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本家の「鉄道」を凌ぐ「駅弁」の人気の凄さとは?
−京王百貨店「元祖有名駅弁と美味い物大会」の人気を見て−
TAKA 2007年01月14日
「駅弁」と言えば旅の楽しみの一つであり、鉄道列車内での気軽な食事として1885年に宇都宮駅で売り出されて以来今や日本全国何処の駅でも売っていて、外国のような食堂車による飲食サービスがほぼ全滅してしまった日本で、交通手段内での食事手段として大いに普及していて、近年では鉄道内の「駅弁」だけで無く飛行機内で食べる「空弁」も登場するなど、今でも色々な所で出会い日本の交通のワンシーンに欠かさない物になっています。
又「駅弁」は日本各地で売られている為、駅弁が発達するにつけて駅弁に地元の食材を取り入れたり地元の名産品を弁当にする様に成り、交通機関での食事と言うだけでなく手軽に味わえる「地元の名産品」と言う位置付けまで獲得して、「鉄道」と言う交通機関の食事と言う本来の意味から飛び出して観光品的な要素まで入る様になっています。
その駅弁を日本全国廻らないで一箇所で手に入れることが出来る「駅弁フェア」はデパートなどで「地方の名産品展」と並ぶ「人気のイベント」となっています。今回偶々デパートの「駅弁フェア」に顔を出したので、「交通論」からは多少はみ出していますが、今や鉄道の駅を飛び出してしまい色々なシーンで生活に入り込んでいる「駅弁」について見てみたいと思います。
「参考HP」・
駅弁屋のホームページ
((財)日本鉄道構内営業中央会) ・
京王百貨店新宿店HP
・
駅弁
(wikipedia)
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今回訪れたのは新宿の「京王百貨店」です。京王百貨店といえば京王グループの経営する「電鉄系百貨店」で元々(高島屋新宿店進出前)は高島屋の資本も入っていた百貨店で、新宿地区では売り場面積的には伊勢丹・小田急に比べて狭いですが、箱型の建物で買いやすく便利な駅の上のターミナル百貨店と言う事で一定の存在感が有ります。
しかし東京人のイメージとしては良く言えば「庶民派百貨店」チョット悪く言うと「おばさん達の百貨店」と言うイメージが有ります。元々は高島屋新宿店進出時に生き残る為のマーケット戦略として「新・大衆百貨店」と言うコンセプトを打ち出した事がこの様なイメージを持たせてしまう事になっていますが、現実には他百貨店に比べて「絶妙な差別化」に成功し「新宿百貨店戦争の勝ち組」とも言われています。
左:新宿西口京王百貨店 右:「元祖有名駅弁と美味い物大会」の催事場
その京王百貨店で「全国区のイベント」として有名なのが「駅弁大会」です。京王百貨店の新年恒例のイベントですが本年も200以上の駅弁が出店して今や「駅弁界の甲子園」と言われるほどの有名催事となっています。
今回偶々13日の土曜日に新宿西口駅前で朝用事があり、その後時間が有り「どうしようかな?」と色々考えていたのですが、京王百貨店に「元祖有名駅弁と美味い物大会」の垂れ幕がでていたので、今まで行った事が無かったので「交通の世界での飲食で有る駅弁が世間でどれだけ受け入れられているのか見てみよう」と言う冷かしの気持ちで寄ってみる事にしました。
京王百貨店新宿店の催事場は7階南半分が催事場になっています。約40,000㎡8階+地階建ての京王百貨店ですから、大体1フロア4,500㎡程度の半分ぐらいが催事場になっていますが、オープンチョット過ぎの10時半頃に行ったら店の中は普通の状況ですが、7階催事場だけは「ラッシュ顔負け」の状況になっています。流石に全国区のイベントだけ有ります。その大混雑の「弁当大会」でしたが、気合で全会場を廻り幾つかの駅弁を買ってきました。その中で交通と絡めながら気になった駅弁を取り上げて見ます。
・駅弁でローカル線の知名度は上がるのか?
