このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください








 

JR名松線の旅


三重県松阪市の松阪駅と、三重県旧美杉村(現 津市)の伊勢奥津(いせおきつ)駅間43.5Kを結ぶ、

JR名松線(めいしょうせん)を旅鉄いたしました。手付かずの自然が残る素晴らしいローカル線です。

今回はその中から私の独断で選んだ5つの駅へと御案内致します。



名松線の開業は1929年。

その後増駅を重ね1960年に上ノ庄駅開業により、2007年現在の形となりました。

この「名松線」という名前は三重県名張市の「名」と三重県松阪市の「松」から取られたもので、

名張市と松阪市を繋ぐという意味で名づけられ、当初名張市までの延線計画がありました。

しかしその後名張市までの延線計画が中止。現在の伊勢奥津駅までの路線になってしまったのですが、

「名松線」の名前だけは残ってしまったのです。

そんな名松線は43.5Kという路線の長さを持ちながら快速列車や特別列車は一切なく、

上下線共各駅停車のみ約2時間に1本の割合で運行されています。

そして沿線は途中から雲出川(くもずがわ)という川に時には沿いながら、時には渡ったり離れたりしながら走っており、

そこに山の景色も加わったその車窓はまさにローカル線。そこに1両編成のディーゼルカーがゆっくりと走っています。


そんな感じの名松線は利用者も少なく、松阪駅を出発した列車は途中の「家城」駅以降は乗客もまばら。

だから過去には廃線の話もあり、1982年三重県を襲った台風により全線不通になり、

それがきっかけとなったと言ってもいいかの如く、廃止の申請が提出されました。

しかし熱心な反対運動により話は見送られ、約一年後には全線復旧。

そして沿線周辺の道が整備されていない事などから、

1985年には廃止対象から除外され、廃止承認申請が取り下げられたのです。



路線は以下の通りです





あいにくの天気の中2007年7月21日の旅は、上記の駅の内

松阪

伊勢奥津

伊勢鎌倉

比津

家城

の順に5駅訪問いたしました。今回の旅は松阪駅から始まります。

なおJTB時刻表に掲載通りの方角で上記の路線表は表記しておりますので

(東から西に行く鉄道なので・・・)左から右に表記させて頂きました。見づらくてすいません。




それでは、ネット上でのJR名松線の旅の始まりです。



松阪-まつさか-


今回の旅のスタート駅の松阪駅の外観。

三重県内の地方都市の雰囲気そのままの立派な駅舎です。

この松阪駅はJRと近鉄が共存している駅で、

駅コンコースではまるで睨み合うかのように

近鉄の案内所とJRのみどりの窓口が

向かい合って存在しています。

JR松阪駅の謎

松阪駅の駅名標。

JR東海の駅名標のカラーはオレンジで、

所在地の地名が入っているのが特徴。

朝から旅鉄を始めて約5時間。

ここでこの日の初めての食事の立ち食いうどんです。

ここでは松阪という土地柄らしく、「松阪牛うどん」を注文。

本当に松阪牛なのか?といういささかの不安もありましたが、

朝から何も食べていなかった私は

ずっと口がうどんモードになっていたので、

鬼のようにかっ込みました。

実はこの松阪に到着したのは午前10時過ぎ。

立ち食いうどん屋が開いたのは10時45分。

開くまで松阪の街を歩いておりました。

実は今回松阪駅周辺の画像が無いんです。

撮ったと思っていたんですが・・・すいません。

晩飯用に買った松阪牛をふんだんに使った駅弁、

「モー太郎弁当」です。中味は後ほど・・・。

名松線のホームに入ってきました。

ホームにある大内山牛乳の自販機。地元の牧場だそうです。

名松線のホームにある名松線の時刻表。

上下線ともほぼ一日2時間に1本で運転されています。

ローカル線としては本数は少なくはないですが、

決して多いとは言えませんし、

快速列車などもありません。

名松線を走るのはワンマンカーのキハ11。

クリーム色の車体が無骨な感じがして中々味があります。

なおこのキハ11は松阪〜亀山方面の紀勢本線等でも走っており、

この松阪駅のホームにある普通列車はほぼこれでした。

