このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

昨今の経済情勢や2014年4月の増税で色々な物の値段が上がっていますが、鉄道模型でもそうだと思います。 家計のやりくりを考えると趣味に使うお金も削らなければなりませんが、楽しみ故に使いたくなるのも事実です。 そんな状況を手助けしてくれるかもしれない…その一つがジャンク品の利用だと私は考えます。

ジャンク品については鉄道模型雑誌でも過去に何度か取り上げられていますが、ここでは私の観点から記していきます。 当然ながら人には人の見方がありますので、価値観を押し付けるつもりは毛頭ありません。 また買うより買わない方が安いのは言うまでもないです。 ジャンク品の購入は「一種の賭け」です。 内容を鵜呑みにせず、考えて購入するようにして下さい。

また、ジャンク品を手にする前に自分の腕前を確認してください。少なくとも手持ちの車両は工具類を使って分解と再組み立てができないと話になりません。 特にライトパーツの複雑な先頭車や、機構の複雑な動力車でそれができない場合には購入を止めるべきです。 またインレタやシールの貼り付け、アンテナや避雷器の取り付け、カプラーや台車の換装が未経験の場合も勧めません。 ただしジャンク車両で練習しようと言うケースでは購入を奨励します。

鉄道模型におけるジャンク品とは

様々なジャンク品。
たいていは1両ずつ袋詰めされているが(写真左、KATO製221系)、数両がセットでパッケージングされていることもある(写真中央、TOMIX製381系「スーパーくろしお」)。
時にはセットのジャンク品なんてのもあるが(写真右、KATO製253系)、どこかに必ず難がある。
上の場合、221系は車輪汚れと車体帯一部かすれでケースなし、381系はケースなしでクロは信号炎管破損、253系は付属品なし(なぜか説明書は同梱)でライト不調という状況。
221系はリストア、381系は現行品に近づける改良、253系は1000番台への改造の予定がある。

以下は説明するための私的な分類です。なお組み立てキットは自分で作りますので、このページでは省略します。
なおこのページでは車両として一連のパーツが組になっているものをジャンク品と呼んでいるため、パーツのみというものは扱いません。

メーカー完成品
店売り品。流通している店ならどこでも買える。
基本的に出荷前にチェックはされており、さらに販売店でチェックされてたり、購入時にチェックできたりする。
極一部の商品を除いてハズレなし。レシート持参で保証が効くことがある。
値段は定価〜その3割引が主流。早期予約でさらに割引になったり、販売店のポイントシステムでさらに安くなったりすることも。
特製完成品
特定の店舗でのみ販売しているもの。販売店で独自のアレンジやパーツ交換が実施されている。
その店のみでの販売のため、ハズレ無し。動作確認済のため不良品はまずありえない。
加工賃が含まれるため、値段は高めのことが多い。
セットのばらし品もここに含まれよう。
特価品
流通品ではあるが、長期在庫だったり軽微なエラー(ケースの変色やインサート欠落など)がそのままだったりするもの。
車両自体に問題があることは少ない。出るタイミングは店によって異なるので予想不能。
欲しいものが店舗のブログなどで告知されている場合はかなり狙い目。場合によっては新品が中古以下の値段で保証付きで買える。
ただし支払いが現金のみなどということもあるので、注意書きは必ず読むべし。
アウトレット品は…ここでいいんじゃないかな。
店舗中古品
お店が買い取って、それを販売しているもの。
お店で買い取り時にチェックをしているので基本的に動作は問題無いことが多い。
アンテナなどの付属品の取り付け、シールやインレタの貼り付け、及びそれらの残りなどで値段が変わってくる。
基本セットと増結セットが組になってることも。ロット違いが混ざることは少ない。
店によっては車輪などの清掃をしていない場合もある。
これは「買取品をできるだけそのまま客に出す」のか「買取品を商品として客に出す」のかお店によって考え方が違うため。
上のは前者になる。不親切に思うかもしれないが、下手に清掃して価値が下がると店の儲けが少なくなるので、あえてそうしているのだろう。
購入時のチェックはほぼ確実に行えるし、買う側も行うべきである。初期不良の保証はなかったりあっても短かったりするので要確認。
個人中古品
お店にスペースを借りて、それを販売しているもの。委託品とも言う。
上の中古品と同等のものやキットの組み立て品、改造品も含まれる。
個人で値段が付けられるため、レア物だとべらぼうな高値が付いていることがある。
一時期のKATO885系かもめやTOMIXの207系旧塗装、MicroACEの213系5000番台など(個人調べ)。
模型店での委託品はチェックができるが、フィギュア等他のおもちゃ類と共用のレンタルスペースではチェックができないことが多いので注意。
短期なら保証が効くこともあるが稀だろう。購入店に確認しよう。
たま〜に違うロットのものが混ざっていることがある。
ネットオークションでの販売もこれに近いだろう。もちろん保証はないが。
ジャンク品
無保証ゆえに安価。パーツの欠損やシール貼り付けは当たり前、先頭車でもライトが付かなかったり動力車でも動かなかったりする場合もざら。
軽度なところではケースが無い、あっても汚れてたり破損してたりする、説明書やインサートがないなど。
塗装の剥げ、煙草のニオイ、窓ガラスの割れ、車輪の汚れ、部分的色差し、サードパーティ製シール・デカール類の貼り付け、カプラー換装なんてのもある。
今までで一番酷かったのはボディ傷多め+パーツ部分欠損+車内に虫の死骸というシロモノ。
1両単位で包装されていることが多く、お店でのチェックは不可。
例外的に数両セットでしかもケースに入っている場合には確認させてもらえることもあるが本当に稀。
製造時期や製作会社が異なる同型車が混ざっていることもあり、判別にはそれなりの知識が必要。
特に103系はメインの4社がほぼそれぞれの規格で製作しており、難易度は高めかも。
例えばTOMIXは現在のHigh Gradeと以前の一般品、KATOは一般品とライトの付かないタイプ(現在のKOKUDENシリーズ)、GREENMAXは完成品の他に個人のキット製作品が混ざる可能性があり、さらにMICROACEも出している。