最初に気になったのは「頑張れローカル線」と言うコーナーです。前から有ったイベントだった様ですが、今回は「会津鉄道」の駅弁と沿線名産品が紹介されていました。会津鉄道と言うと私も「
AIZUマウントエクスプレス鬼怒川温泉直通記念訪問記
」を書いたりしており、過去に何回か訪問していて縁も有る路線です。
実際名産品も多く観光資源も多い路線で有り、加えて赤字で輸送密度1000人以下と言う典型的な「赤字で苦しむ赤字第三セクターローカル線」です。その活性化・維持に為に色々な方策が行われていますが、この「駅弁の甲子園」でのアピールは地域を含めたローカル線の宣伝と言う意味でも大きな意味が有ります。
左:「頑張れローカル線」のコーナーのソースカツ丼売り場 中:煮込みソースカツ丼(ラップ) 右:煮込みソースカツ丼(中)
「頑張れローカル線」のコーナーで「会津鉄道・会津田島駅」の駅弁として取り上げられていたのは「煮込みソースカツ丼」です。会津田島は過去に下車したことが有りその時には蕎麦を食べたのですが、蕎麦は販売品のコーナーで売っていました。しかし会津田島で「煮込みソースカツ丼」が駅弁として有名で有ったとは思いませんでした。
しかし良く見てみると「煮込みソースカツ丼」を売っている「なかじま」は会津若松市内に有る店です。良く調べてみると実際には会津田島では「
松茸二段弁当
」が有名なようです。しかし味と会津での知名度と東京での珍しさで、イベントとして「煮込みソースカツ丼」が作られたのではないかと推察します。
けれども「煮込みソースカツ丼」は食べて見て美味しく「会津にもこの様な名品が有ったのだ」と私にも思わせてもらい、非常に良いイメージを与えてくれました。又この「頑張れローカル線」のブースには私が買った時にも行列が出来ており、多くの人がこの弁当を買っていき駅弁を通して「会津鉄道」を認識して言ったと思います。
経営が苦しい赤字ローカル線にしてみれば、如何なる方法でもアピールが出来て一人でも観光客が来てくれれば大きなプラスになります。今回の「駅弁大会」での「頑張れローカル線」と言うローカル線を取り上げてのイベントでのアピールは大きなプラスになります。その点で言えば「駅弁の知名度」が上手く使われればローカル線の存在のアピールにプラスになることも有ると言えます。ローカル線が廃止され駅が無くなれば駅弁は売れません。その点を絡めてローカル線を活性化するのに上手く駅弁を使う方策を考えるのも一つの方策で有ると思います。
・何と「沖縄」にも「駅弁」が有ったとは!?
もう一つ驚いたのは「沖縄モノレール壺川駅前」の弁当として売っていた「海人がつくる壺川駅前弁当」です。沖縄自体は「鉄道が走っているのか?」と先ず思いたくなる所です。沖縄自体には2003年8月にモノレールの「
ゆいレール
」が開業したので、鉄道とちょっとイメージが違えども一応「駅」が有るので良く考えてみれば「駅弁」が有っても可笑しくは有りません。只「ゆいレール」自体はモノレールでありモノレールに駅弁と言うのもしっくり来ない物が有るので確かに違和感を感じます。
実際この「海人がつくる壺川駅前弁当」は壺川駅から徒歩約5分の那覇市沿岸漁業協同組合 鮮魚直売店「さかな」で売っている弁当で、流石にゆいレールの壺川駅では売っていない為に「駅弁」ではなく「駅前弁当」を名乗っているそうです。しかし中身はカジキマグロのずけ丼にモズクのてんぷら等沖縄の素材が入っていて味も良くお勧めの「駅前弁当」です。
左:ゆいレール壺川駅駅弁の売り場 中:海人がつくる壺川駅前弁当(ラップ) 右:海人がつくる壺川駅前弁当(中)
しかし此処で感じたのは「駅弁」と言う名前の偉大さです。私的には「わざわざ駅弁にしなくても普通の弁当にして売れば良いじゃないか?」とは感じるのですが、やはり「駅弁」とつけるとイメージが変るのかもしれません。有る意味「本土での販売対策」として「駅弁」と言う名前をつけたのかもしれませんが、それで「駅前弁当」と言う名前を付けたら沖縄から東京の新宿まで来て弁当が売れるのですからその名前の威力は大きいと言えます。