列車内の様子。ボックスと横シートがある辺りはバスのような感じです。

因みに今回乗り込んだ時に運転手から

「すいませんが若干遅れておりますので・・・」

と言われました。

実はこの運転手の方、

若くて爽やかな好青年といった感じの運転手だったのですが、

この運転手さんはまた後に登場し、

個人的に今回の旅の中で

いい感じの「出演者」となってくれてます。



それではそろそろ伊勢奥津(いせおきつ)行き発車いたします。

まずは終点・伊勢奥津まで乗っていきますので、道中の車窓を御覧下さい



松阪〜家城駅間の車窓。 まだそれなりに民家が見えており、

沿線を流れる雲出(くもず)川に沿って走る区間が多いです。


すいません。この辺の道中はごちゃ混ぜで、画像の表示は多分進行方向通りじゃありません。

というわけで松阪〜家城駅間の車両先頭からの車窓です。 これだけでも素晴らしいローカル線の景色だと思いますが、

家城駅を過ぎた辺りから民家は集落と呼べるような雰囲気になっていき、

徐々にローカル線としての本領発揮と言わんばかりに山の中へ向かって行きます。



ここが家城(いえき)駅。先頭車両から撮影しました。

この駅は名松線の区間内の唯一の2線ホームの駅で、駅長さんもいらっしゃいます。

後ほどこの駅には訪問いたしますので、詳しくはその時に紹介しますが、

この駅でいわゆる「沿線の利用者」の方は全員降りていってしまいました。



おそらくこれが家城駅を過ぎてからの車窓。

沿線を流れる雲出(くもず)川に時には沿ったり、時には渡ったり・・・

そして川から離れたかと思えば山へ山へと勾配をゆっくりと上がり、

そしてまた川が現れたり・・・と実に変化の富んだ車窓を見る事が出来ます。



こちらは終点、伊勢奥津駅の一つ手前の駅「比津」駅過ぎの先頭からの車窓。

山間部を越えて列車は終点へと向かいます。



まもなく終点、伊勢奥津〜伊勢奥津でございます。

伊勢奥津到着動画
伊勢奥津-いせおきつ-


まずは終点、伊勢奥津駅に到着しました。

山と集落に囲まれた単線の小さくてとても静かな駅です。

終着駅の雰囲気はあり過ぎるぐらいあります。

伊勢奥津駅の駅名標。斜めからの画像ですいませんが

この駅はホームが割と狭いので仕方なくこうなってしまいました。

駅の所在地が三重県津市になっていますが、元々は三重県美杉村です。

駅周辺の雰囲気からして

「美杉村」の方が個人的には良かったな〜。

小さなこだわりかもしれませんけど・・・。

駅ホームから見た画像です。

この駅の線路が切れた少し後ろの方には

機関車が走っていた時代の給水塔が残っています。

駅舎は後ほど紹介します。まずは駅舎入り口からの風景です。

それなりに集落があるのですが人気は全くありませんでした。

途中「生協」の車が1台走りましたが

この場所で商売しているのかどうか・・・。

伊勢奥津駅周辺の町並みはこんな感じで

どこか昭和な雰囲気が漂った懐かしい匂いのする町です。

相変わらず人気はありません。

そしてこのような暖簾が掛かっている所が

何軒かあるのです。

しかしやはり人気は感じられません。

ここなんか普通の民家です。

しかしこんな感じで暖簾が掛かっているのです。

京都の丹後ちりめんを思い出します。

ここは酒造所なんですが、やはりこんな感じで暖簾があります。

地酒の1本でもあれば買っていったのですが、やはり人気なし。

気の小さい私は「すいませ〜ん」と言う勇気さえありませんでした

駅に戻ってきてこれが伊勢奥津駅の駅舎。

ログハウス風の新しい感じのするこの駅舎は、

2005年に建て替えられました。

「古い駅舎の方が良かった」と言う方もいらっしゃるようですが、

私的には立て替えられるのはとてもいい事だと思います。

だって廃線話も出たような路線なのに

駅舎が建て替えられるという事は、

まだまだこの駅は生きている証拠だと思いますので・・・。

上記の画像右にある駅入口。

この扉を開ければ待合室です。

虫だらけでした。

そしてこの駅は地域住民センターや、

津市の出張所となっているようです。という事は

平日などは津市の職員が役所業務を行っているんでしょうか?

