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「高速道路乗用車休日何処まで乗っても1,000円以下」は本当に効果有るのか?

−「生活対策」−国民の経済対策−に有る高速道路料金値下げの効果を考える−



TAKA  2008年11月07日



「高速道路乗用車休日何処まで乗っても1,000円以下」になったら一体どうなるのか?@3連休で大根雑の関越道




 ☆ ま え が き

 今世界経済は未曾有の困難に直面しています。アメリカのサブプライムショックに起因して、今年9月のリーマンブラザーズの破綻以降は株価も急落し、今や世界全体が「1929年の大恐慌を越えるスーパー大恐慌」の崖っぷちに立って居る事は間違い有りません。
 しかもリーマンブラザーズの破綻やベアースターンズ・AIGなどの経営危機・公的資金注入等の金融危機の状況から一歩進み、アメリカを中心に世界中の実体経済にも減速傾向が鮮明になり、日本の1997年に発生した金融危機⇒長期間の景気低迷という「失われた10年」と似た状況が全世界的規模で発生しています。
 この様な状況下、今世界中の国で「金融機関への公的資金注入による金融秩序安定」への動きだけでなく、「経済全体への活性化施策を行う事で実体経済の悪化を食い止める」実体経済対策を行う国も増えてきました。日本もその内の一つです。

 日本では、アメリカのサブプライムショック以降の不動産市場収縮・その連鎖による建設業への破綻波及や原油価格高騰などを受けて8月に総合経済対策を発表したのに加えて、9月にアメリカで起きた金融危機とその余波による実体経済悪化を受けて10月30日に追加の経済対策「生活対策」が打たれるなど、今や(選挙対策も絡みながら)政府が経済活性化策による実体経済の悪化防止に躍起になっています。
 その「何でもやる」といっても過言ではない政府の追加経済対策「生活対策」の中で、「バラマキ」とも非難される程色々な経済活性化政策が行われて居ますが、その中で交通系における経済対策として「高速道路料金の大幅値下げ」が提示されています。
 元々「高速道路料金」問題については、民主党が2003年のマニュフェストで「 高速道路無料化 」を打ち出したのが始まりです。その後ずっと民主党が主張して来た政策ですが、此の頃は「来るべき次の総選挙に向けて劣勢の状況に形振り構っていられない」自民党が民主党の政策を半分拝借して「高速道路の値下げ施策」を積極的に打つようになっています。

 今年は日本の自動車交通を取り巻く環境は、特にコストの面で大きく変動しています。4月には「ガソリン税暫定税率期限切れ」問題でガソリン価格が大幅に乱高下し、その後は原油価格急上昇・暴落に伴いガソリン価格が乱高下し一時はハイオクガソリンが200円になるほど高騰し、今は高速道路の「政策的価格値下げ」が行われようとして居ます。
 その様な日本の自動車交通を取り巻く環境の激変の中で、「高速道路値下げ」がどのような効果をもたらすのでしょうか。今回は「経済効果」の側面を中心に考えたいと思います。

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 ● 参考HP、資料  ・ 首相官邸HP  ・ 麻生内閣総理大臣記者会見 新しい経済対策「生活対策」  ・ 「生活対策」−国民の経済対策の概要−
            ・Yahooニュース「 総合経済対策・追加経済対策 」 ・ 自由民主党HP  ・ 民主党HP  ・  政府の追加経済対策について (野党三党共同談話)
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 ☆ 政府の『新しい経済対策「生活対策」』の概要

