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「修行の旅」 12月19日(日)もや





なんの疑いも無く晴れを信じて6時半に出発と決めていたが、まだ真っ暗な中外に出てみると
星や月は見えないので曇りと分かる。霧がかかっていて視界が利かない中近所で朝食をやっ
ているところを探すがみつからない。市街地からは遠く離れた場所ではあるが、多くの住宅も
あり食事には困らないだろうと思っていたのが大間違いだった。

前夜近くの踏切にてセンさん1人で情報収集
に行った時の中味を紹介しておこう。以前彼
がこの地を訪れた際にひどく警戒されたので
直接「蒸機はいるか」「1日何本ある?」などの
表現は避け「石炭の量はどのくらいでてい
る?」や「発電所では石炭をどのくらい使
う?」と聞きながら最終的に蒸機有りと1日3往
復程度があることが分かった。このため彼は
石炭の買付けに来たのかと思われたらしい。
線路沿いの道があるのはあとで分かったの
だが、朝飯屋を探したため大きく迂回して途
中途中で発電所の場所を訊ねながら進む。
水道管カーブ          

有料道路には「没有共産党就没有新中国」「共産党歳」といった大きなスローガンがある。発
電所のある街は平山というが、発電所の名称は西柏坡発電所である。平山からさらに北数十
キロの場所に西柏坡の街があるので大変ややこしいが中国ではよくあることだ。さて西柏坡は
共産党にとって歴史的に重要な場所で日本の侵略戦争が終結したのち国民党と最終的に政
治的決裂した会議を行ったところだそうだ。今でも党員の学習会議などが盛んらしい。

話しを本線に戻そう、鉄は線路を見なければ落ち着かないので前回行ったというサミットになっ
ている切り取り部分に行ってみる。コンパスを持って行くのを忘れ、なおかつ曇天とあって方角
がさっぱり分からないなか暫しすると汽笛が聞こえてQJ2566の単機がバックでやってきた(8:
43)。ここを単機の築堤と名付けることにしよう。この鉄路では石家庄方向(上り列車)はすべて
バック運転なのであまり撮る気が起きないが、勾配区間なので覚えておいて損は無い。当然な
がらサミットの逆側に移動しながらロケハンをしてゆくと途中何ヶ所かの小さい線路際の丘が
あり使えそうだったので粘ってみると、QJ6586が15両の石炭貨車を引いてきた(10:05)。

 10時を過ぎているのにまだ暗く160の4.5である。正面勝ちなので速度が遅いため問題無し、
但し一面のモヤのため視界が悪くて近くの山さえも良く見えない。さらに石家庄方面に進むと
横に水道管?が5本くらい線路に沿って敷設してあるカーブに出た。ここは水道管カーブとす
る。アウト側からの方が収まりが良さそうだったので14時までに来なければ移動開始と決め畑
の丘でまた粘ってみるが、煙は見えなかった。仕方なくロケハンをしようとクルマを動かしたとこ
ろ煙を現認する、「まあこんなもんだよね」とポツリと言うとセンさんが「撮らなくていいのか!」と
すごい勢いで舗装道路の踏切まで飛ばす。バタバタと走りだして踏切小屋の脇からまたも正面
写真を撮ってしまった。QJ6764の引く貨物はさっきと違い今度は編成が長いなと数えながらい
ると約60両の後部にQJ2566が後押ししていた(14:09)。

 良い場所で撮れなかったのは悔しい思いをしたが、そこは割り切ってPP運転があるのが分
かったことでよしとして、発電所からの返しがあると踏んで単機の築堤にて待ってみると程なく
テンダーファーストのQJ2566が15両の貨車を引いてきた(15:11)。2000番台だが6軸テンダー
に振り替えられていてシチサンあるいは正面から撮ったのでは黒い壁のようにしか見えないの
で横から狙ってみた。この頃になると幾分視界も回復し露出もフルあったのがわずかの救いだ
った。これ以上待ってもおそらく2時間は列車が来ないと判断して16時9分に現場を離れた。


 午後単機の築堤にて         

次の目的地はようやく河南省に入り湯陰である。北京からは700キロ近くあり石家庄でワンクッ
ションおくのが正解と思われるが無理すれば行けない距離ではない。石太高速の平山I.Cを16:
31にのって19:40京深高速湯陰I.Cで降りると3〜4キロほどで市街地となり、まずは国鉄駅で聞
き込みをすると蒸機没有、混合は時変して早くなっているという情報を得る。「細かい話しは地
方鉄路で聞け」ともっともな話である。踏切及び折返段?の労働者の話しを総合すると、今年5
月で蒸機は無くなった、解体して鉄屑になって石家庄に売られたとのこと。もしかしたら残って
るかも?と思っていただけにがっかりしながら白酒抜きの夕食をささっと済ませた。

 21:58再び湯陰インターから京深高速で栄陽(当て字Xing-Yang)に向かった。栄陽にはC2が
石積みのアーチ橋を走る光景が代表的な河南省建材廠がある。ここでは24時間の運行体制
ときいているので宿の真下が線路という好ロケーションの伊鴻賓館に泊まることにする。汽笛
でも聞きながらきっといい夢が見られそうだなと思ったのもつかの間で、フロントでお湯が出る
か確認し「没問題!」と言われてシャワーの蛇口をひねるもいつまでたってもお湯無し、オマケ
に暖房無しで1時過ぎに床に着いたものの寒くてなかなか寝つかれなかった。 


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