それとこの辺りを歩いていると松阪駅から共に乗ってきて

車両先頭部分を共に占拠していた初老のてっちゃんと目が合い、

その方が一言「何もないね〜」と言っておられました。

確かに民家はあるが「何もない」という表現が合っています。

その後少しその方と話しましたが広島から来られたとの事。

こういうのがあるから鉄旅は楽しいのです。

駅前にあるバスの時刻表。バスに乗るのも一日仕事です。

下に「インターネット・・・」とか書かれていますが、

こういう所で見ると何か不思議な感じがしました。

こちらは駅前にある観光名所案内なのですが、

殆どが3キロ以上行かなければ行けないみたいで、

駅前と表現するには中々厳しい状況です。

字の部分がところどころ見えなくなっていますが、

凄く変な虫がとまっていました。

この虫は頭の部分がカマキリみたいで、

胴体部分にセミのような羽がついていて

実はこの虫は今回巡った名松線の各駅で必ずおりました。

この看板の下には「乗って残そう名松線」の文字が・・・

全国のローカル線の例に漏れず、やはり名松線は苦しいのです。

この駅の最初の方でも駅ホームからの画像として紹介した

機関車の給水塔の駅外からの画像。

こういう給水塔が残っている駅は全国に何駅かあるようですが、

この錆び具合と古さは最たるモノだと思います。

そしてこの給水塔の脚の部分には・・・

御覧のような川柳がありました。

「平成16年」と書かれていたので、

そんなに古くはないようです。

駅から松阪方面に歩いてきたところにある

遮断機のない踏切です。

画像右に建っている黒いものは何とセンサー。

ここに歩いてくると女性の声で

「危ない〜」といった警告メッセージが流れます。

録音したのですが行方不明になってしまいました。

そしてその踏切から見た

伊勢奥津駅に停車中の列車。

山間と小さな集落に囲まれた単線の駅には

こういう1両編成のディーゼルカーが似合います。

今度は逆に松阪方面。

どこへ連れて行ってくれるのか・・・そんな思いに駆られます。

駅舎の中へと戻ってきました。

ローカル線の終着駅らしく駅ノートがありました。

見てみると伊勢奥津駅に関する事と言うより、

名松線自体への事を綴った内容の方が多かった気がします。

私は今回18きっぷで来ましたが、

「普通運賃で来るのもいいですね」と書かれていた方もおられました。

各地から来られた多くの方が、私も含め

この名松線の魅力に惹かれたようで、

御覧のようにノートが既に沢山あります。

鉄道旅でしか出会えない、ちょっと嬉しい瞬間です。

伊勢奥津駅の待合室にある

伊勢奥津駅発の時刻表。

ほぼ2時間に1本ですが時刻を見てみると、

平日用と土・日用に分ける必要がないですね。

そろそろ発車時間です。約45分ほど休憩の後折り返します。

エンジンを止めて休憩していた列車も既に発車準備は万端です。

実はこの駅で降りた方は私を含め全員、この折り返しの列車に乗りました。

要するに降りたのは約6〜7人の鉄のみ。

そんなてっちゃん御一行を乗せた列車は定刻通り発車し、

山間の小さな集落のみの何もない駅「伊勢奥津」駅を発車しました



それでは列車は伊勢奥津から3駅目の「伊勢鎌倉」へと向かいます。

てっちゃん御一行とは「伊勢鎌倉」でお別れです。

そして広島から来られていた初老の方ともお別れです。

伊勢奥津〜比津間。

緑に囲まれローカル線の雰囲気はバッチリです。

 
 

間もなく伊勢鎌倉〜伊勢鎌倉でございます。

 
 