 平成20年10月30日に、麻生内閣総理大臣が記者会見をして発表した追加経済対策『新しい経済対策「生活対策」』の概要は下記の通りです。
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 ◆定額減税等(給付金方式 2兆円) ◆介護・子育て(子育て応援特別手当・妊婦健診の無料化 等) ◆雇用(雇用保険料を大幅引下げ・雇用対策 等) ◆住宅ローン減税
 ◆電気・ガス料金の引上げ幅圧縮・平準化の要請 ◆資金繰り対策(信用保証・政府系金融機関融資 等) ◆税制対策(中小企業法人税引下げ 等)
 ◆高速道路料金引き下げ(「休日はどこまで行っても1,000円」、「平日昼間も3割引」)
 ※詳細は発表されて居ないが報道では「 一般ドライバー対象に東京、大阪の大都市圏を除いた高速道路料金を土・日・祝日は原則1000円で乗り放題、燃料高騰に苦しむ運送業者向けに平日を3割引 」と報道されて居る。
 ◆道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に ◆「地域活性化交付金」で、きめ細かな地域のインフラ整備
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 この「追加経済対策」に関しては、麻生内閣総理大臣が記者会見で発表したのはあくまで「概要」に過ぎません。実際の所この追加経済対策自体、二次補正予算の提出時期は「臨時国会中に出すか出さないかというのを、今の段階で決めているわけではない」という状況であり、解散風の吹き方次第では如何なるか分からないものです。
 又 実際「最大の目玉」とも「最大の愚策」とも言われる「2兆円の給付金」も、いまになって「やれ所得制限だの、給付方法だの」と言う詳細が殆ど決まって居ないで、執筆段階では二転三転している状況です。それはここでの本題で有る「高速道路料金大幅値下げ」に関しても、「大型車・事業者を如何するのか?」等詳細が決まって居ない状況です。(此処では一部報道に有る「一般ドライバー対象に東京、大阪の大都市圏を除いた高速道路料金を土・日・祝日は原則1000円で乗り放題、燃料高騰に苦しむ運送業者向けに平日を3割引」という内容で実施される事を前提に話を進めます。)

 高速道路料金の一部割引については、政権与党が野党民主党の「高速道路無料化」の政策を意識して居るのか? 平成20年8月29日発表・10月16日補正予算成立の「 安心実現のための緊急総合対策 」でも、平日深夜割引の拡充・平日夜間割引の拡大・休日昼間割引導入を柱とする「 高速道路料金値下げ 」を実施しており、今回更なる割引が実施される事となります。
 これらの一連の施策により、ETC搭載車は東京・大阪圏を除く地方の高速道路ではかなりの場合格安の料金で利用する事が出来るようになります。この「実質的な期間限定の高速道路料金値下げ」はどの様な効果・影響をもたらすのでしょうか?以下ではそれについて考えて見たいと思います。


 ☆ 高速道路料金引き下げの経済効果を考える①(肯定的見方) -高速料金値下げは流動を活性化させ経済を活性化させる?-

 今回の「追加経済対策」で、首都圏・大阪圏を除いて「普通車の高速道路料金1000円以下」が実施された場合、どのような事が起きるでしょうか?
 先ず発生するのは、「普通の人達の車による流動が増える事」が容易に予想出来ます。特に業務目的以外の観光等の流動が増える事が予想出来ます。私も「車での業務利用」が多いですが、業務利用の場合「利用しなければならない」と思えば高速道路料金の関係無く利用します。そう言う意味では業務系の車利用に対しては「原価低減」の効果は有りますが、「価格が下がったから移動のトリップ数が増える」と言う事はそんなに多いとは思えません氏、「原価低減」は企業収益を改善する効果は有りますがその効果は社内に蓄積され、誘発的に新規需要を発生させる事は少ないといえます。
 しかし「高速道路料金値下げ」による一般客の観光需要を誘発出来る効果はかなり大きいと言えます。今回の追加経済対策により「青森〜大津間」「鹿児島〜姫路間」「厚木〜大津間」等の長距離区間でも「片道1,000円」で済むようになります。実際の所「青森・鹿児島から大阪まで」車で観光に来る人は少ないでしょう。只大都市圏からチョット遠めの地方まで観光に出掛ける様な観光流動は、高速道路料金が1,000円に値下げされる事で大きく増える事が予想されます。実際の所(統計資料は持って居ませんが)車利用の観光は今年のガソリン価格値上げで減った事は間違い無いと思います。その価格上昇による減少分以上の大幅な増加が「休日高速道路料金1,000円」で見込めると思います。
 観光流動の増加は、地方に大きな波及効果をもたらす事は確実です。観光客は直接観光に費やすお金だけでなく買い物・食事・宿泊等のサービスを消費する事で大きな経済効果を期待出来ます。これらの消費の誘発は「(ケインズ経済学でいう) 乗数効果 」を引き起こすでしょう。この効果は無視できません。「高速道路値下げ」のインパクトの大きさ・「観光産業」の裾野の広さから考えて、かなりの乗数効果が望めると考えられます。
 そういう意味で、高速道路の料金低下により「順調に観光流動・需要を創出できれば」その経済効果は大きい物が有ると考えられます。