ただそれを飲み込めばかなりのお買い得品になりうる。
自分でリペアしたり、手持ちの破損部品の提供元にしたりという修復はもちろん、改造用の種車にも十分なりえる。
中にはアタリとも言えるようなパーツ・シール付きの新品も混ざることも。
基本的にそのままでは難があるものがほとんどで、解体したりばらして組みかえたりと手を加えることが前提となる。

最近買ったものの分類

JR北海道DD51北斗星色(TOMIX)
完成品。お店でチェックはしなかったが、付属品やライト・動力などに問題はなかった。再生産は2013年10月頃、購入は2014年2月頃。

 ↑欲しかった品且つ定期的な再生産が行われている物なので、増税前に慌てずに購入しました。
京阪800系(MicroACE)
完成品。お店でチェックをしてもよかったが、混んでたのでパスした。帰宅してからのチェックで問題点は皆無。
生産が2014年10月頃、購入は同年11月。東京でも品切れの店が多く、はしごして漸く手に入れた。

 ↑発売直後は多忙で買えず、気が付いたら多くの店で売り切れている状況でした。
  MicroACEの製品は人気の車種以外の再生産は望めないので、買い逃したらアウトなのです。
営団500系(KATO)
特価品。半額を切っていた。外箱(緑色の紙製のアレ)がないがためにこの値段だったんだろう。
値段が値段だけに不安もあり、察した店員さんがその場でチェックしてくれた。再生産は2013年9月頃、購入は2014年1月頃。

 ↑初生産時は売り切れで買えませんでしたが、めでたく再生産がアナウンスされて当時は一安心しました。
  他の写真には写っている外箱は本当に無かったです。
東武30000系(GREENMAX)
店舗中古品。新品はあまりにも高価で躊躇し、且つ中古では出にくい品物。たまたま安売りフェアで出ていた際に購入。
動力や付属品も完備。2006年ロットと書いてあったのでそうなのだろう。2014年11月購入。