伊勢鎌倉-いせかまくら-


周りを緑で囲まれた伊勢鎌倉駅へ到着しました。

これはホームから見た松阪方面なんですが、

私が思うにこの伊勢鎌倉駅は、

名松線の駅の中でも一番の秘境駅だと思います。

駅周辺には3軒民家があったのですが、全て廃屋になっていました。

そしてこの駅で降りたのは私だけ。駅や駅周辺には誰もいませんし、

廃屋以外何もありません。

聞こえるのは鳥や虫の音と、近くを流れる雲出川の流れる音だけ。

こんな静かな駅の利用者は一日何人、

いや、そもそも利用者がいるのかさえ疑問です。

そしてこちらはホームから見た伊勢奥津方面。

線路の向こう側に集落が見えますが駅からは遠そうですので、

この駅を利用しているとは思えません。

伊勢鎌倉 駅の駅名標。

「三重県 津市」に張り替えられていますが、

ここも旧美杉村だったと思われます。駅周辺は○○市という感じはしません。

余談ですが隣りの伊勢奥津方面の「伊勢八知(いせやち)」駅には

この沿線で最大の(・・・っていうか唯一の)観光施設

「火の谷温泉 美杉リゾート」という巨大な施設があって、

そこは名松線の車窓からも見えるのですが

施設の周りが集落と山ばかりで、どうも浮いている感じに見えます。

そして名松線の観光誘致施設として期待されているのですが、

見たところ来る人の殆どが車。残念ながらあまり効果がありません。

伊勢鎌倉駅には駅舎はなく、この小さな待合室のみ。

単線のホームにはこういうのが似合います。

駅ホームへの入り口付近にある集札箱。

名松線はワンマン運転で列車内で運賃を払い下車しますので、

もはや必要ありません。

ひょっとしたらこの中には

かつての硬券の切符なんかが入っているかもしれません。

何せ回収されているような感じもしませんし。

駅出口から。この駅へと続く一本道で、

この道以外この駅へ来る方法はありません。

そして↑の道を歩いていけば

御覧のような車道へと出ます。

これは駅からの道を歩いて車道に出てから左を向いた景色なんですが、

この駅の滞在中車が通る事は一度もありませんでした。

勿論人や動物も見ませんでした。

そしてこれは駅からの道を歩いて、車道を出て左に歩いて行き、

車道左に見えた名松線の橋梁。

結構真近でこれは撮影すると迫力がありそうですが、

列車に間に合わなくなるので断念しました。

↑と似たような画像ですが、川を大きめに入れました。

これも撮影したらいい感じになりそうです。

名松線はこの雲出川と共に歩んでいると言ってもいいですね。

今度は逆に駅からの道を歩いて、車道を出て右に歩いて行き、

車道右に見える名松線の橋梁。

山、川、橋梁・・・これら全てがあいまって素晴らしい景色です。

これに列車が加わればもう言う事ありません。

↑の画像の位置からもう少し車道を歩いて来た所からの名松線の橋梁。

↑の画像は川を渡っていましたが、これは山間を貫いている橋梁です。

山間と線路の風景が素晴らしく、まさにローカル線。

駅へと戻りますが、

これは駅前の3軒ある廃屋の内、最も不気味な感じのした廃屋。

「不法投棄禁止」の警察署のナイロンテープが貼られていましたが、

確かにそんな感じの事がありそうな雰囲気です。

家屋の中も見えており、いわゆる「廃墟」の状態。

夜には絶対見たくない光景です。

駅へと続く一本道。

個人的にこの光景は凄く好きです。

「秘境駅へと続く道」という感じが凄くします。

↑の道を歩いて駅ホームへの入口。

この小さな階段を上がって、

ホームから見えるのは・・・

見渡す限りの美しい新緑。

この日は雨で頂上付近にモヤが掛かっていましたが、

それもまた幻想的です。

そしてこのホームから見てみると、

先ほどまでは誰もいなかったのですが、

前の田んぼで農作業をしておられる男性が

一人いらっしゃいました。

伊勢鎌倉駅の位置が高いのか

凄く小さく見えました。この駅で見た唯一の方です。

もう少し時間があるので、

駅の待合室の中を見てみます。

これはおそらく傘立てだと思われます。

傘は返されていないようです。

「いつまでも愛し 育てよう名松線」と思うならば

返して欲しいですね。 

伊勢鎌倉駅の時刻表。

松阪方面の朝2本の列車は

せめてもの通勤の為でしょうか。

そして秘境駅らしく駅ノートがあります。読んでみると

この駅のホームからの埋め尽くすかのような

新緑の景色に魅了された方が沢山いらっしゃるようです。

確かに目の前に広がる景色は言葉も出ない程の素晴らしさ。

そしてこの駅の持つ寂しさ、静けさに

何もないけど素晴らしい魅力に満ちている・・・「伊勢鎌倉」はそんな名松線の秘境駅です。

ホームの松阪方面寄りの方に立って

橋梁を撮影しました。

この後はまた伊勢奥津方面の列車に乗って行くのですが、

この間から列車が走ってくるのを想像すると、

走ってくると言うより、

山の中を「来てくれる」という気分になります。そして・・・

山間部を列車は走ってきてくれます。

それではこの素晴らしい秘境駅、

伊勢鎌倉駅をあとにします。

「また来よう・・・」そう思いながら・・・



それでは伊勢奥津行きの列車に乗り、

終点の伊勢奥津駅の一つ手前の駅、「比津(ひつ)」へと向かいます。

 
 