 ☆ 高速道路料金引き下げの経済効果を考える②(否定的見方) -高速料金低下は交通集中を招き効果を減らすし、環境的にもマイナス?-

 確かに休日における普通車の高速道路料金大幅値下げは、大きな観光需要を創出し疲弊して居る地方に、観光客の増加という形で大きな経済効果をもたらすと言えます。しかしそんなに上手く経済効果は上がるのでしょうか?そんなに上手くは行かないという意見も有ります。
 何故ならば、確かに「高速道路値下げ⇒観光需要大幅増」という流れは正しいが、その観光需要大幅増加による高速道路通過流動の大幅な増加に対して、肝心要の高速道路がそれだけの流動増加に耐えられるのか?という問題があります。要は休日の高速道路料金の値下げが高速道路の激しい交通渋滞を引き起こすという事です。
 実際今でも3連休など土曜日・休日が続くと、首都圏・大阪圏の高速道路は観光地へ向かう人・観光地から帰る人で数十キロの大渋滞を引き起こします。実際トップの写真は連休の渋滞ですが、私も今年の秋の連休は10月12日の日曜日に高速バスで東京〜会津若松往復・自家用車で11月1日国立〜新潟・2日に新潟〜練馬を移動して居ますが、どの時にも10km〜30km以上の交通集中による渋滞に巻き込まれました。もし高速道路料金が大幅に値下げされれば、非常に大きな交通集中によりこの位では済まない程の大渋滞が発生する事は容易に想像出来ます。

 その様な大規模な交通渋滞が発生した場合、果たして本当に考える程の経済効果が起きるのでしょうか?非常に難しいと思います。最初は確かに間違い無く「高速道路料金1,000円以下」に釣られて多くの人が家を出るでしょう。しかし一体どれだけの大渋滞が発生するか分かりません。その大渋滞に巻き込まれた場合、一体本当に観光地に辿り着けるのか?分かりません。観光客は観光地に辿り着いて有る程度の時間滞在してくれないと、観光地にお金を落としてくれません。そうなってしまうと幾ら高速道路料金を値下げしても、高速道路の渋滞に苛まれて、高速道路値下げに投入された税金に見合う経済効果は期待出来なくなります。
 まして経済効果が期待出来ないだけならいざ知らず、それ以上に渋滞によって「高速道路値下げによる誘発需要」以外の貨物輸送・業務利用にまで大幅な時間遅延等の損害を与える事になり、それも時間損出を中心に大幅な損出になります。又大幅な渋滞の発生は燃料が無駄に使われる事になりますし、それにより環境の悪化も懸念されます。
 この様な状況では「期待された経済効果が発揮できず」しかも「渋滞によって大きな経済的損失や環境破壊を引き起こす」可能性まで懸念されます。もしこの予測が当るならば、高速道路値下げという経済政策は大失敗という事になります。


 ☆ では「高速道路料金引き下げ」という経済活性化策は正しいのか?

 この様に「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という追加経済対策による経済活性化策について、「肯定的未方」「否定的見方」の二つの見方を考えて見ました。この見方は、11月1日〜2日に新潟で開かれた バスマップサミット の交流会の中で、私の廻りで話していた時に出た見方です。
 今回はその時の話の内容を基に二つの見方を書きました。では「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という施策への「肯定的未方」「否定的見方」どちらが正しいのでしょうか?

