないと言えます。
 過去にも引用した記憶が有りますが、昔の逸話でイギリス首相チャーチルが「私が大蔵大臣の時に10人の経済学者に諮問をしたら11の答えが返ってきた。一人だけ2つの答えをした人間が居る、それがケインズだった」と言う話が有ります。私は経済の話をする時に時々引用する話ですが、この話は正しく経済を考える時の真理で有ると思います。
 このことから考えても今回の話「答えは一つ」でない事は明白ですし、いろいろな事象が絡み合い経済が動いている事から考えて今回の様に「税による富の再配分」を提示(エル・アルコン様)→「富裕層に対する課税強化」を主張(TAKA)→「富裕層の海外逃避を危惧」を指摘(Tom様)と言う流れを辿り議論が進められる事は正しいと言えます。
 その様な紆余曲折の議論の中で話を進め議論を収斂させて行くのが好ましいスタイルと言えるでしょう。


 ☆その様な施策の決断の方向を示す機会は直ぐ其処に来ている?

 経済学的な議論であれば、その様に「1つの事象に対する複数の施策が並び立つ」と言うケインズの様な答えで良いと言えます。しかし1つの事象に2つの施策を行う訳には行きません。その2つの施策の内好ましい施策を選ぶ決断をして実施しなければなりません。其処で誰が決断するのか?それは先ほどの逸話で経済政策を諮問した大蔵大臣チャーチル要は政治家と言う事になります。
 政治家は国の舵取りをするのが仕事ですから、当然経済の施策に関しても決断し実行をする義務が有ります。
 只政治家とて「無限の信認」を受けて居るわけでは有りません。政治家は「選挙」にて国民の信認を受けた上でその国民の要望・要求に従い国民の幸福が最大になる様に施策を選択・決断し実施をしなければなりません。
 その「信認」を我々国民がする機会、要は選挙が間近に迫っています。今は年金問題と中越沖地震に隠れてしまい「格差問題」「労働問題」には目が行かなくなってしまっています。しかし本来なら此処で政治家は政策と言う形で施策を提示し国民は好ましい政策を提示した政治家を信認しなければなりません。そうしなければ今後「格差・労働問題」に関しての意思表示をする機会を「年の単位」で失うことになります。
 その事も又私達は真剣に考えなければならないのでは無いでしょうか?




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