このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



☆ 名古屋ガイドウエイバス(ゆとりーとライン)訪問記
 

 リニモ訪問後、ガイドウエイバスを訪問しながら名古屋に戻る為に、愛知環状鉄道に乗換て万博八草から高蔵寺に向います。愛知環状鉄道は2両編成ですが、万博八草に到着時には殆ど乗客が居ません。しかし瀬戸口からはかなりの乗客が乗ってきて、座席がサラリと埋まります。愛知環状鉄道では今回の万博輸送対応でJR東海中央線と直通運転が可能になっています。少なくとも名鉄瀬戸線が愛知環状鉄道高蔵寺経由に侵食されつつ有るのは状況から見てありえる話だと思います。
 高蔵寺駅に着いた後、構内をチョット見た後、大曽根行きのバスに乗るために南口のバスロータリーに向います。バスロータリーには一番改札口寄りの一等地に、名鉄バス大曽根行きバスが止まっています。しかし乗っている乗客は私とあと一人先客が居る以外は居ません。休日と言う事も有るのでしょうが、流石に高蔵寺〜大曽根間でバスを利用するのは私ぐらいでしょう。

    
 (左:名鉄バス大曽根行き   右:名鉄バス大曽根行き車内(高蔵寺駅前))

 乗車して暫くすると、バスは発車します。しかし最終的には乗客は私ともう一人の計2名で発車です。
 バスは駅前を出ると直ぐに東谷橋で庄内川を超えて国道155線を右折して、その後県道15号線に入り名古屋方面を目指します。バスが走る道は県道では有るものの、この辺りでは殆ど歩道も無く、片側1車線の道です。道の周りは家等は有りますが開けている感じではなく、庄内川の対岸に見える中央線沿線の地域に比べると開けていない感じは明白です。
 バスの中ではバス停を案内する放送は流れますが、殆どのバス停では乗降客が無く、殆どノンストップ状態で進んで行きます。最初に止まったのは中志段味でした。中志段味はバスの折り返し所があり、此処から大曽根行きのバスの本数が増えます。中志段味は志段味地域の中心だけあり新しい市街地と言う感じでは有りませんが、それなりに家や店が有ります。大部分のバスが此処で折り返して行くのも納得です。
 中志段味を過ぎると、区画整理が盛んに行われていて、道も片側2車線に拡幅されます。この先東名高速を潜り、ジャスコ守山店が有る吉根辺りでは名古屋方面車線にはバスレーンも用意されています。この地域は中央線・瀬戸線両方に距離が有る地域なので、ガイドウエイバスのバス利用客が一番多い地域かも知れません。
 
    
 (左:県道15号線(吉根付近)   右:小幡緑地でのガイドウエイバス入口)

 志段味・吉根周辺で乗客を集め、バスの乗客が15名位になった所で一度市街地が切れてゴルフ場と庄内川に挟まれた地域を少し走った後、小幡緑地に到着し此処からガイドウエイバスの高架路線に入ります。
 バスが信号を右折して駐車場みたいな所(名古屋ガイドウエイバス本社敷地)に入ると、高架へ入るスロープが有ります。バスはスロープ入口の遮断機の前で止まり、バスから「ウィーン」と言う音がして補助輪が出て、それをミラーで確認し遮断機があがったら、ガイドウエイの区間に入ります。この間僅か30秒程度で、何も知らなければチョット止まっている位にしか感じません。これだけ平凡なガイドウエイ区間への乗り入れが、ガイドウエイバスのシステムとしての簡潔さを示していると言えます。
 ガイドウエイ区間に入ると、補助輪を車路両端に有るH鋼のガイドに沿わせて走ります。その為ハンドル操作は自動運転で不要になり運転手の操作はアクセル操作だけになりますが、傍から見ていると何か違和感を感じます。システムを知らない人が見たら驚く事でしょう。
 
    
 (左:ガイドウエイバス沿線風景   右:ガイドウエイバス停留所)

 ガイドウエイバス区間に入ると数百m毎に駅(と言うかバス停?)が有ります。高架に張り出した形の相対式ホームで、ホームに階段が直結の所と下フロアにコンコースが有る形の2つの形態が有ります。
 利用客は各駅で数名〜10名程度の利用客が有り、あっという間に立ち客が出ます。又基本的にはバスと同じ運行形態なので、運賃収受がバスの車内で行われているので、駅のシステムが簡単で済み駅員常駐の必要が無いのも、ガイドウエイバスの特徴です。
 沿線は結構勾配があり、ジェットコースターと言うには大げさですが、普通の鉄道ではかなり厳しいレベルの勾配が存在します。只此処はゴムタイヤ式のシステムの優位さで勾配を気にせず進みます。又沿線はかなりの市街地化が進んでおり、この区間に公共交通機関としてガイドウエイバスが導入された理由も納得できます。

    
 (左:ガイドウエイバス大曽根駅   右:ガイドウエイバス車両)

 
 (ガイドウエイバスの誘導輪拡大写真)

 地下鉄の乗換駅のナゴヤドーム矢田の手前で直角に曲がると、名古屋ドームが見えてきます。ナゴヤドーム前矢田は地下鉄名城線との乗換駅の案内がされていて、その為かナゴヤドーム前矢田での降車客が意外に多く10名以上の人が降車します。
 ナゴヤドーム前矢田を出ると左手に巨大なナゴヤドームとその先の三菱の工場を見えます。そうすると目の前に中央線が走り、その高架の手前を90度曲がった所がガイドウエイバスの大曽根駅です。
 大曽根駅はターミナルだけありホームの幅員こそ広いものの、それ以外は普通の駅です。只南側に折り返し所があり、降車が終わったバスは折返し所に入り出発の時間まで時間調整をします。折り返し所の中は誘導無しで走りますが、この様に誘導有り無しを簡単に選択できるのもガイドウエイバスのメリットと言えるでしょう。


 今回初めてガイドウエイバスを利用しましたが、驚くべきはこのシステムの柔軟性です。ガイドウエイバスの行き先を見ると、今回乗車の大曽根〜高蔵寺間のメインルート(小幡緑地・中志段味折り返し含む)の他に「スポーツランド経由中志段味」「瀬戸みずの坂」行きの2ルートが存在します。メインルートだけでなく、これらのサブのバスルートにも定時制を提供できると言う柔軟性がガイドウエイバスの最大の特徴です。
 又その柔軟性が区間開業でも機能するのが大きなメリットです。もし小幡緑地から先を整備していたら、より費用が掛かっていたでしょう。しかしその費用増を避けつつ、軌道系公共交通に順ずる利便性を限定的でも提供できると言うのも、開発途上の地域への公共交通として大きなメリットが有ると言えます。
 但しその柔軟性を未だ生かしきっていないとは感じました。確かにこの地域は南北に地形障害を抱えているので、点と線を面に広げるのは困難が伴うかも知れません。しかしガイドウエイバスにはコミュニティバスも補助輪さえ付ければ乗り入れ可能です。ですからこのガイドウエイバスの効果を面に広げるためにも、もっと多数の路線を設定して利便性を向上させるのが、地域の開発促進とガイドウエイバスの利用促進のためにも必要では無いかと感じました。
 ガイドウエイバスが開く可能性はまだまだ大きいと言えます。名古屋ガイドウエイバスは未だその可能性を使い切っていません。その点では今後のたと志への導入促進のためにも、より一層のガイドウエイバス活用策を考える必要が有ると言えます。



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