 基本的に経済政策を考えるに当り、招来を見渡して効果を考える事は「予測」の範疇に入るものです。「予測」ですから正直言って「100%正解」という答えを出す事は預言者以外は不可能で有るといえます。その考え方から言えば、「肯定的見解」「否定的見解」両方に正しい点と間違っている点両方とも存在していて、実際の所は今まで此処までインパクトの有る高速道路料金施策は行われていなかった事から、前例が無いので「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という政策が実際に行われて、その後事後としての検証を行わないと、本当の意味での「政策の効果」という物は判定出来ないのが実状です。
 だからこそ、有名な経済学者J.M.ケインズについて「10人の経済学者に経済政策を諮問したら11個の答えが帰ってきた」「(ケインズに聞いたら)経済の状況は常に可変だから複数の経済政策を考えるのが正しい」という逸話が有るように、経済政策には常識的な政策では「行う前から正しい政策」は無いし「行う前から間違えて居る政策」が無いのが正しい見方です。
 しかし、それで話を終わらせては此処までの話が何にもなりません。なのでその様な「経済政策の現実」を踏まえて、敢えて「私の個人的考え」として、「高速道路料金値下げ」政策について、その効果に付いて考えて見たいと思います。

 私は「高速道路料金値下げ」政策、特に「休日普通車料金1,000円以下」の政策は、見込んで居ると考えられる様な「流動需要の誘発による観光産業への波及効果」はごく短期的には一部は得られても中長期的には得られないのでは?と考えます。
 何故なら高速道路の交通量処理能力という供給サイドの能力が不変の中で、いきなり大きく需要を刺激する様な政策を打つ事で爆発的に需要が増加した場合、いきなり需給関係が崩れて著しい供給不足(要は交通集中による大渋滞)が発生する事が考えられます。しかも観光のトップシーズンに関しては幹線高速道路の交通処理能力という供給量が一時的に不足しているのが現実です。其処に需要を刺激するのです。そうしたら如何なるか?市民が消費によりプラスの経済効果を発揮する観光地に到着する前の「交通インフラ」の供給不足によりプラスの経済効果は結果として発生させられない状況に陥るのでは?と考えます。
 多分渋滞に巻き込まれずに観光地に辿り着けるのは、全体のごく一部に過ぎないでしょう。しかも最初に「激しい渋滞」が発生する事を大多数の人が認識したら、「安い高速道路料金」というメリットと「渋滞に巻き込まれるリスク」を天秤に掛けて、観光に出る事を控える可能性が有ると思います。そうなると最初は一部の経済効果を得られるかもしれませんが、中長期的には「投じた税金ほどの効果が得られない」可能性も有りますし最悪は「観光需要にブレーキを掛ける」事になる可能性もあります。
 しかも今や経済対策を打っても実体経済の悪化は止められません。そうなると一般の人々の財布の紐は締められる事になり消費が減ります。その時に一番減るのが観光等の娯楽系の消費です。いくら高速道路が大幅に減ってもそれ以上に消費者心理が冷え込んだら、誰も観光に行かなくなる可能性も出てきます。そうすれば高速道路の交通処理能力という「供給サイドの問題」は無くなりますが、需要の喚起は出来なくなります。
 その様に考えると、どちらに転んでも(私は後者の「消費者心理の冷え込み」の方が可能性は高い様な気がしているが・・・)残念ながら「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という高速道路値下げの、実体経済への波及効果はあっても極めて限定的な物になり、投入された税金に見合う経済効果は期待出来ないと考えざる得ないと思います。
 それならば、(何に税金を投入するかが難しいが)高速道路料金値下げに費やす税金を、他に有効な経済対策に投入した方が、大きな経済効果を得られる可能性が高いのでは無いでしょうか?そう言う事から私は「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という高速道路料金値下げには否定的見解です。

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 ☆ (あとがきに替えて)「今しか考えない」経済対策で、今も未来も救う事が出来るのか?