伊勢鎌倉駅から伊勢奥津行きの列車に乗り、

伊勢鎌倉駅出発後すぐの鉄橋。車両先頭から撮影しました。

雲出川を渡る鉄橋は名松線全線でいくつも存在し、素晴らしい車窓を見せてくれます。

 
 

間もなく比津〜比津でございます。

 
 

比津-ひつ-


山間の集落に囲まれた、終点の伊勢奥津駅の一つ手前の比津駅へと到着しました。

特徴としてはホームが結構狭めで、駅の前後が山間である為、

列車がいきなりやって来るという感じがして、それが魅力でもあります。

比津駅の駅名標。

ここも三重県津市に張り替えられた跡があります。

ホームから見た伊勢奥津方面。

終着駅へと続く鉄路ですが、

山間を抜けていく感じがこの様子だけで感じる事ができます

この駅ではまずは駅の外に出てみます。

という訳で駅入り口からの景色。

駅前には民家が数軒ほどありますが人は全く見ませんでした、

この駅への道はこれしかありません。

比津駅の周辺。

いかにも田舎の風景な感じの

集落があります。

比津駅から松阪方面にある踏切。

それなりの広さがある為か、遮断機はきちんとあります。

そして今度は駅外から見た駅へと続く道。

名松線の線路と民家に挟まれた道を歩いて行くのですが、

果たして1日にどれだけの方が利用しているのでしょうか。

もしこの辺の方で、

夢を追い都会へ出て行く方がいらっしゃるならば、

この道は凄くいい感じのロケーションだと思います。

駅の入口にかなり近くなりましたが、

この駅前の民家の方の車があったり、

生活の香りのするものがあったりするので、

考えようによってはまるで人の家の敷地内を

歩いていくような気分になります。

そしてこれが駅入口です。

フェンスが1枚取られた様な感じで、この入口以外はありません。

そしてホームに入ればこの駅最大の魅力の・・・

待合所があります。ローカル線のノスタルジーさが見事に残っています。

個人的にこの比津駅は「ローカル線の駅のたたずまい」という意味では

名松線の中では一番だと思います。

待合室の中もこんな感じ。

おそらく駅開業当時から全く手が付けられていないでしょう。

あまりにこの駅のたたずまいが素晴らしかったので・・・

色んな角度から撮りまくりました。

ふと、降りてみたくなるような雰囲気が

この駅にはあります。

利用者は少なそうですが、

この集落の人達の貴重な足となっているのでしょうか。

再び待合室の中を見てみますが

伊勢鎌倉駅同様、雨に遭われた方のために傘が置いてあります。

伊勢鎌倉駅と違って、この辺は集落があるので

少しは利用者がいるようです。

比津駅の時刻表。当然2時間に1本です。

ホームから見た松阪方面。

この駅は結構ホームが狭いです。

松阪方面の列車が入ってきました。

山間の小駅には1両編成の列車が似合います。

これに乗って小さな集落にある

魅力的なたたずまいを持った比津駅をあとにしました。

また来よう・・・そう思いながら。



それでは2007年7月21日の旅は、松阪方面の列車に乗り込み

今回の旅の最後の訪問地、「家城(いえき)」へと向かいます。

 
 

間もなく家城〜家城でございます。

 
 