 ↑中古で出るのを狙っていた品。上部にも写っているようにシールや説明書などの付属品は未使用品が完璧に揃っていました。
  初めての車種は付属品完備の新品が望ましいのですが、これは値段故に断念していました。
国鉄157系特急こだま(MicroACE)
店舗中古品。増結用車両と割り切ったので購入時の動作確認は未実施。シールは元からなく、付属品やボディも完璧。
ただ外箱やケースはかなり汚れていた。表示価格からさらに3割引だったので7000円で9両買っている計算になる。
帰宅後のチェックで動力・ライトとも問題なし。初生産は2010年3月、購入は2014年7月のJNMA。

 ↑JNMAの会場での購入故、動作チェックはできない状況でした。しかしジャンク品と考えれば相当なお値打ち価格でもありました。
  上の京阪800系の外箱と比べると、なんとなく茶色っぽいのが伝わるかもしれません。
JR西日本221系(KATO)
個別包装のジャンク品。先頭車2種(クハ・クモハ)を購入。
台車にヨーダンパが付いていない時点でかなり前のロットということが分かった。クモハのパンタグラフも板ばねが見える古い仕様。
そのうち買うだろうと思って中間車だけ買っていたので、今回のでようやく編成になる。
帰宅後、パーツの破損やカプラーの異常がないことを確認。ライトも点灯し、ただ単にセットばらし品と同一であると判断。
…が手持ちの中間車はKATOカプラーA(ジャンパ線付)、対する今回の2両はKATOカプラーNでそのままでは連結できないことも判明。
以前の中間車も含め、しばらく保留車に。ジャンク故に生産時期は不明、購入は2014年4月。

 ↑左2両が今回購入品で、右2両が以前の購入品。このクモハ(左から2両目)と右2両のカプラーが異なり、このままでは連結できません。
  ページ冒頭の221系とは別物で、それ以降に購入したものと合わせてようやく編成が組めるようになりました。
国鉄381系100番台(TOMIX)
珍しいセットのジャンク品。ケース入りだったからか、申し出たら購入前にチェックさせてもらえた。
インレタ・シール・説明書などの付属品は未使用、ケースなどもきれい。
動力は若干不調、先頭車は2両中2両ともライト不灯。品番は92732なので割と最近のロット。
TOMIX製381系は大量に所持しているため、部品などの使い回しになると思い購入。税抜きで7000円くらい。
帰宅後のチェックでライト基板のダイオードが2両とも破裂しているのが判明、それによりシートが一部焦げてた。
近年の再生産は2009年頃と見られるが正確には不明、購入は2014年3月。

 ↑付いているはずの特急シンボルマークもありません。店員さんからも状態をきちんと確認してから買ってくれと言われました。
 ↑→右側の電球の奥の2つめの黒い塊がダイオードで、右側のひっくり返った車内に茶色く焦げた部分があるのが分かるでしょうか?
JR西日本207系1000番台(TOMIX)
私が探していた、2005年以前の青帯時代(旧塗装)の207系。事故の影響で再販はもはやあり得ず、中古も高騰している。
付属品なども無い単品袋詰めではあるが、これを逃すと買う機会は無いと思い意を決して購入。
少なくとも6両合わせて販売当時の値段くらいでは買えたはず。
車体汚れはなくライト・動力とも良好。カプラーやパンタグラフの破損もなく、ケースがないだけの品だったのだろう。
最後の生産は2004年頃と推測されるが正確な時期は不明、購入は2014年12月。

 ↑興奮した状態でチェックしたので変な写真しかありませんでした。行き先パーツは「普通 西明石」がセットされていました。

どんな時にジャンク品を買うのか?

私に限っての話であると改めて断りを入れておきますが、

と言ったところでしょうか。

実際にジャンク品を買ってみる

それでは実際のジャンク品を見てみることにする。
今回用意したのはTOMIX製381系100番台のクハ381-116だ。秋葉原の中古屋さんで見つけたものである。
私がどんな点に着目しつつ購入に至ったかを記しておくが、参考程度というレベルで読んで頂きたい。

お店で見た印象は次の通り。

  • ボディは至ってきれい。車番とJNRマーク付き。塗装の剥げや色差しの跡などは見られない。
  • クハなのでカプラーは連結面側のみ台車マウントのアーノルドカプラーが付属。
  • ヘッドマークシールは付けた形跡はなく、愛称幕からは透明パーツが見えている。
  • 屋根にはクーラーやパンタグラフが元々付いてない無いので、付属品の欠けというものはないだろう。
  • 車輪も汚れはほとんどなく、糸くずが絡まっているような状態でもない。
  • 床板を見るにボディマウントTNカプラー用の窪みが見られないので、1992年より前に登場した製品ではないかと想像。