 この様に今回の「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という高速道路料金値下げ政策は、値下げで短期的に観光流動需要を刺激し観光地に金を落とさせて経済波及効果を得ようとする政策で有る事は間違い有りません。
 上記で分析した通り、この経済政策が今の段階で短期的にも「限定的な効果」しか期待出来ない可能性が高く、現在の日々悪化しつつ有る実体経済の状況を救う事は出来ないと言えます。そう言う点では「高速道路料金休日普通車1,000円以下」という高速道路値下げ政策は「今の状況を救う事も限定的にしか出来ない」経済政策といえます。
 しかも、もし需要が誘発されたとして発生するのは高速道路の交通処理能力に対しての需給バランスの崩壊による激しい交通集中の渋滞であり、其処に発生するのは渋滞による環境破壊であり、大量の二酸化炭素排出による温暖化ガスの増加であり、将来の地球と日本の環境に対してマイナスの効果をもたらす可能性が有ります。そういう点では「将来を救う事が出来ない」経済政策で有るとも言えます。

 又過去の流れを振り返って、本年度の2回の経済対策で「何故高速道路料金の値下げが発案されたのか?」を推測して見れば、多分民主党の「高速道路無料化」の提案への先手を打っての対抗策として編み出された可能性が高いといえます。また2回の経済対策の高速道路値下げに「理念」が見えない事からその様に邪推されても居た仕方ないと言えます。
 今「2兆円の給付金」が「選挙目当てのバラマキだ」と非難されて居ますが、これも政策に「理念・信念」が感じられないからこそこの様な非難を受けるのです。私は2回に及ぶ「各種高速道路料金値下げ」政策にも「単純に考えた経済効果」しか考えず「理念・信念」が無い事から、同じ様な非難を受けてもしかたないと言えます。

 では如何するべきだったのでしょうか?
 確かに現下の深刻な金融危機・実体経済の悪化から考えれば、1929年のフーバー大統領の様に無為無策で過ごす訳には行きません。そういう点からはこの2回の経済対策は「この時期に打たざる得なかった」のは間違い有りません。予想外の事態が発生してしかも時間が無い状況で有る以上、有る程度「取って付けた経済政策」にならざる得ないのは仕方ないのかもしれません。そういう意味では「応急処置経済政策」として「とにかく何でも思い立った効果が有りそうな政策は行う」という姿勢で今回の「高速道路料金休日普通車1,000円以下」等の高速料金絵下げ政策を打ち出したのは、消極的でも「危機感の表れ」として評価しなければならないのかもしれません。
 けれども、INFの予測では「来年度は日米欧何れもマイナス成長」という見通しが発表される状況で、何れ「第三弾の緊急経済政策」を打たなければならない状況が、来年上半期に訪れる可能性が日本だけ出なくアメリカ・欧州でも高いといえます。
 来年1月にはアメリカにオバマ新大統領が就任します。今は政治空白の状況下でレイムダックのブッシュ大統領が金融危機への対処療法しか示せて居ないアメリカですが、来年1月のオバマ新大統領就任以降、1933年にF.D.ルーズベルト大統領が就任100日の間に「 ニューディール政策 」で恐慌脱出策として革新的政策をした事にならって、「change」というスローガンの下で革新的な政策(大規模なインフラ更新を含む公共投資政策か?)を打つ可能性もあります。
 その様な状況下で、アメリカは危機をバネに変革をしてくる可能性も有ります。日本もその流れに乗り遅れる訳には行きません。日本でも革新的な政策を打ち「国の構造・あり方」を含めて根本的に変えながら、経済状況を改善しながら、国の経済構造も変えて行く様な変革が必要なのかもしれません。

 例えば、交通系の経済政策であれば、交通のあり方を根本的に変える様を目標にして、地方の公共交通や都市交通のインフラに投資し交通インフラを変えながら需要喚起を行う政策を行うとか、低炭素社会構築を目指して低燃費・低公害車への買い替えを促進させる大胆な補助政策・税制を導入して自動者需要を刺激するなど、将来への公共交通への投資・環境への投資を行い、しかも需要創出効果で現下の経済待策として効果を狙える政策は、「高速道路値下げ」など以外にも色々と有ると思います。
 確かに「今の景気を救う事」も大切です。しかしそれだけでは「短期的対処療法」にしかならず、将来にわたり経済対策の効果が継続する物では有りません。経済政策を行うには「今を救う事」と同時に「将来も変える」事が出来る政策を取るべきで有るといえます。その為の具体的政策はチョット真剣に考えて見れば色々有ると思います。経済政策としてその様な事を真面目に考える事が、今の日本には必要なのではないか?と今回改めて考えさせられました。



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