確かに我々の生活の中で「弁当」自体は色々な所で氾濫していて、「弁当」その物を食べる事は別に珍しくは有りません。しかし「駅弁」となると明らかに違うイメージを感じます。「地域の素材を織り込んでいる弁当だからみんなが憧れる」と言う事だけでは無い「何か」が駅弁には有るからこそ「駅弁大会」と言うイベントが成立するのでしょうし、モノレールの駅にまで「駅弁」が出来るのでしょう。その駅弁の存在の大きさと駅弁が沖縄にまで進出している事に今回改めて驚かされました。
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今回初めて「駅弁大会」に行ってきましたが、改めて感じたのは「駅弁」の威力です。京王百貨店には朝から行列が出来ていましたし会場はラッシュ並みの混雑でした。鉄道がらみのイベントで此れだけの集客力が有るイベントは他にはないでしょう。
我々も実際に鉄道で旅行に出ると、車内で食事を探す時に地元の駅弁で良いのは無いか?と探します。そういう点で言えば「駅弁でのグルメ」は一般化していると言えますし、今や其処から進んでグルメの一環としての「駅弁食べ歩き」が成立しているとも言えます。だからこそ駅弁を集めた「駅弁大会」が成立するのです。
その様に考えると、「交通」の事業の側面からも「駅弁」と言うのは無視できないのではないか?と言えます。交通事業者としても地元の飲食店と組んで駅弁を売れば直接的にもマージンが取れますし、人気が出て駅弁目的の観光客でも集まってくれれば、其処まで交通事業者の交通機関に乗って来てくれますから、地域の活性化にも交通機関の活性化にも役立つ可能性も有ると言えます。
しかも今回の「駅弁大会」で会場を見たり、京王百貨店の
駅弁大会のサイト
で
06年の人気ベスト10
を見てみると比較的「海産物の駅弁」に人気が有ると同時に北海道等の地方の駅弁に人気が集中している事が分かります。此処から考えると「地方の特産を生かして人気の弁当を作る」と言う事は十分可能で有ると思います。
地方交通と沿線地域の活性化と言う側面からも、そのツールとして「駅弁」を活用する余地は十分に有るとまたそれだけの「駅弁需要」は都会を中心に有るのでは無いか?と今回の駅弁大会に行って見て感じました。後はこの駅弁人気を地方のローカル線と沿線地域の活性化に結びつけるか?です。今や地方ローカル線活性化は如何なる方法を使っても必要なことです。地方ローカル線に「税金投入」をする前に活性化の手段として「駅弁グルメ」を生かす方法を考えてみるべきだと考えるのは私だけでしょうか?
☆ (おまけ)今回食べてお勧めだった弁当
左:(発売40周年記念)越前かにめし(福井駅) 右:ふくめし(小倉駅)
今回京王百貨店の「駅弁大会」に行って、色々な種類の弁当が売られていたのですが、その日の昼飯だけでなく家族の夕食用を兼ねて私の独断と偏見で8種類位の駅弁を購入しました。その弁当は色々シェアしながら家族総出で弁当全種類を食べてしまいました。
その中でも家族の評判が良かったのが、本文で紹介した「煮込みソースカツ丼」「海人がつくる壺川駅前弁当」の他に上記2つの写真である「越前かにめし」「ふくめし」でした。「越前かにめし」は越前かにめし40周年記念と言う事で作られた限定品であり、「ふくめし」も今回の駅弁大会の特製バージョンとの事でした。これらの弁当は普通の人たちに人気の有る「かに」「ふく」が入っている為に人気も高かったのですが、人気に違わず食べて見て味も非常に良かったと言えます。
実際には駅で今大会用の限定品は普通の時期では売っていないのでしょうが、それでも限定品でなくてもこの味が維持されているのであれば、食べてみる価値は有ると思います。皆さんも機会が有れば試して見て下さい。
※1月20日:一部写真差し替え
今日も駅弁大会に買いに行ったので、写真を再撮影して入替えてみました。(壺川駅前弁当のみ終了の為再撮影できず)
少し良いデジカメで取ったので、美味しそうに見えて駅弁の美味しさの真実が伝わるでしょうか?
※「
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