このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
アスパラ物語(豊糠の四季)
冬の朝陽が木に張り付いた氷を照らし、きらきらと輝きます。
道路のガードロープの柱の中で伸びた笹の葉も雪の帽子をかぶっています。
木も草も山も、春の訪れを待ちながら静かに息づいています。
北の春は一個連隊でやってきます。
梅も桜もコブシもライラックも一気に花開くのです。
お寝坊のアスパラ君たちは、まだ土の中で眠っています。
日本百名山のひとつになっている、日高山脈、幌尻岳は真っ白ですが、里はもう春です。
写真は荷負本村からの眺望です。
四方を山に囲まれた標高230mの静かな小さな村、豊糠です。
きれいな空気、空いっぱいの星・・・ 貴重な財産をたくさん持っています。
幌尻岳を一番近くから見られるスポットが豊糠にあります。
近すぎて一部しか見れません。登山口に一番近い村なのです。
平らになっていたアスパラ畑は土が盛られ(培土)、ゴールデンウィーク前後から収穫が
始まります。気温が低いと伸びないため、写真のようなお散歩状態になります。
一級品と呼ばれる、太くて真っ白で真っ直ぐなエリートのアスパラ君たちです。
「甘くてシャキシャキしていてほんとに美味しいね」という声が全国から届きます。
土の中に長いノミを入れてカットして出てくるのは、十人十色、百人百様、千差万別の
アスパラ君たちです。土の中にいれば色白さん、土から体を出してお日様を浴びれば
色緑君になります。ホワイトとグリーン、元は同じでございます。
同じ頃、野山は山菜のオンパレードとなります。ウド君もふきちゃんも登場します。
三つ葉、スドケ、アイヌねぎ、タラの芽、よもぎ、ワラビ・・ 豊糠は山菜の宝庫です。
6月中旬、可憐な鈴蘭が花を咲かせます。
豊糠から車で5分、宿主別の鈴蘭群生地は日本一の規模を誇っています。
朝4時過ぎからアスパラ収穫におおわらわの私たちは、一番近くに住んでいながら
なかなか見に行けません。
アスパラの収穫は7月上旬で終わります。
盛られていた土が崩され、翌年に向けての世話が始まります。
夏や秋の豊糠の行事に欠かせないのがヤマベのから揚げです。
釣りたてを揚げて「おいしいね〜」といいながらみんなで頂きます。
9月に入ると、「優作」と呼ばれる太くて甘くてジューシーなとうもろこしの収穫が始まります。
やがて10月、山も里も赤・黄・緑・・・絵の具を撒き散らしたような紅葉に染まります。
サイレージ(牛さんたちの冬のご飯)を作り終わる頃にはもう、冬の足音が聞こえ始めます。
こ〜んなお行儀の良い人参様も土の中からお目見えします。
キンちゃんも人参様に合せて気取っております。
アスパラ君たちはというと・・・ 収穫が終わった後はすくすく自由に伸びて太陽をたっぷり
受けて、来年のために土の中に栄養を蓄えています。
忘年会、お正月・・・ 人間さまも農繁期に備えて栄養を蓄えるのでございます。
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