家城-いえき-


名松線唯一の2線の列車交換駅、

「家城」に到着しました。

この駅では今ではあまり行われる事もなくなった、

タブレット(通行標)の交換を見る事が出来ます。

家城駅の駅名標。ここも三重県津市です。

津市も合併で随分広くなったようです。

家城駅ホーム。

左が伊勢奥津方面、右が松阪方面です。

伊勢奥津方面側に駅舎及び駅出口があり、

松阪方面は渡らなければなりません

そしてその松阪方面へ渡る場所から見た伊勢奥津方面

この駅周辺は集落と言うよりは住宅地かもしれません。

そしてこちらが松阪方面。

街へと続く鉄路です。

家城駅の松阪行きホームから。

松阪〜家城間はこういう田園地帯も結構あります。

上記でも書きましたが

この駅はタブレットの交換を見る事が出来ます。

ちなみにこの方は駅長さん。

そしてこれはホームから見た家城駅駅舎。

駅舎内にはさすがに中心駅であるだけに

名松線に限らずJRの観光案内のポスター等があります。

そして名松線の歴史を綴った小冊子もあります。

駅舎内から見た家城駅の風景。

これだけ見れば何ともゆったりしたローカル線の風景に見えます。

ちなみのこの駅長さんは列車がない時でも

結構お忙しそうに動いていました。

そしてこれが家城駅の駅舎。

名松線に今まで乗って色んな駅を見てきたので、

目が慣れてしまっているせいか

旅鉄時は普通の駅に見えましたが、

今こうして見ると結構味あるな〜っと思います。そしてここで・・・

名松線の旅のスタート時に松阪駅で購入した駅弁

「モー太郎弁当」を頂きます。

この駅弁は日本発のメロディ付きの駅弁だそうで、

蓋を開けるとセンサーが感知し、

こんなメロディが・・・


ってな感じで音楽が流れます。

そしてこれが中味なんですが

凄く旨い。冷めても全く問題なし。

ただ一つ不満があるなら「量が少ない」って事です。

そしてこれが駅へと続く道。

この駅に限らずですが、

駅への一本道ってのは味がありますね。

家城駅周辺を少し歩いて、

これは家城駅と次の伊勢竹原駅との間の鉄橋。

これも列車が走ればいい感じになりそうです。

再び駅に戻ってきました。もう駅は夕暮れ時を迎えています。

松阪方面の列車が近づいています。

この列車に乗り今回の旅は終わりなのですが、

この列車で今回の旅の最初に乗った時に出会った

爽やか好青年の運転手と再会。

車両先頭に座った私に「そろそろお帰りですか?」と聞かれたので

「はい、充分堪能しました」と答えるとまたもや爽やかな笑顔で

「そうですか」とおっしゃっておられました。

旅はもう終わろうとしています。



ほどなく列車は松阪駅へと到着し、名松線の旅を終えました。

そして松阪駅で降りようとしたらまたもや爽やか好青年の運転手の方に

「ありがとうございました」と言われまして、その後少し話したのですが、

その話の中で「いや〜実は名松線今日初めてだったんですよ〜」と、これまた爽やかな笑顔で話しておられました。

そして名松線のホームを後にしようとした時も爽やか笑顔で見送っていただきました。

どうやら名松線の素晴らしさは、路線そのものや車窓だけではないようです。

 
 

〜編集後記〜


今回は三重県の超ローカル線と言っていいJR名松線の旅を紹介しましたが如何でしたでしょうか。

この名松線はホントに利用者も少なくそれがローカル線の風情を醸し出している部分もあるのですが、

松阪駅からしばらく並行に走る自動車道を帰りの列車の中から見ていると

「あ〜この道が少しでも広くなれば鉄道は無用になってしまうのかな〜」とかついつい考えてしまいました。

今回何度も登場する雲出川や山間部を走る名松線の車窓はホントに素晴らしく

「特定区間だけでもトロッコ列車とか走ったらいいのにな〜」とか思いましたが、

新幹線や特急列車などのいわゆる「速いモノ」に熱心なJR東海が、

こんな小さなローカル線に投資なんかしてくれないんだろな〜って思います。

それと冒頭でも書かせて頂きましたがこの名松線は本当は松阪〜名張を結ぶ予定だったのが、計画が中止になってしまいました。

松阪も名張も近鉄電車が走るいわば三重県内の主要都市。他力本願ではありますが、

もし予定通りに松阪と名張が繋がって、名松線に快速列車でも走っていれば、

ひょっとしたらもう少し利用者がいたのでは・・・と思うと計画が中止になった事がとても残念です。

名松線の今後は気になるところですが、名松線の素晴らしさは今回だけでは正直伝えきれていないと思っているので、

また乗りに行こうと思います。そしてよろしければ是非乗りに行ってみてほしいですし、

それが無理ならネットや本などでもいいので触れてみて下さい。

きっとそこには現代人が普段感じる事の出来ない全く違う空気が流れているハズです。




作者 比津駅ホームにて



それでは最後に伊勢鎌倉へ入線するキハ11の動画を御覧頂き、ネット上のJR名松線から下車したいと思います。

長旅お疲れ様でした。毎度ご乗車ありがとうございました

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