シンプルな個別包装で、税込1944円なので税抜は1800円(消費税8%)。 数年前に購入した0番台の新品のクハは3000円くらいしたので、中古価格とすると少し高めになるだろうか。 しかし単品の100番台クハの新規発売は望めないし当時あったかも分からないので、こんなもんなのかもしれない。

ここからは持っている知識が必要になる。 この頃のTOMIXのこだま色はクリーム色の色が暗いことが知られている。近くにあったKATO製のキハ80や183系、MicroACE製の157系と比べても明らかだった。 つまり手持ちの最新ロットにそのまま混ぜると変なことになるということだ。 私の場合、剥がしてから再塗装をするつもりであったから、クリーム色は問題にならない。 先頭車なのでライトが点灯するのであろうが、ジャンク品ゆえチェックはできないのでそこは諦めよう。いや、自分でLEDを使って点灯化させるのも良いだろう。 そう考えて購入することにした。 現金で2000円払おうとしたら1割引になった。200円に満たない額だが得には変わりない。

さて帰宅してからの開封だ。透明なポリエチレンの袋をセロハンテープで止めただけの簡易包装なので、カッターでザクザクとテープを切っていく。 保存用のケース等が手元の在庫にないが…あとでどうにかしよう。 お店で見た通り目立った傷などは無く、見た目の状態は良好。 特急シンボルマークは付いているが、良く見ると切り方が雑でバリが残っていた。 別段接着剤で固定した訳ではなさそうなので、修正は容易いだろう。 運転席のガラスパーツが外れかかっていたが、押しこめば大丈夫だった。

意外だったのはJNRマークで、メタリックインレタを転写したような輝いたものだった。 おそらくくろま屋かジオマトリックス・デザイナーズ・インクのインレタを用いたのだろう。 ケースがないのとインレタ転写で中古からジャンクに格下げを食らったと見られる。


この状態で通電チェック。ヘッドライト・テールライト・愛称幕ともに点灯。全く問題ない。 転がり抵抗が若干大きいのが気になるところだろうか。

そして台車固定ねじを外しての解体。 すると、シャーシが湾曲しているのがわかった。GREENMAXの板状キットに引けを取らない曲がりっぷりだ。 無理矢理ネジで固定されていたのが一気に解放されたのかと思うと、反動で折れるのが怖いところだ。 シャーシに合わせてシートも少し湾曲しているようだが、これは許容範囲内だろう。 窓ガラスパーツに欠けは無く、点灯ユニットも正常。 床板の反りとインレタ転写という状態を考えるとやや高めの値段設定ではないだろうか。

手元の古いカタログやインターネットの検索を利用して製品の調査。 すると品番2336にクハ381-100というのがあった。価格は5%の消費税込みで2835円とすると2700円か。1800円というジャンク価格はやはり高かったようだ。 その製品は平成13年にリニューアルされた際に廃版になったようである。クハ381-0のみ単独で販売の現在の形式になったのもその時で、クリーム色が改善されたのも同時期だろう。

今回の購入品は可もなく不可もない、当たり障りのないものであった。いつもこうとは限らないだろう。

全然参考にはならないが、手元にあるジャンクのクハ381-0を並べてみた。 背景が緑色のカッター板だからか同じに見えるかもしれないが、実際には上で述べたとおりクリーム色に違いがある。 床板も実車は0番台と100番台で異なるのだが、車端部のボディマウントTNカプラー取り付け用の切り欠き以外は同一だった。

最後に

ジャンク品には夢と絶望が混ざっています。注意して購入すればこれほどコストパフォーマンスの良いものはないと思います。
しかし冒頭でも述べたように「一種の賭け」であり、さらには買わないほうが安いのも事実です。
「安物買いの銭失い」にならないように、そうなっても「禍転じて福となす」ことができれば充実したホビーライフになるのではないでしょうか。

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